何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「映画大好きポンポさん」感想  上映時間90分は正義

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どうもきいつです


アニメ映画「映画大好きポンポさん」観ました

杉谷庄吾【人間プラモ】による同名漫画を原作にしたアニメ映画
映画プロデューサーのポンポさんに監督として抜擢された青年の成長が描かれます

監督は平尾隆之が務め
声の出演は清水尋也、小原好美などです

 

あらすじ
映画プロデューサーのポンポさんのもとで制作アシスタントをする映画通の青年ジーンは
自分に映画を撮ることは無理だと諦めかけていた
しかし、ポンポさんはジーンを映画監督に大抜擢する
新人女優のナタリーを迎え波乱万丈の撮影がスタートするのだった

 

感想
映画の制作過程がシンプルでわかりやすく描かれていて
まるで教材のような映画
テンポよくとても観やすいです
ちょっと真面目すぎる映画な気もしたけど
映画は人生だと思わされる作品でした

 

原作の漫画は全く知りませんでしたが
この映画に興味が湧いたので観に行きました

 

映画を題材にした作品
という情報はありましたけども

実際にどんな作風でどんな内容なのかは見当がつかず
若干、不安もありましたが
観てみるとなかなか面白い
テンポがいいし勢いもあって最後まで見入ってしまいました

わかりやすく映画の制作について教えてくれるような作品でもあります

 

まず、この映画で気になるのは画風かなと思います
萌え絵と言うか
なんかすごく深夜アニメっぽいです

普段そんなアニメを観ない人は抵抗あるかもしれないし
映画しか観ない人も敬遠してしまいそうです

その上、実際に観てみても
アニメの表現やキャラのノリなどは
すごく深夜アニメっぽい
正直、そこに違和感がないと言えば嘘になります

舞台がハリウッド(厳密にはニャリウッド)で
登場人物はみんな外国人
作品のテーマが映画制作
というのもあり
深夜アニメっぽさはすごく相反してるように思えてしまう

観ていると慣れるかとも思いましたが
最後のほうまでその違和感はついて回りました

作品の内容も見た目そのままなので
苦手な人は苦手かもしれません


ただ、それがマイナスなのかと言うと
そうではないと思います

深夜アニメっぽさがわかりやすさにも繋がっていて
こんな作風だからこそ
ストレートに伝わってくるものがある

日本人にとってすごくわかりやすい表現なのかもしれません

もしこれが
外国人が出演する実写映画で
映画的な表現で作られたリアルな作品だとしたら
たぶん面白くないだろうなと思います

結果的に
違和感はあるけど深夜アニメっぽさが
映画制作という少し堅苦しいテーマを
上手く観やすい形に落とし込んでると思いました

それがこの作品の唯一無二の魅力になってるんじゃないでしょうか

 

そして、本作の内容はと言うと

主人公ジーンの監督としての成長と
映画の制作過程を描いただけの
かなりシンプルなストーリーです

その中で
監督には何が必要なのか描かれていたり
俳優やスタッフなどの必要性
映画に対する心構えなど

映画はどうやって作られているのか
そこにはどんな思いが込められているのか
そういうものを丁寧に見せてくれます

本当に教材みたいな映画で
これから映画を作りたいと思っている人への
入門編としてちょうどいいかもしれません


ただ映画作りの入門編というだけでなく
人生と映画を重ね合わせた物語はなかなか面白いです

主人公が素晴らしい映画を作るために四苦八苦する物語ですが
その過程で劇中劇である自身がつくる映画と自分を重ね合わせていきます

ここまではありがちな展開で普通なんですけど

そこから先は
映画の編集作業と人生が重なっていきます
ここがすごく面白いし納得もさせられる

膨大な素材の中から多くのものを削ぎ落とす取捨選択が
人生における取捨選択の重要性を表しています

素晴らしい映画=素晴らしい人生
が物語や映像で表現されてる

欲しいものを手に入れるには多くのものを捨てなければならなくて
それが大きければ大きいほど捨てるものも大きくなってしまう

映画の編集でそれを表現するのはすごく納得できます

撮影過程で思い入れのあるシーンや面白いアイデアが生まれたり
出演者やスタッフの思いを知ったり
作品に愛着が湧けば湧くほど
カットすることへの重みや責任が大きくなる

人生も同じで
捨てれない大切なものがあっても捨てなければならない時もある

取捨選択を繰り返すことで
結果的にそれが正解かどうかはわからないけど
よりよいものを作るには
それが必要不可欠なものだと痛感させられます

あらためて作品を制作することと人生の繋がりというものを感じさせられました


そして、そこからのオチはすごく良かったですよね
あのラストはめちゃくちゃカッコいいと思う
バシッと締まった素晴らしいラストでした


そして、90分というのもかなり重要

ポンポさんは90分の映画が1番いいと言いますし
本作自体が上映時間90分

この映画を観ると90分の良さにすごく共感できてしまいました

正直言うと
僕も2時間の映画はすごくなげーなと思うことはよくあって
90分の映画にはすごく好感が持てたりします

実際、2時間の映画と90分の映画が並んでいると
90分の映画を選びがちです


で、本作が90分で面白い映画に完成しているというのが
この映画の1番の説得力です

もし本作が2時間なら
は?って思ってしまいますし
90分でもつまらなかったら説得力に欠けてしまう

そこを上手く90分でまとめ上げたのは天晴れとしか言えません

90分の中でテンポよく進みますし
でも、描きたいもの伝えたいものはちゃんと入れている

おそらく90分にまとめるために
原作からの取捨選択にはかなりこだわっていると思います

本作が90分の面白い作品に完成してるからこそ
ラストのオチも強くなっていると思います

テーマがしっかりと伝わってくるし
映画としても面白い作りで
クオリティの高い作品だなと思わされました

 

かなりトントン拍子で全てが上手く行きすぎるストーリーだったり
ひねりがなく意外な展開なんかもないので
正直、ちょっと面白味は無いかなと思います

定型にハマってて真面目すぎる映画にも感じました

そこがちょっと気にはなるけど
変に斜め上の方向に物語が進んでは
やっぱり軸がブレるだろうし
今の形が正解なんだろうと思います

これ以上もこれ以下もない映画かもしれない

 

はじめはどんな映画なのか少し不安もあったけど
実際に観てみるとなかなか面白いことをやってる映画で
最後まで楽しんで観ることができました

映画とは人生
を上手く表現できている作品です

 


映画大好きポンポさん コミック 1-3巻セット

 

 

映画「竜とそばかすの姫」感想 観てるこっちは置いてけぼり

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どうもきいつです


アニメ映画「竜とそばかすの姫」観ました

スタジオ地図によるオリジナル長編アニメ作品
インターネットの巨大仮想空間を舞台に
心に傷を負った女子高生の成長が描かれるSFファンタジーです

監督、脚本は「サマーウォーズ」などの細田守が務めています

 

あらすじ
高知の田舎に住む女子高生のすずは
心に傷を負い周囲に心を閉ざしていた
ある日、友達に誘われ
インターネットの仮想世界“U”にベルというアバターで参加する
すずは“U”で自分の歌を披露しやがて世界から注目される存在となる
そんな中、彼女の前に謎のアバター竜が現れる

 

感想
勝手に始まり勝手に終わる
観てるこっちは完全に置いてけぼりでした
全てが強引で観ていてちょっと疲れる
正直言ってつまらない映画
褒めれるのは映像の美しさだけかもしれない

 

細田守の最新作ということで観に行ってきました

僕は細田守のファンというわけではなく
作品がそんなに好きでもないです

「おおかみこどもの雨と雪」くらいまではそれなりに好きだけど
それ以降はかなり微妙かなと思っています

でも、映像は毎回素晴らしいし
細田守は面白い映画を作ってくれるんじゃないか
と期待は抱いているので
新作の度に興味はあるんです


で、本作の話ですけども
期待はずれというか…
予想通りというか…

あまり面白くないですね
最後まで観て
つまらない映画だなという印象が強かった

正直、褒めるところはあまりないかも…

絵のクオリティが高いくらいですかね?
田舎の背景とかはめっちゃ良かったですよ
キャラの動きともリアルでいいですし

アニメ映像に関しては日本トップクラスではないでしょうか

 

ただ、それ以外は本当に微妙かな…

特に脚本が悪いです

物語がすごく強引で観ているこっちは放ったらかし
何も納得できないまま終わってしまいます


やりたいことや伝えたいことがあるのは理解できる

でも、それのために
全てを強引に押し進めていて
それありきで物語も動かされてるんですよね

その上、詰め込みすぎで話がとっちらかってもいるし
だから伝えたいことがいまいちわからない

結果的に監督の自己満足の映画になってると思いました
観客のことなんてどうでもいいのかな?
とさえ思えてくる

1つだけわかるのは
細田守はネットの匿名で好き勝手言ってる奴らが嫌いなのは確実ですよね

 

何が悪かったのか細かい話をすると

まず、キャラクターはなかなか酷いと思いました
主人公のすずを筆頭に
どのキャラクターも本当に薄っぺらくて魅力がない

基本的にみんな中身がなくて記号的な存在で終わっている

例えばすずは
田舎に住む地味で消極的な女子高生で
母親を亡くしショックで歌が歌えない
幼馴染みのことが昔から好き
クラスに仲の好い友達が1人いる

みたいな設定は細かくあるけど
それ以上のものは無いというか…

そこから先の人間的な深い部分は全く見えてきません

他のキャラもみんな同じで
設定だけの記号的な人間で
全然生き生きとしてないんですよね

物語の決まったラストへ向けてただ動かされてるだけの駒みたいなもので
全然、感情移入もできないし冷たさすら感じます

行動原理や気持ちなんかが全く描かれず
ひたすらストーリーだけが先走っているので
めちゃくちゃ強引な印象も受けました

なぜこのキャラがそんな行動を取るのか?
どんな気持ちで動いているのか?
そんなものはすっ飛ばして
出来事だけを見せている作りには少し気持ち悪さも感じてしまう

 

そして、設定や世界観を生かせていない映画でもあります

ネットの仮想空間で別の自分になれるSNSのような匿名性のある世界
登場人物たちのバックボーン

そういう要素が物語の中で全然機能していないと思います

すずがベルとしてネットの世界で人気者になる
という話ではありますが
そこがストーリー上で面白く広がらないんですよ

普通なら別人になれるということで
すずの心の変化であったり
この世界の闇の部分が描けるはずなんすが
そういう部分もすごく薄っぺらくて
最後まで中途半端な描写で終わってしまいます

コンプレックスやトラウマを持つ思春期の女子高生が主役なんだから
調子に乗るとか過ちを犯すとか
そんな展開があってもいいのに
すずはずっといい子のままで面白味が全くないし

匿名で正体がわからないからこその人間の裏表なんかも
全然ないですよね

この映画のテーマは
ネット社会のメリットとデメリット
だと思うんですけど
あまり深掘りしていないなと思わされます

てか、何故そうしなかったのか?
普通ならそんな展開にするでしょ

あえて波風の立たないストーリにしてるの?
だとしても“あえて”の部分に意味は感じれないけど

この世界や設定を生かせば
もっと盛り上がる展開だって作れるはずなのに

いまいち弱い展開が多いし
最後までこれと言った盛り上がりのない映画になってしまってます

最後の方も取って付けたような展開で
あんまり盛り上がらないですよね…

 

あと、説得力の無い要素がすごく多いと思います

例えば
すずがネットの世界でベルとして
世界中から注目されて大人気になるわけですが
なんで?って感じですよね

歌が上手いから
可愛いから
って言ってるけど

そんな事だけで人気になれるのなら
この世の芸能人やユーチューバーは苦労しませんよ

これに関しては
すずじゃないと駄目な理由さえあれば納得できるんです
すずの魅力さえ描けてれば問題ないんですが
結局、キャラが薄いので説得力はありませんよね


ベルと竜が惹かれ合うのも理屈が通ってなくて
観てる側からすれば本当に納得がいかない

何故の部分が全く無く
ただ雰囲気だけで進んでます

「美女と野獣」オマージュにしたって意味を成していないです
「美女と野獣」でないといけない理由は感じれません

「美女と野獣」って見た目のコンプレックスや心の美しさの話だけど
本作は別にそんな話じゃなかったし
オマージュが全然機能してないですよ
オマージュですら説得力に欠ける


ネットの描写なんかも
あまりピンとこないですよね…

顔を晒すのがどうこうの話になるけど
別に顔を晒すことのマイナス要因なくない?

すずがどうしても今の地位を捨てたくないとか
顔を晒すと支障をきたすとか
それなりの理由があればいいけど
ただ恥ずかしいだけくらいの感じでしょ

この映画を観てる中で
すずが何に抵抗を示してるのかよくわからなかったし

ネットで顔を晒すという漠然とした恐怖が細田守にはあるのかな?
ネットで叩かれたりもしてるだろうし
ネットの悪意に敏感なのかもしれない

ただ、こっちからすれば
細田守は何と戦ってるんだよ?
と思ってしまうのは否めないです

メッセージはわからんではないですが
今さら感があるし踏み込んでもないし
架空の誰かと戦ってる感じもするし
あまり刺さってこないです


他にもツッコミたい部分はたくさんあるけど
それはどれも
自己満足で完結してしまっていて観客は置き去り
というところなんですよね

良くも悪くもオタクっぽい映画というか…
まあ、悪いほうの比率が大きいけど


それと、やってることが「サマーウォーズ」 からあまり進歩してないのもマイナスかな…

今の時代だからこそのネット世界の表現や問題提起は見せて欲しかった

 

音楽が素晴らしいって意見も多くて
そこを大絶賛する人もたくさんいますが

正直、悪くはないってレベルで
他の映画に比べて抜きん出てるかと言うと
べつにそんなにすごいとは思えない

あまり印象にも残らなかったし

この音楽のためにサントラを買いたくなるほどのものではないです

これは好みの問題かもしれないけど

 

映像のクオリティが高いだけの映画で
中身は本当に薄っぺらかったです
細田守に脚本は向いてないのかもしれませんね
映像だけでなく中身のクオリティも上げてほしい

夏、田舎、青春なアニメが好きなら観てみてもいいんじゃないでしょうか

 


サマーウォーズ スタンダード・エディション [Blu-ray]

 

 

映画「バクラウ 地図から消された村」感想 独特で掴み所がない映画 つまらなくはないけど

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どうもきいつです


スリラー?映画「バクラウ 地図から消された村」観ました

村の長老の死後から
不可解な出来事が起き始める村を描いたスリラー
第72回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した作品

監督は「アクエリアス」で注目を集めた
ブラジルのクレベール・メンドンサ・フィリオが務めています

 

あらすじ
村の長老カルメリーナが亡くなり
テレサは故郷の村バクラウへ戻ってきた
しかし、その日から村で不可解な出来事が次々と発生しだす
インターネットの地図からは村が消え
村の上空には謎の飛行物体が現れ
給水車のタンクが銃撃された
やがて、村外れで村人が殺害されてしまう

 

感想
淡々と進む謎めいたストーリーには掴み所がなくて
正直、ちょっと戸惑ってしまう
終盤はカタルシスのある展開で盛り上がりはあります
なんか不思議な映画

 

前から気になっていたので観てみました
Netflixで配信されています


あらすじを読んだだけでは内容がよくわからず
そして、実際に観てみてもよくわからん

一応、ジャンルはスリラーという風に書きましたが
正直、ジャンルもよくわかりません

社会風刺が描かれたりもしてるんだろうけど
その部分もあまりピンと来なかった

かと言って
難しい難解な映画でもないと思います
結構ストレートに描かれた映画のようにも感じます

監督にやりたいことが多くあったのかな
とも思いました
なんかいろいろと詰め込んでる感じ

そして、面白くないわけではない
でも、面白くもなかった

序盤はかなり掴み所がなく退屈な気持ちがありましたけど
ラストに近づくとカタルシスを感じるし
爽快感もありました

評判はとても良いみたいですし
賞も取っています

大絶賛のレビューもちょくちょく見かけるけど
独特な作風にはハマった人が多いのか
インテリ気取りでわかった風の人たちに目をつけられたのか
そのへんもよくわからん

全てにおいて掴み所のない映画

 

まあ、後から考えてみると
この映画って

なめてた奴が実はヤバい奴でした
ってタイプの映画だったと思う

この映画に感じたカタルシスも
弱いと思ってた人たちが実は最強で
悪い奴らを打ちのめすところ
だったりします

そこをメインに描いている


そう思えば
掴み所がなく退屈な前半は
ラストの展開のための前フリですよね

バクラウという村と村人がどのような存在なのかを説明する部分です

都会から遠く離れた田舎で
そんなに裕福とは思えない村
村特有の風習や価値観もあったりして
僕からすればかなり居心地が悪そうに感じてしまいます

どうやら水がせき止められているようで
立場的には弱いのかなと思える

村に来た市長とのやりとりでも
村人たちが完全になめられているのがわかりますし

村の外の人たちからはド田舎だと見下されているのかな
とか想像もできる


途中から現れる謎の戦闘集団も
こいつら急に出て来て一体なに?
って思ってしまいますけど

これも結局はラストへの前フリですよね

UFOみたいなドローンを使ってたり
仲間ですら躊躇なく殺したり
地図から村を消してしまったり

かなり大がかりに作戦を練って
只者ではない集団というのが伝わってきます

この集団の個人の描写も多くて
リーダーのクレイジーさや
子供を躊躇なく殺してしまうメンバーもいる
殺しが成功し興奮して野外セックスはじめちゃったり

やってることは突拍子がなくて
それをやって何のメリットがあるかも謎ですけど
とにかくヤベー奴らというのは表現されています

そんな描写が
ラストの展開にかなり生きているなと思いました

バクラウの立場の弱さや田舎の閉鎖感
戦闘集団の圧倒的強さや狂気

この対比があるから
終盤はかなり盛り上がってとても気持ちよくもあります

弱者の反撃と弱者の圧倒的な強さによる逆転に
気持ち良さを感じているということは
自分もまた弱者なのかな
とか思ったりもしました

ここに格差社会や貧困に対する皮肉が込められてるんだと思う

はじめはバクラウに少し哀れみの念を抱かされていましたけど
そこを逆手にとって
この映画を観ている自分たちの浅はかさを突きつけられた気もします


いろいろ詰め込まれた映画だけど
監督の狙いは成功してるじゃないでしょうか
最後まで観るとつまらない映画には思えませんでしたし

観た直後には
ふわっとした印象しか残らなかったけど
思考すればメッセージ性や面白さにも気付けると思います

観る人によって感じかたが違ってくる映画でもあるのかも

悪い映画ではないとは思いました

 

ただ、前半がもう少し面白くできなかったのかな
とは思ってしまいます

前半の退屈さと後半の盛り上がりで
結果的にプラマイゼロくらいですよね

やっぱりプラスで終わってほしかったかな…


主人公が誰だかかわからない状態が続きますし
これと言った定まった物語もないので
やっぱりなんか集中できなかったです

その上、いろんな要素を詰め込んでいたりもするので
すごく散漫な印象でした

何か軸になるものがあれば良かったような気がします


終盤の展開に関しても
盛り上がりはありますけれど
インパクトは弱いかなと思う

バイオレンスで刺激的な映像があるし
前半とのギャップでカタルシスも生まれていますが
派手さには欠けるというか

もう1つ派手な何かが欲しかったですかね

それは映像なのか展開なのかはわからないけど
最後にもう1発派手に何かをぶちかまして欲しかった

そうすればとても印象に残る映画にもなったと思います

まあ、エンタメ映画にするつもりはなかったかもしれないし
今の形が正解だったのかもしれないですけど

 

独特な作風で悪くはない映画ですかね

絶賛してる人も多いですが
個人的にはあまりハマれず印象にも残らなかったので
時間が経てば記憶から消えてしまいそう

興味があれば観てみて損はないかなとは思います

 


バクラウ 地図から消された村(字幕版)

 

 

映画「ジェイソンX 13日の金曜日」感想 失敗するはずなのに何故か成功してる

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どうもきいつです


ホラー映画「ジェイソンX 13日の金曜日」観ました

「13日の金曜日」シリーズ第10作目
冷凍保存されたジェイソンが宇宙へ搬送され
宇宙船の中で大暴れし
閉鎖された船内で殺戮が繰り返されます
2001年の作品です

監督はジェームズ・アイザックが務めています

 

あらすじ
殺人鬼ジェイソンはクリスタル湖研究所の科学者チームに捕らえられていた
しかし、拘束から抜け出したジェイソンが殺戮を始めてしまう
唯一生き残ったローワンが
超低温室へジェイソンを誘い込み冷凍に成功するも
自身も凍りついてしまった
そして、400年後
冷凍された2人が発見され宇宙船へ運び込まれるのだった

 

感想
ジェイソンとSFを混ぜてしまうなんて
そんな無茶なことすれば失敗するはずなのに
何故か無駄にまとまってしまってる映画
こんなのオーパーツみたいなもの
あり得ないことが起きている
悔しいけど面白かった

 

存在は知っていたけど
イロモノ中のイロモノなので視るのを躊躇っていました
でも、思いきって観てみた


どうせクソ映画だろうと覚悟を決めてましたが
クソ映画には違いないけど面白かった

めちゃくちゃやってるようで
以外としっかり完成してる映画でした


本作は
SFな未来世界でジェイソンを暴れまわさせてみました
っていう
やけくそみたいな映画

「13日の金曜日」自体が10作目で
マンネリでネタ切れだったろうし
だから、こんな大胆な発想に至ったんでしょう

こんなアイデア一本勝負の
闇鍋みたいなごちゃ混ぜ映画が成功するはずなんてないんです

そもそも、この映画のアイデアが安易すぎるバカ発想ですし…


なのに、こんな絶対に失敗するであろう映画が
何故か上手くまとまっていて面白い

13日でも金曜日でもないのに…

監督か脚本家が天才なんでしょうか?

 

まず、本作はホラーですけども
ホラーコメディと言った方がしっくりきます

グロいシーンなどはもちろんあるけど
怖さは全然ないし
グロいシーンですらちょっと笑える

明らかにふざけてる場面も多くて
あえてコメディよりに作ってると思います

ホラーなのに怖くないなんてけしからん
という人もいるかもしれませんが

まあ、この作りが成功の要因なのは間違いない

そもそも、ジェイソンが未来の宇宙船の中で暴れまわる
って設定自体がもはやギャグで
本作のコミカルな作風にはピッタリとハマっている

それに10作も続けば
ジェイソンのキャラやシリーズのお約束などが定まっているので
茶化すのにはもってこいですよね

シリーズ全部を観ていなくとも
「13日の金曜日」とはこういうものだ
というのを知っていれば
笑えるシーンがたくさんあります

 

でも、この映画はそれだけではなく
ホラーとしてもSFとしても
かなりちゃんと作られている

やってることはほぼ「エイリアン」で
中身はいつもの「13日の金曜日」なので
新しさは無いんですけど
安定感はかなりあります

やっぱり「13日の金曜日」としてのお約束は
しっかりと踏まえていて
これが見たい
というものを確実に見せてくれる

これにはシリーズに対するリスペクトを感じます

シリーズの目玉であるスプラッターも
出し惜しみせずふんだんに詰め込まれていますし

終始誰かしら殺されて
常に血の赤は画面にあるくらい
描写はバカバカしくはあるものの
痛々しさも表現できていて
求めているものは見せてくれているんですよね

殺しのバリエーションもいつものジェイソン
いろんな殺しかたで楽しませてくれるエンターテイナーです

最後まで飽きることなく面白い


いつもの「13日の金曜日」と変わらない内容ですけども
それプラス舞台が未来の宇宙船
ここが上手くマッチしてしまってます

閉鎖された宇宙空間というのが
今までにない緊張感を生み出してる

今までのクリスタルレイクのキャンプ場とは違った雰囲気があって
少し新鮮さがあります

SF世界の見せ方も
チープではあるけど悪くない

セットはちゃんと作り込まれていて偽物っぽくはないし
CGもそれなりに頑張ってると思う

宇宙船の制御がきかなくなったり
崩壊したりと
舞台としても上手く活用していて
物語も盛り上がってきます


未来武器を持った強者軍隊とジェイソンの戦いという
今までにない面白いバトルも見せてくれて

そして、そんな軍隊ですら軽く捻り潰してしまうほどの圧倒的ジェイソンの強さ

笑ってしまう


SFのお約束もしっかりと詰め込まれていて
すごく安定したバランスになってるんですよね

「13日の金曜日」のくせに無駄に作り込まれている


ストーリー展開に関してもバランスがとても良くて
最後まで安心して見れてしまいました

順序よく殺戮が繰り返され
それに伴いキャラクターの個性が描かれる
所々で派手なシーンを入れているし
終盤に向けての盛り上がりも生まれていきます

ストーリーの構成がすごくまともだし
面白く観れる作りになっている

 

さらに、この映画は登場人物たちがとても魅力的で記憶に残ります
みんな個性的で面白い

あまり活躍しない脇役ですら
妙にクセが強くて印象に残ります

若干、主人公が存在感が薄くて空気になってますが
見た目が可愛いので記憶には残りました

軍の隊長は雑魚かと思いきや
終盤にめちゃくちゃいい役割を果たして
すごくカッコいいキャラになってたし

アンドロイドのKMなんて最高のキャラだと思う
普通こんなロボット系のキャラって
無表情で感情がないですが
KMはめっちゃ感情があって
逆にそれが面白い
終盤は活躍しすぎて主人公を食っちゃてるし
ジェイソンに対抗できる強さを持ってるのも笑える

KMはこの映画で1番印象に残るキャラでした


他にも
無駄にエロい女とか
私利私欲に溺れた教授とか
やたらと場を乱す厄介な仲間とかもいて
いろんなキャラのお陰で物語が盛り上がります
そして、みんなバカバカしいので笑える


最後のメカジェイソンに至っては
もはやジェイソンではない
いや、ジェイソンです

ジェイソンをメカにしてしまうアホな発想には拍手を贈りたいです

無駄にデザインもカッコ良かったし

 

ジェイソンを未来の宇宙へ飛ばす
という突拍子の無い血迷った愚行を行っているのに

無駄に話の筋が通っていてストーリーが完成されてる
ホラーやSFのお約束も踏襲していて見たいものは見せてくれる
キャラクターは個性的で物語をさらに盛り上げている

何より
シリーズをレイプしてるような作品なのに
シリーズに対するリスペクトをめっちゃ感じられる

何故か全体がまとまっていてクオリティの高い作品になっていました

これは奇跡としか言いようがない

 


ジェイソン X 13日金曜日 [DVD]

 

 

映画「ゴジラvsコング」感想 とにかくバトルが最高に興奮する

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どうもきいつです


アクション映画「ゴジラvsコング」観ました

モンスターバースシリーズ第4作目
ハリウッド版「ゴジラ」シリーズと
「キングコング:髑髏島の巨神」をクロスオーバーして描いた作品です
日米の2大怪獣、ゴジラとキングコングが大激突します

監督は「サプライズ」などのアダム・ウィンガードが務めています

 


あらすじ
ゴジラが怪獣の王に君臨してから5年
特務機関モニークは巨大怪獣のルーツを探っていた
そんな中、再びゴジラが姿を現し世界を危機へ陥れる
一方、人類は怪獣の故郷を見つけ出すため
髑髏島のコングを島から連れ出すのだった

 


感想
巨大怪獣の大バトルには最高に興奮させられた
出し惜しみせずに怪獣の暴れる姿を見せてくれます
テンポのよさも気持ちがいい
ただ、その代償としてストーリーはスカスカ
人間ドラマなんて微塵もない

 

前からずっと楽しみにしていた映画
公開延期を経てやっと公開されたので
満を持して観てきました

公開延期でかなり焦らされましたし
「ゴジラ」シリーズも「キングコング:髑髏島の巨神」も両方とても面白かったので
かなり期待は膨らんでいたわけですが

それがあっても
満足できる内容で最高に楽しめました
高いハードルを越えてくれたと思います

みんなが絶賛しているのも納得できます

 

この映画で最高なのは
もちろん巨大怪獣のバトル
これがこの映画の全てです

本作は
とにかく怪獣のバトルを見せたい
という気持ちがあふれ出ている映画で
これまでの作品以上にバトルがメインになっています

なので、出し惜しみなどは全くなくて
ゴジラもコングも序盤からずっと登場しているような状態

アクションシーンもかなり多めで
バトルをしていないときでも
何かしら派手な動きがあります

ゴジラが街をぶっ壊すシーンなんかも
かなり早い段階で派手に見せてくれる

ゴジラとコングの戦いも
最後まで取っておくわけではなく
結構早めに見せてくれます


今までの作品なら
例えメインが怪獣にしろ主役はあくまで人間で
背景に怪獣の存在や戦いがあったわけですが

本作の場合
コングが主人公でゴジラがサブ主人公なんですよ

この映画では人間の存在が背景で
オマケみたいなものなんです

たから、最初から最後まで怪獣が暴れまわってる最高の映画なんですよね


特に終盤のゴジラとコングのバトルは
メインバトルなだけあってめっちゃ盛り上がります

ビルなんて壊してなんぼ
って勢いで壊しまくり
壊すために作られた街かと思ってしまうほど
軽くぶっ壊してしまいます

それに伴い人間の命も軽いもんで
たぶんめちゃくちゃ死んでるだろうけど
そんなことには全く触れない

人間なんて死んでなんぼの世界観です

それくらい街も人間の命も軽いからこそ
バトルが最高なものに仕上がっています

ゴジラもコングも暴れまわって
最高のアクションを見せてくれました


その上、メカゴジラも大活躍
メカゴジラが登場してからはさらに盛り上がります

メカゴジラの扱いもすごく良くて
やられ役の敵ではなく
すごく強いというのが素晴らしい

昔の作品でもメカゴジラはめっちゃ強くて
ゴジラはかなり苦戦してきたわけです
そんなところを本作の製作陣はわかってくれてるんですよ

この映画のメカゴジラも
ゴジラとコングが協力してやっと倒せるほどの強さ

やっぱりメカゴジラはこれくらい強くないとと思います
メカゴジラが出てきてからのバトルも最高でした


そして、巨大さを感じさせる見せ方も多く
ただ戦ってるだけ映像だけでなく
工夫を凝らした面白い見せ方をしてくれる

人間のちっぽけさや怪獣の荘厳さが
映像から伝わってきます

こんな映像は映画館で観る意義を感じさせてくれますよね
本作は映画館で観ることで真価を発揮させるタイプの映画です

映画館でこのド派手な映像を観ることで
テンションが上がり気持ちが昂ります

本作はぜひ映画館で観てほしい映画です

 

それに怪獣の描き分けもすごくいいです
さっき言ったメカゴジラはもちろんのこと

ゴジラとコングが
ただの怪獣ではあるけれど
ちゃんとキャラが分かれている

コングは主人公的な立ち位置で
かなり人間よりだったりします
ゴリラなだけあり知能も高い
手話が使えちゃいます

言葉は喋れないものの
かなり人間的な描かれかたもされている

この映画が軽くコングの成長物語みたいにもなってますし

少しコングに感情移入もできてしまいました


一方、ゴジラはと言うと
これまでのハリウッド版のシリーズ同様に
善でも悪でもない存在です

ゴジラは災害みたいなもので
感情なんでないわけです

日本のゴジラでもそんな描きかたをされていることが多いですし
ゴジラらしいキャラクターになっています

ラストの
停戦してゴジラがコングに背を向けて帰っていく場面もゴジラって感じがしますよね


この怪獣の描き分けがあるから
ただ戦ってるだけでは生まれない盛り上がりがあると思うんです

これはプロレスとかと同じで
お互いのキャラやバックボーンがあることで
戦いがより面白くなっている

ここもバトルを中心にするからこその
こだわりなのかもしれません

 

で、この映画の感想でみんなが言っている
人間ドラマがほとんどなく薄っぺらい
というのは全くその通り

マジで人間ドラマなんてないです
その上、ほとんど全て運だけて進んでいく
超ご都合主義な物語でもあります

これに関しては
中身を重要視するような人からすれば
あまり好感が持てないだろうなと思います

登場人物たちも本当に空気みたいな存在で
敵味方どちらも存在感が超薄い

人間たちがすごく頑張って
いろいろしてるけど正直どうでもいいというか…

誰が主人公かもよくわからんしね

小栗旬なんて
芹沢博士の息子でかなり重要人物っぽいのに
めちゃくちゃ雑な扱いで終わってしまいましよね…


ストーリー展開なんて
偶然に偶然が重なりすぎて奇跡みたい話ですし

香港のゴジラが光線で地面に穴を開けると
たまたまコングの故郷でそこにコングがちょうどいるという

さすがに笑てしまいましたわ

ロジックなんて全くないストーリー
正直言ってアホみたいな映画です


でも、それがマイナスとは思っていなくて
むしろ、これくらい人間ドラマが薄くてご都合主義だからこそ
テンポの良さが生まれていますし
より怪獣バトルを集中して見れる

そもそも、この映画の主人公はコングです
人間が出しゃばれば邪魔なだけで
話もブレてしまいます

コングの戦いがメインなわけですよ

それにゴジラ存在もかなり重要ですし
人間が入る隙間なんて全くない

人間なんてこれくらいの扱いで十分
いや、これでも贅沢なほうですよ


ご都合主義に関しても
変に理屈をこねて整合性を保ったところで何の意味もない

逆に
いろいろ理由をつけて話をまとめようとすれば絶対にテンポが悪くなります

そうなれば本末転倒で

この映画って怪獣のバトルで如何に観客のテンションを上がるかという映画

できるだけ無駄を省いて
テンポよく怪獣のバトルを見せることで
気持ちよく爽快にバトルを楽しむことができます

そこをちゃんとわかっているから
極力ストーリーを薄くして
怪獣バトルをド派手に作っているんです

その取捨選択は完璧だったと思います

完全にアホな映画に仕上がってるけど
だから最高の怪獣バトルを楽しむことができる映画なんですよね

僕もそこに完全にハマって
最後まで最高の怪獣バトルを堪能することができました

 

前作の評判の良さや相次ぐ公開延期があり
かなりハードルが上がっている状態でしたが
そんなのをあっさり越えてしまうほどの面白さ

ゴジラ好きであろうが
ゴジラを知らなかろうが
テンションの上がる素晴らしい映画になっていると思います

やっぱり巨大怪獣のバトルには興奮させられますね

 


ゴジラ キング・オブ・モンスターズ Blu-ray2枚組

 

 

映画「RUN/ラン」感想 逃げたくても逃げれない恐怖

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どうもきいつです


スリラー映画「RUN/ラン」観ました

車椅子生活を余儀なくされる娘と
その娘を溺愛する母親の狂気を描いたサイコスリラー
母親に監視され自由の無い環境の中
娘が母親から逃れようと奮闘します

監督は「search/サーチ」などのアニーシュ・チャガンティ
主演はオーディションで抜擢された新人のキーラ・アレンです

 

あらすじ
生まれつき病気で車椅子生活を送るクロエは
大学進学を望み自立しようと努力していた
そんなある日
食事や体調の管理し進学の夢を後押しする母親ダイアンにクロエは不信感を抱き始める
そして、ダイアンが差し出す薬が
人体にとって危険な物だと判明するのだった

 

感想
ハンディキャップがあるからこその恐怖の描きかたがとても上手い
主人公が陥る状況の怖さだけでなく
心理描写などもなかなか怖い
終始、緊張感が高くスリル満点
最後までハラハラする映画でした

 

「search/サーチ」の監督の新作映画ということで観てきました
設定が面白そうで期待もしていた


「search/サーチ」とは違い
奇抜さのない普通のスリラーでしたけど
普通に面白いスリラーでした
とても丁寧に作られた映画の印象です

矛盾してる気もするけど
安心して観れるスリラーです

怖がらせかた
スリルのある展開
ラストのオチ
どれもが求めているレベルのもので
すごくちょうどいいなと思った

映像として奇抜なわけでもなく
特別ひねった展開があるわけでもないですが
安定して面白い

ストーリーの流れに関しても
それほど新しいものでもなくよくある流れだと思いますし

想像の遥か上をいく予想外の展開なんかもありません
想定内かなというものが多い


ただ、主人公の足が不自由で車椅子を使わなければ移動もままならなかったり
母親の異常さや狂気などの要素が
とても上手く生かされていて
そこに新鮮さを感じさせられます

 

特に足の不自由な主人公というのは
最大限に活用していて
本作を盛り上げる1番の要因です

ハンデを背負っているからこそ
より恐怖が増幅され
観ているこちら側もすごくスリルを感じることができます

車椅子だと家から出るのですら難しいですからね
車椅子を奪われてしまえば逃げることすらままならない

そんな限定的な状況での
逃走劇や窮地に追い込まれる展開には
普通のスリラー以上にスリルを感じることができるんです

その上、本作の主人公クロエは
足が不自由なだけではなく
喘息などの他の病気を抱えているし
さらに母親には行動を制限されていたりもする

これでもかと言うほど主人公にハンデを背負わせ
ほぼ無理ゲー状態の映画

そんな無理ゲーだから
主人公の奮闘にはハラハラさせられるし
応援する気持ちも生まれます

閉じ込められた自分の部屋から屋根をつたって脱出するだけでも命がけ
階段で下の階に降りるのも命がけ

ハンデさえなければ何てこともない状況なのに
ハンデがあることで
こんな状況もギリギリの命がけに変貌してしまう

それを乗り越えるためにクロエが頭を使い試行錯誤して
真相に迫ったり危機から脱する
というのもこの映画の面白さで
ハンデがあるからこその頭脳戦も見せてくれる

クロエは頭が良いし諦めない性格なので
ギリギリな状況でもイライラしない

こんな映画にありがちな
主人公が馬鹿だから窮地に追い込まれる
って展開はなくて

逆に
最悪な状況だからこそ
頭を使って道を切り開いていく
という知的さがあります

主人公が馬鹿ではない描きかたになっているので好感が持てるし
無駄なツッコミどころも少なかったですね

 

そして、ストーリー展開もすごく良くて
こんなに追い込む?
って思うほどドSな映画でもあります

とにかく主人公が追い込まれる
困難を乗り越えて安心したのもつかの間
息つく暇もなく新たな困難が押し寄せる

テンポもいいですし
次から次へとハラハラさせられるので
最後まで全然飽きません

追い込まれれば追い込まれるほどスリリングで
その最悪な展開の連続が
ラストにはカタルシスを生み出しています

2転3転とどんどん物語が展開していき
ジェットコースター的な面白さもあって
気付けばあっという間に映画が終わっていました


その展開と同時に
比例して母親の本性が露になっていく様子がすごく良くて
序盤と終盤の母親のギャップがめっちゃ怖い

サイコパスがただヤバいことをしている怖さと言うより
人間が暴走してしまっている怖さと言うか

序盤から不穏な空気はあって
この母親は普通ではない感じはしますが
話が進むにつれ
想像以上のヤバさを発揮してきますから

過保護だとか
行き過ぎた愛情だとか
精神的な病だとか
そういうの匂わせておいて

結果、シンプルにサイコパスでした
ってのは気持ちよくもある

 

あと、オチもめっちゃいいですね
久しぶりにラストでこんなゾクッとさせられた気がする

これは怖い…

単純にハッピーエンドで終わるのもいいけど
やっぱり後味悪い終わりも魅力的

それに本作は
1度やさしいラストに見せかけておいて
最後の一瞬で鳥肌を立たせるっていうね…

センスのある終わりかただと思います

 

それと、この映画で良かったのは
障害者や精神疾患を取り扱ってるけど
変にメッセージ性の強い作品になっていないところです

大体こんな題材を扱う作品って
ちょっと深い考えさせられる系の映画になりがちだけど

本作の場合は
それらの要素があくまでも物語を盛り上げるための要素の1つでしかない

だからこそ本作がシンプルに楽しめる映画になってますし
余計なことを考えずエンターテイメントとして楽しめます

こんな題材ってデリケートなものではあるけど
本作のようにエンタメに徹底して
ただの1要素でしかないという扱い方は
腫れ物に触るような扱いなんかよりは
全然好感が持てます

結果的にこのエンタメな描きかたによって
足が不自由な大変さが痛いほど伝わったし
精神的な病の危うさにも気づける

深いメッセージ性はないけど
伝わってくるものはあるんですよね

 

シンプルなスリラーではあるけれど
とても丁寧に作られた完成度の高い作品だと思いました

最後までハラハラドキドキで楽しめる映画です

 


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ゲームについて語りたい「ファイナルファンタジーVII リメイク」 あのFF7の世界をリアルにより深く堪能できる

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どうもきいつです


アクションRPG「ファイナルファンタジーVII リメイク」について語りたいです

 

ゲーム概要

2020年4月にPlayStation4用に発売されたアクションRPG

1997年に発売されたファイナルファンタジーシリーズ7作目
「ファイナルファンタジーVII」をフルリメイクした作品
複数作に分けて展開されていく予定で
本作はオリジナルの序盤
ミッドガル脱出までをリメイクしています

2021年6月にはPlayStation5向けに
新要素を追加した「ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード」が発売されています

星のエネルギー“魔晄”を使い発展した都市ミッドガルを舞台に
主人公クラウドと神羅カンパニーとの戦いが描かれる物語

 

発売からずいぶん経って
今さら過ぎますけどもプレイしました

もうPS5版も発売されてますが
僕がプレイしたのはPS4の追加要素無しのやつです

僕は世代的にもPSのオリジナル版は
もちろんプレイしていて
それなりに思い入れのあるゲームです

このゲームにはいろいろ衝撃を受けましたし
かなり好きな作品
世間的にも名作と言われているゲームですよね

 

リメイク発売当初もプレイしたいとは思ってましたが
好きだからこそ
手をつけるのをためらいスルーしてました

でも、PS Plusのフリープレイで配信されたのをきっかけにやってみました

 

実際にプレイしてみると
美しい映像に懐かしさが相まって
とても満足できる内容でした

最新のクオリティの映像には感動すらさせられます

FF7が好きだった人は
かなり楽しんでプレイできるんじゃないでしょうか


このゲームにはいろいろと素晴らしい要素がたくさんあります


まず、1番このゲームで素晴らしいと思ったのが
オリジナルの世界観を損なわず
今だからこその美麗のグラフィックでそれが再現されているところ

クオリティの高いCG技術によって
FF7の世界が細かく描写されています

FF7と言えばやはりミッドガルの街並みで
当時のオリジナルでは表現できなかった
リアルなミッドガルを体験できる

SFとファンタジーが入り交じったような独特な世界の中に昔以上に入り込むことができます

少し荒廃したようなスラムの街並み
魔晄炉やその周辺のサイバーパンクな造形
ウォールマーケットのカオスな雰囲気
神羅ビルの未来感
などFF7らしい世界が
すごく細かい部分まで作り込まれています

中でもウォールマーケットにはかなりのこだわりを感じて
オリジナル以上に面白い街に仕上がっていたと思います
そしてFF7らしさもあふれ出ている

神羅ビル、地下鉄、陥没道路など
ダンジョンも細かく描かれていて
FF7の世界を味わえる要素になっている

ここまで作り込まれていれば
単に歩いているだけでもワクワクできて
フィールドを観察しているだけでも楽しめてしまう

これはスクエニらしい映像のクオリティで
期待通りの素晴らしさでした


そして次に
主人公のクラウドなど
登場人物たちがオリジナル以上に深く描かれていて
よりキャラクターを好きになることができました

オリジナルはやっぱり昔のゲームというのもあり
表情や声の強弱がわかりませんし
ゲームの容量的にも細かいエピソードや描写は少ないです

それがリメイクの本作になって
深く登場人物たちを掘り下げるエピソードが追加されていたり

映像がリアルになりフルボイスになったことで
細かい感情の変化が伝わり
キャラクターのバックボーンなども深く感じることができます

それによって昔よりキャラに感情移入でき
キャラ同士の関係性なども深く見ることができる

今回はオリジナルではモブキャラで
あまり存在感のなかったジェシー、ビックス、ウェッジにもエピソードが用意されていて
クラウドとの関係の深まりも描かれる

それがあるから
より物語に深みが生まれていたりもします

それに、ジェシーがやたらと可愛くてなっていて
第3のヒロインみたいにもなっていましたね


あと、やっぱり主人公のクラウドを
前よりも理解できた気がします

格好つけてるイタい中二病のイメージが強いけど
実は優しかったり可愛かったりする一面もあります

オリジナルでもそんな部分は見せてくれるけど
リメイクはもっと分かりやすく伝わってきます

エアリスとのハイタッチのとことか
クラウドのダサ可愛い姿が最高でしたし

特に根の優しさの表現がとても良かったと思う
クラウドの根本は優しい男なので
そこを上手く表現してくれていたのは
FF7ファンとしてはすごく嬉しい


ティファやエアリスはオリジナルより可愛くなっていて
でも元々のキャラクター性は損なっていない
ティファやエアリスだからこその可愛さなんですよ

バレット、レッドXIIIも上手く再現されていた
この2人は見た目が異質な感じのキャラだけど
リアルな映像にちゃんと馴染んでましたよね


あと、FF7ならではの
変なノリがちゃんと残ってたのも嬉しいです

変なキャラが変なキャラのままでした
リメイク初登場の新キャラも変だったりしたし
この変さはFF7の重要要素ですしね

 


個人的には概ね大満足だったわけですが
大絶賛できるゲームなのかと言うと
ちょっと微妙だったりもします

リメイクとしては高い完成度を誇りますが
1本のゲームとしてはマイナスな要素も多い

1番の問題点はストーリーです

本作のストーリーは
新要素が追加されているとは言え
大まかな流れはオリジナルとほぼ同じ

オリジナルでのミッドガル脱出までのストーリーは
本当に序章の序章で
何も解決していないどころか始まってすらないんですよね

ミッドガルを出てからがこのゲームの本当の冒険の始まりなんです

ところが、本作はミッドガルを脱出して物語が終わってしまう

分割だから仕方ないとは言え
1つのゲームとしては満足度が低くなります

打ちきり漫画によくある
「俺たちの戦いはまだまだこれからだ!!」
をそのまま体現したような終わりかたですし
クリアしてもカタルシスがあまりない

正直、ラスボスのセフィロスと戦ってる理由もいまいちわからず
倒して何かを達成したのかと言うと
特に何も達成していません


そして、ストーリーにはまだ問題があって

本作はリメイクと言いながら
オリジナルとは別のストーリーを辿る方向に進んでいきます
オリジナルとはパラレルワールド的な位置付けなんです

最近で言えばアニメのエヴァ新劇場版みたいな感じです

それ自体はべつに悪くはないですし
ストーリーが以前と違う方向に進んでいくのにはワクワクもさせられます

ただ、このゲームの問題は
そこがメインになってしまっているということ

本来はパラレル的なストーリー展開は
裏設定、裏ストーリーであるべきだと思います

でも、本作はラストに近付くと
本来の運命を変える
という物語にすり替えられ
そこにカタルシスを生み出そうとしてるわけです

FF7でのクラウドたちの本来の目的は星を救うことで
運命を変えるというのは目的がズレてるようにも思う

それに、このゲームでの
運命が変わること
にカタルシスを感じるのはオリジナルをプレイした人だけで
初めてFF7をプレイする人からすれば
なんのこっちゃ
って話ですし

ちょっと制作側の自己満足にもなってしまってる

しかも、運命が変わることに関しても
この1作だけでは大してオリジナルからの変化はほとんどなく
結局は全て続編へ持ち越しになってます

なので、どっちにしろ
このゲームにはあまりカタルシスが生まれてないんですよね

 

あとは
ゲームシステムもちょっと微妙

全体的にちょっと時間稼ぎのような要素が多いです


例えば戦闘ですけども

戦略性があって根本は悪くないんですが
敵が固すぎる

雑魚ですら倒すのになかなか時間がかかる

そうなると
結局、作業的になってしまうんですよね

ボスなんて本当に時間がかかりますから


マテリアを装備して多様な戦い方ができるシステムではあるけど

マテリアを駆使しても多少戦闘が楽になるくらいで
戦闘は長引いてしまう

そして、最終的にはマテリアの装備なんて適当になって
たくさんあるマテリアはほぼ使ってない状態になっていました


フィールドにしたって
探索に時間がかかるというよりは
広いから移動に時間がかかるって感じ

ギミックや謎解きなども用意されてるけど
そんなに多いわけでもなく
フィールド移動はただ面倒くさいだけになってきます

サブクエストとかでも
やたらと移動を強制され
少しストレスにもなりました


無駄に時間がかかる要素が多いので
爽快感はあまりないですかね

 

で、やり込み要素もほぼ無くて
メインストーリーを終えてしまうと
やることは無くなります

正直、成長システムも微妙なので
強くする気もあまり起きないし

そもそも、強くしたところで目的がありません

クリアした時に
感動よりも解放された感が強かったかも…


そういうことがあり
1つのゲームとしていまいちなのは否めない

 

マイナス要素もいろいろ挙げましたけども
FF7の世界を堪能するという点では
かなりクオリティが高く素晴らしいゲームだとも思います

オリジナルのFF7をプレイしていない人は
あまりハマれない可能性はあるけども

子供の頃にオリジナルにハマっていた人は
かなり満足できるゲームじゃないでしょうか

やっぱり僕は
この完成度に感動することができましたし
より深くFF7を知る事ができたと思う

続編が出れば絶対にプレイします

 


ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード -PS5