何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ローズマリーの赤ちゃん」感想 怖さがボディーブローのように地味に効いてくる そんな映画

 

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どうもきいつです




1968年の映画「ローズマリーの赤ちゃん」観ました
名作と言われているホラー映画ですよね

 

タイトルは知っていましたが
今回、初めて観ました

 


本作は小説が原作みたいです
監督は「戦場のピアニスト」などで有名なロマン・ポランスキー監督です

僕は、ポランスキー監督の映画はそんなにたくさん観てないですが
ちょくちょくは観てます
2011年の「おとなのけんか」とかは結構好きです

本作はポランスキー監督の作品の中では
初期の方の作品ですね



あらすじ
マンハッタンのアパートに、ローズマリーとその夫が引っ越してきた
そして、ローズマリーは子供を身篭り
隣人たちの奇妙な気遣いに不信感を抱きつつも日々をを過ごしていた
そんな日々の中、彼女は精神が不安定になっていき
アパートで不気味なことが進行しているという幻想にとり憑かれていく



感想
この作品は、ホラー映画なんですけど
平均的にみんなが思っているホラーではないと思います

どういう事かと言うと

たぶん、ホラー映画を観るときって
驚きたいとかヒヤッとしたいとか
そういうのを期待して観ると思うんです

他には、グロテスクな表現だったりスリルだったり
ゾンビみたいな異形の存在とかを求めてますよね


でも、この作品にはそういうのは一切ないんですよ

ホラーでありがちな
急にデカい音で驚かすとか
血みどろのシーンとか
全くないです

幽霊とかモンスターとか
そういった類のものが画面に映る事もないです


この映画には
不気味さ、不穏さ
どことなく気持ち悪い雰囲気の空気感
これがあるだけです


だから、これぞホラー映画って作品を観るつもりで
本作を観ると

思ってたのと違う
こんなの求めていたわけじゃない
退屈だ
と思ってしまうんじゃないでしょうか


でも、そういうのを取っ払って観てみると
なかなか怖いと思うし
すごい気持ち悪い映画だと思う



冒頭とラストで流れる音楽
綺麗な曲ではあるんですが
とても不穏な感じもして
不安な気持ちになる

この曲がこの映画の入り口です
この不安な感情がこの後も尾を引くように続いていきます



ローズマリーと夫のガイは
ラブラブの新婚カップルで
最初の方とかずっとイチャイチャしてます

その2人の前に現れる
隣人のカスタベット夫妻
この2人がずっと気持ち悪いんですよ

ちょっとおせっかいなだけの人たちにも見えるんですが
それでも、なんか違和感がある
この、絶妙な空気感がなんとも不気味さを感じさせてくれる


そして、個人的に特に気持ち悪かったのが食べ物

事あるごとにカスタベット夫妻が
晩ご飯に招待してくれたり食べ物を差し入れてくれたりするんです

これがマジで気持ち悪い

手作りのチョコレートムースとか
絶対に食べたくない
まだそんなに親しくない人の手作りで
その上、変な味がするんですよ

ローズマリーが妊娠してからの
毎日のように持ってきてくれる謎のドリンクも
気持ち悪すぎる

こんなもんよく飲み食いできるな
と思いながら観てましたよ

そもそも、僕は他人の手作り料理とかにすごく抵抗感を持っています
友達の家のカレーとか絶対食べれない質です

なので、こんなの見せられたらめちゃくちゃ不快ですよ
吐きそうになる



ローズマリーの変貌ぶりも見所です

最初の方のローズマリーは
とても可愛らしい新妻って感じで
すごく魅力的です
希望に満ち溢れた表情も素敵ですね

そこからの後半部分の変貌ぶり
肉体的にも精神的にも病的になていく様子
これが不安になるし怖さも感じる

観ている側としては

最初は、周りの人たちがおかしな人たちでローズマリー可哀想だな
って思ってたんですが

途中からは、本当はローズマリーがおかしいんじゃないのか?
全部彼女の被害妄想じゃないのかな
って思えてきます

この彼女の変わりようにも不気味さが表現されています



なによりも、この作品を観ると
人間不信に拍車が掛かる

人間なんか信用できない
周りは敵だらけ
信用したら負け

そう思わされる


夫のガイなんて
ホントにクズですよ
味方だと思ってた人間に裏切られる
これ以上の屈辱はないです

こういう人間の怖さなんかも描かれています



そして、ラストシーンの赤ちゃん
全く赤ちゃんが画面に映されません

人によってはめっちゃ見たいと思う
どんな姿をしていたのか
確かに気になる

これを見せてくれなかった事で怒る人もいるかも
クソ映画と言う人もいると思う

でも、これを映し出さなかったのは正解じゃないでしょうか
このラストで本作の不気味さが完成したとも思えます

変に気持ち悪くてグロテスクな姿を見せても
逆にショボくなってしまう気もしますし

この作品のラストとしては
これが良い終わり方だったんじゃないでしょうかね


ローズマリーが最終的には周りに飲み込まれてしまうような
終わり方も
何とも言えない不気味さです

気持ち悪い余韻が残ります



よくあるホラーに比べると
少し違った雰囲気の作品でした

それ故に、観る人によっては感想が変わってくると思います
僕は、結構好きな作品でしたね
こういう怖さもたまには良いです





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