何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」感想 鬱映画だけどそれだけじゃない 人生の糧になる作品


どうもきいつです




映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」観ました

 

2000年に公開されたデンマークの映画
手持ち撮影主体のドキュメンタリーの
ようなカメラワークと
主人公の妄想を表現した
色鮮やかなミュージカルシーンが
特徴的な作品
鬱な映画としてもとても有名です





あらすじ
セルマは女手ひとつで息子のジーンを
育てながら工場で働いている
彼女に対して理解と愛情を持つ人々に
囲まれ満ち足りた生活を送っていた
しかし、彼女は遺伝性の病のため
視力を失いつつあり
ジーンも手術を受けない限り同じ運命をたどってしまう
そのために、セルマは昼夜を問わず
働き続け手術費用を貯めていた




感想
噂通りにかなり重たい映画
ラストが衝撃的だった
そして、いろいろ作品について
考えたくなる
そんな作品でした



後味の悪い映画と言えば
絶対に名前が上がるであろう本作
はじめて鑑賞しました

言われていた通り
本当に後味悪いですね
救いが無いし胸糞も悪い
やるせない

いわゆる鬱映画
ってやつですね


でも、ただの鬱映画と
簡単に一言で言ってしまう事の
出来ない作品だとも思いました

こんな作風だし
嫌いな人はとことん嫌いだと思う

どうせ映画を観るなら
ハッピーエンドが良い
って人もいっぱいいると思う


しかし、ハッピーエンドの物語だけじゃ
駄目ですよ
こういう暗い映画も必要だと思う



そもそも、この映画は
本当にバッドエンドなのかな?
とも思える

少なくとも、この映画の中では
主人公セルマが
自分の思うように生き
そして死んでいった
自分の人生を全うしている
ようにも見えました

本当に彼女は不幸だったのか?
確かに不幸に見舞われた人生ではあるけれど
精神的には満たされていたんじゃないかな
と思えます



この映画で特徴的なのは
ドキュメンタリーのような撮り方をしている
現実のストーリのパートと
それに反し、セルマの心情を表した
ファンタジーのようなミュージカルのパート
を対比して描いている表現

これも、一見すると
ただ辛い現実から逃れるために
理想的な美しい妄想の世界へ現実逃避している
不幸で可哀そうな女
というように見えるんですが

本当にそれだけかな
って思ってしまいます


現実から目を背け
殻に閉じこもるための妄想
というよりは

辛い現実を少しでもマシにするため
辛い現実を乗り越えるための
妄想のように思えて

妄想や空想のようなフィクション的なものは
生きて行くためには
とても重要で必要なもの
というメッセージも感じられる

「エンジェル ウォーズ」や「ライフ・オブ・パイ」
などにも通じる表現じゃないかなと
感じました



そして、この映画は
反面教師的な作品でも
あると思います

この映画を観て
自分はまだこの人生よりはマシだ
自分はこうならないように生きよう
そう思うことのできる作品

主人公のセルマは
決して利口とは思えない

頑固だし人の言葉は聞かない
自分の意見は曲げない
自分勝手な部分もある
そして他人を頼らず
そのクセお人好しな部分もある

妄想癖も相まって
精神年齢が子供なのかなと
思えます

この不幸な結末を迎えたのは
自業自得な部分も大いにある


人として愚かで未完成な部分を描き
だからこその理不尽な現実を突きつける


そして
この理不尽な世界こそ本物で
実際の人生もこんなもんだよ
この作品を観て自分の人生を見直してくれ
って言われてるような気がする


生きるための糧になる
そんな作品だとも思いました




そして、全編とても暗い映画
なんですけど

ミュージカルシーンは美しいし面白い
エンターテイメントな一面も見せてくれる
音楽的にも映像的にも
楽しいシーンだと思います

ミュージカルシーンを
明るく楽しいエンターテイメント的に
見せる事で
現実のシーンがより際立ち
お互いの相乗効果にもなっていると思いました

こういう映画的な仕掛けも
上手く使われている作品です




とても悲しい物語ではあるんですが
ただ暗いだけでなく
人生にとって重要なことを
教えてくれる映画でした
観て絶対に損はない作品



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