何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「十二人の死にたい子供たち」感想 いろんな意味で計算しつくされた作品 感心した

 

どうもきいつです




ミステリー映画「十二人の死にたい子供たち」観てきました

 

沖方丁による同名のミステリー小説を
「トリック」「20世紀少年」などの堤幸彦監督が
映画化しました
自殺をするために集まった少年少女たちの
間で巻き起こる謎を描いたミステリー作品





あらすじ
とある廃病院にあつまった12人の少年少女たち
彼らの目的は安楽死をすることだった
しかし、その場所には
いるはずのない13人目の少年の死体があった



感想
推理ミステリーとして
とても面白く観れました
でも、それよりも
この映画の狙いが
かなり計算されていた
ということに感心した



この映画
普通に楽しんで観れました

本作の中心である推理ミステリーが
かなり作り込まれた内容で
見せ方も良かったし
とても観やすかったです

ちょっとテンポは悪かったですけど


ミステリーの内容は
とても立体的な構造

時間や登場人物の行動
建物の構造
など
それらが複雑に入り組んで
なかなか見応えがあります

そして、矛盾やツッコミどころも
少ないと思う

結構、出来のいいミステリー
だったんじゃないでしょうか


ラストもすきっりした終わり方で
後味も良かったです



でも、そんな事より
今回、僕がすごいと思ったのは

この映画の狙いが
しっかり計算されていて
しかも、それが見事に成功している
というところ


どういう事か細かく言うと

この映画のターゲットは
中高生や普段映画をあまり観ない人たち
だと思います

そもそも出演者がそういう層を狙った
キャストです
杉咲花、新田真剣佑、高杉真宙、橋本環奈など
注目の若手俳優たち

僕が本作を観た回も
ほとんどが中高生で
それも明らかに普段映画なんか
観ないだろうなって感じの人が多かった

そして、この映画はそういう層の人たちに
面白いと言わせれる内容の作品でした


何故かと言うと
この映画、めちゃくちゃ親切な内容に
なっています

まず、伏線をめちゃくちゃわかりやすく
見せてくれる
明らかに怪しい物なんかを
わかりやすく画面に映して
これ、伏線ですよ
って教えてくれる


登場人物のキャラクター設定も
とてもわかりやすい
見てわかるように
服装や髪形は違うし
内面も大げさなほどキャラ分けされています

それぞれのバックボーンも
ちゃんとわかりやすく説明してくれる


そして、肝心の謎解きシーンも
すごく丁寧に教えてくれます
映像と言葉で
きっちり解説してくれる

さらに、エンドロール
エンドロール中に
事件の真相を時間軸に合わせ
それぞれの行動も共に
もう1度見せてくれる
ちゃんとその時の時間まで表記されてる


ここまでやれば
この映画が理解できない人間は
いないと思う

悪い言い方をすれば
馬鹿でもわかる映画


でも、馬鹿でもわかる映画だからこそ
普段映画を観ない人にとっては
ちょうどいい

小難しくしてしまえば
ライトな層のウケは悪くなる


他にも
自殺と言うテーマを扱っている割には
かなりポップな雰囲気の映画でもあります

自殺するために集まった人間の割に
結構、明るいキャラや楽観的なキャラが
多いと思う
ギャグみたいなシーンも入りますし

そんなに重たい映画じゃないんですよね


しかし、メッセージ性もちゃんとあり
それもめっちゃわかりやすい

自殺なんかやめて
頑張って生きていこう
そんな感じのことです

こういう部分も観やすい要因に
なっていると思います


そして、これら全てはたまたまじゃなく
計算されての事だと思います

明らかにこの映画を観る層を想定して
それに合わせた作り方をしている

これには感心するしかない

さすが売れっ子監督



ただ、個人的な好みを言えば

この設定なら
もっと重くて暗い話で観たかったな
とは思います

それぞれのキャラも
あんまり自殺するタイプの人間には
見えないですし
キャラに説得力が無い
もっと絶望感を出してほしい

そうすればメッセージの強さもでるし
この映画に重みも出たと
思います

伏線ももっとさり気なく
わかりにくくして
最後にあっと言わせてほしかった


でも、こういう映画にしてしまうと

ライトな中高生が観た時に

暗い話だし意味わからない
つまんな
で、終わってしまうと思うので
本作のやり方が成功だと思います


たぶん、この映画を観た中高生は
学校でこの映画が面白かったって
同級生たちにオススメすると思う

そこから、さらに観に行く人たちが増えて
この映画の動員数が増える


結論は
やっぱりプロってすごいな



あと
ヘルペスのくだりはとても面白かった
普通に吹き出しちゃいました

その後の
ヘルペスも同じだよ
ってところはかなり良かったと思います
この映画で1番心に響いたシーンでした



中高生もバカではないので
やっぱり中身が無いものは
面白いと思わないでしょう

でも、本作はミステリーとしても
しっかりと作り込まれてるし
ちゃんと内容も伴った作品だと
思います

ちょっとライトな作品な上に
説明過多なので
物足りないと思う人がいるのも
事実だと思いますがね



十二人の死にたい子どもたち (文春文庫)