何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「メッセージ」感想 完成度が高い作品 だからこそ重要な所での矛盾はもったいない


どうもきいつです




SF映画「メッセージ」観ました

 

テッド・チャンの短編小説
「あなたの人生の物語」を基にした作品
「ブレードランナー2049」などの
ドゥニ・ヴィルヌーヴが監督を務めた
2016年のSF映画です

 

地球に現れた謎の飛行物体で飛来した
知的生命体との対話に挑む人間たちの物語





あらすじ
巨大な飛行物体が突如地球に降り立ち
世界中が混乱に包まれる
言語学者のルイーズは飛行物体に
乗ってきた者たちの言語を解読するように
軍から依頼された
言語を読み解いていくうちに
彼女は不思議な感覚に陥るようになっていく



感想
世界観や作品のテーマは
かなり自分好みで
好きな作品でした
でも、SF的な矛盾や
ストーリーの強引さが
目立ってもいました



全体的にはとても好きな作品で
最後まで楽しんで観れました

SF映画とは言っていますが
物語は人間ドラマ重視です

SF特有の派手なシーンとかは
ほぼ無いです

宇宙人がどういう目的で地球へ
やってきたのか
その謎を地球人たちが
頑張って解き明かそうとする
そんな物語です

その様子をミステリー的な
描き方で表現しています


最初から多くの謎が散りばめられています
しかも、何が謎だかもわからない
って描き方をしていて
最初は話を掴むことも
ちょっと難しいです

でも、物語が進むにつれ
謎は解き明かされていき
最終的には一本につながる

ミステリー的には
かなり完成度が高いんじゃないでしょうか


序盤の謎もちょうど良いわかりにくさ
と言いますか
わからないから観るのやめよう
とは思わない程度の
わかりにくさでした

中盤あたりも
謎を解明し過ぎず
少しずつ真相に近づいていき
最後まで興味を持続させてくれます



世界観の作り方も
とても上手かったと思います

宇宙人が攻めてきたから
こっちも応戦するぞ‼
戦争じゃー‼
って感じの殺伐としたSFじゃなく


相手が得体の知れない存在で
目的も全く分からない
動きも全く無いし不気味

なので、じっくり調査して
相手ともコミュニケーションを
とるように努力する

そういうリアル系のSFです


なので、とても静かな映画です
派手なSFを期待して観てしまうと
拍子抜けしてしまうと思う

しかし、その静かな中にも
宇宙生命体の目的が
なかなか解けない煩わしさや
国同士の駆け引きなど
なかなか緊迫した空気感で
ピリピリしたものもあります


そんな、静かでミステリーなSFなんですが

その世界観をさらに際立たせていたのは
音楽だと思います

かなり独特な音楽です
音楽というか効果音に近いかもしれない

神秘的で神々しさすら感じられます
その中に荘厳さや不気味さも感じます
この映画の音楽としては
かなりマッチしていたんじゃないでしょうか



さらに、ドラマ部分も
しっかり描かれています
そして、そのメッセージ性も良かった

簡単に言えば
過去にも未来にも捕らわれず
今を全力で生きよう
って感じの事です

言葉で言ってしまえば
ありがちなメッセージですけど

ドラマの中でそれを説教臭くなく
伝えてくれます

主人公ルイーズが
最終的に知ってしまう未来
それは良い未来ではなく
避ける事も出来ないですが

それでも、それを受け入れて
今を噛みしめて生きていこう

そういう姿が心に刺さります



てな感じで
好きな作品ではあるんですけど

SF的な矛盾点は
やっぱり気になってしまいます


終盤にルイーズは
未来を見る事ができるようになります
そしてその能力を使い
困難を乗り切る

その方法が

調査団が撤退することになり
一刻も早く宇宙人の言葉を
解読しなければならない

その時に
未来の自分が書いた
宇宙生命体の言語を解読した本を
思い浮かべる

そして、現在で瞬時に言葉を
解読するんです


中国のシャン上将を説得する場面でも
未来でシャンに会った時に
電話番号を教えてもらい
現在で電話をかける


これってどちらも
タイムパラドックスが起きてますよね


未来を見て言葉を解読したとして
じゃあその未来の本は
どうやって出来上がったのか?

未来で電話番号を教えてもらったとして
じゃあ未来のルイーズが
電話番号を知らないのはおかしい

そして、この映画では
未来は絶対変えられないもの
として描かれています
それは時間軸が1つしか無いという事です


これは完全に矛盾です
1つしかないはずの自時間軸に
複数の世界が生まれてしまっています

ここはSFとしてはかなり重要
SF作品として大きな欠点に
なってしまっています



ストーリーも
終盤かなり強引に進めてしまって
納得しづらくなっています

最後の一触即発の緊迫した状況
中国が宇宙船に攻撃するかどうかの
ギリギリの場面で
ルイーズの電話一本で
全てが丸く収まってします

いくらなんでも急展開過ぎて
違和感しかないです

ルイーズは未来で聞いた
シャンの妻の最後の言葉を
伝えるんですが

それだけで攻撃を辞めてしまうなんて
さすがにおかしいと思います




矛盾点やおかしな部分もありましたが
それでも
楽しんで観れた作品ではありました

他にもループなんかが
この作品では重要なテーマに
なってると思うんですが

そんなことまで考えたら
頭が爆発しそうなんで
今回はこの辺で終わっときます





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