何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「永遠のこどもたち」感想 深みはあるが個性が無い

 

どうもきいつです



ホラー?映画「永遠のこどもたち」観ました

 

「パシフィック・リム」「シェイプ・オブ・ウォーター」などのギレルモ・デル・トロが製作総指揮を担当し
「怪物はささやく」などの
J・A・バヨーナが監督を務めた
2007年のスペイン・メキシコの合作映画です

 

母親の深く強い愛をホラーテイストで描いた作品
ホラー映画かどうなのかはちょっと微妙

 



あらすじ
孤児院で育ったラウラは
閉鎖されていたその孤児院を買い取り
夫のカルロス、息子のシモンとともに
移り住んでいた
だか、シモンは空想上の友達を作って
遊ぶようになり
その姿にラウラは不安を覚える
ある日、シモンはこつ然と姿を消してしまう



感想
謎の多い作品
だから考察の余地があって
観終えた後も楽しめる
でも、既視感を感じる作品
でもありました
ちょっとオリジナリティが薄い



この映画
一筋縄ではいかない内容の作品でした
意味深なシーンはあるし
ホラーのようでファンタジー
でも、リアルな世界を描いている

ラストの見方によったら
意味が真逆にも感じる
意味深な終わり方です


こういうのは
ギレルモ監督の「パンズ・ラビリンス」の
作りにとても似ています

この作品は、リアルとファンタジー
そして死を扱った作品
この映画もラストの見方で
物語の意味が変わってくる

見方を変える事によって
ハッピーエンドともいえるし
バッドエンドともいえる

この点では「シェイプ・オブ・ウォーター」も
似ていると思います


本作も同様の作風になっています
具体的に言っていくと

作品全体はホラー映画の様式です

息子が行方不明になり
それの原因を探っていく母親ラウラ
そして過去のある事件が発覚
その事件に関わった霊たちの
怨念渦巻く物語
そんな感じです

ただ、これはあくまで表面的な部分
ある意味ファンタジー的な要素です


しかし、そのファンタジーな物語と並行して
現実的なものも描かれています

それは
母と息子の関係性、お互いの心情
息子を失う事でのラウラの精神的に
不安定な様子
事件の真相に関わる人間の存在
そして、失踪事件の真相

これらが、この作品のリアル要素


この、ファンタジーとリアルの要素
これの捉え方によって
ラストの見方が全く変わってきます


この映画を

現実逃避を続け
最終的に現実を受け入れることが
できなかった人間を描いた
リアルなストーリーと受け取ったならば

この映画は
生から逃げた弱い人間の物語


逆に
息子のために自分の信念を貫いて
得体の知れないものと戦うことを決心し
全ての真実を知った時に
全てを受け入れ新たな世界へ旅立つ
そんなファンタジーなストーリーと
捉えたならば

この映画は
生から解放された神聖な物語


そんな風に物語の捉え方が
全く異なってくると思います


僕は前者のリアルな物語と捉えています

たぶん、この映画で伝えたいものは
リアルな部分だという事が大いにあると
感じたからです


その他にも細かく見ていける部分は
たくさんあると思うんですけど

僕が言いたいのはそこではなくて



この映画は
結局、1つの作品としてどうっだったのか
って事です


面白い作品ではあると思います

ホラー映画としても
不気味な雰囲気は魅力的ですし
怖いシーンもありました
世界観も作り上げられていると思います

ドラマとしても
母親の気持ちを細かく描いた物語で
息子とのどう向き合うのか
良い部分も悪い部分も表現されていて
重みもあります

なにより考察の面白みも
本作の魅力でした
深い作品ではあると思います


ただ、それらに新鮮味が無く
どれもなんか見たことあるな
って感じなんです

それの原因は
オマージュの多様だと思います

この映画はオマージュの多い作品です

霊媒師のくだりとかは
「ポルターガイスト」っぽかったり
ホラー表現はJホラーっぽくもある
他にもいろいろ
オープニングとかもそうですね

そんな感じで
他作品のリスペクトを感じる映画なんですが
ちょっと過剰過ぎてオリジナリティが
薄いような気がします

そもそも、作品の作り自体が
完全に「パンズラビリンス」です

本作で考察したような事は
「パンズラビリンス」を観た時に
考えつくしたような事で

本作を観た感想も「パンズラビリンス」を
観た時と結論はそんなに変わらないです


総指揮がギレルモ・デル・トロ
っていうのもあるとは思いますが
それにしても
もっとバヨーナ監督の色を
出すべきだったと思います
ギレルモ監督への敬意は伝わってきますけど

結果的に作品自体の個性が薄く
印象に残らない作品に
なってしまったんじゃないかと思います



それでも
悪い作品ではないと思います
メッセージ性も含まれた
良作です
ホラー映画としても
全然悪くないと思いました



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