何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ゆれる人魚」感想 独特な世界観 好き嫌いが分かれる映画


どうもきいつです



ファンタジー映画「ゆれる人魚」観ました

 

1980年代のポーランドを舞台に
肉食人魚姉妹の少女から大人への
成長物語を描いたホラーファンタジー

 

監督は本作が長編デビュー作となる
ポーランドの女性監督
アグニェシュカ・スモチンスカです






あらすじ
海から現れた美しい人魚の姉妹が
ナイトクラブを訪れる
セクシーかつワイルドな彼女たちは
一躍スターになるが
1人がベーシストの男に恋をすると
姉妹の関係が崩れていく



感想
雰囲気がすごく良かったし
すごく好きな映画
内容は大したことない
好き嫌いが分かれると思う



童話の人魚姫に
ミュージカルとエロ、グロを
プラスしたような映画でした

これがなかなかいい味を出していて
楽しんで観る事ができました

血が出たり痛い描写も多いので
そういうのが苦手な人は
観れないかもしれません


まず、主役の人魚姉妹
シルバーとゴールデン
この2人がとても魅力的です

容姿も可愛いし美しい
歌声も綺麗です
人魚の妖艶な魅力を出せていると思います

それだけでなく
彼女たちの暗い部分も感じさせられるし
怖さや残忍さも見せられる
気持ち悪さみたいなのも感じます
人間ではない存在
というのもしっかりと伝わってきます

これだけでも1つの世界観が
でき上がっていると思いました



ミュージカル、音楽も
かなり好きです

音楽はちょっとダサいような曲が多い
でもポップで耳に残ります
ダサカッコいいってやつですかね
ダサさが逆に良かったです

ミュージカルシーンは
アメリカの大掛かりなミュージカル映画
とは違って
とてもこじんまりしている

大掛かりなセットの中で踊る
みたいな感じではなく
狭い部屋の中や暗い路地など
若干汚さも感じるような場所

派手さや壮大さが無い
とても地味なミュージカルです


ダンスも本格的なミュージカルとは違い
そんなにみんな揃えて踊ってるわけでなく
ちょっとゆるい感じ

観ている側もそんなに緊張感を感じず
ちょうどいい感じのダンスです


全体的に
良い意味で本気じゃないミュージカル
って感じがとても良かったです
ミュージカルなのに煌びやかさが
全然ありません
それがこの世界観にも合っています



そして、ホラーな世界観も
個人的にとても好き

ホラーと言っても怖くはないです
ただ、全体的に暗い雰囲気で
ジメジメした空気感が漂ってる映画

スプラッター、ゴア描写も
ちょくちょく出てきます


人魚のビジュアルも
綺麗な人魚というよりは
生々しくて魚っぽくぬるっとした質感

映画の中でも生臭いと言われていましたが
本当に臭そうに見える見た目です

だから、人魚と人間の恋というのも
普通の恋愛というより
ちょっと変態的なものも感じてしまう
そういう気持ち悪さもあります


スプラッター描写なんかも
こんな世界観で見せられるので
より気持ち悪さを感じます

そこまで激しい見せ方はしてないんですけど
不快感はそれ以上に感じました



いろいろ歪な要素が混ざり合って
1つの統一感のある世界に
出来上がってると思います

だから、終盤あたりのシルバーが
人間になるための手術のシーン

ここってどう考えても無理のあるシーンで
こんな手術100%成功するはずないし
絶対おかしなシーンなはずなんですけど
この世界観ならなんか受け入れてしまう
そんな謎の説得力があるんですよね

不思議なバランスの映画でした



しかし、内容はとても薄いし
大したことのないストーリーです

童話の人魚姫とそんなに変わらないですし
特別に面白い話ではないです


だから、この映画の独特なクセの強い
世界観が受け付けなければ
全然面白い映画じゃないと思います

むしろ、嫌いになるかもしれない

好き嫌いがハッキリ分かれる
映画だと思います

ただ、ハマれば
めちゃくちゃ好きになれると思います
僕はこの映画かなり好きです



とはいえ
もしストーリーがしっかりしていて
深い内容の映画になっていたとしたら
全体のバランスが崩れていたようにも思います

この薄い内容だからこそ
他の要素が生きていたようにも感じます

万人に好かれることが素晴らしい作品
ってわけでもないと思いますし
これで良かったのかも



この映画が好きか嫌いかは
観てみないとわからないと思います
どちらにしろ
不思議な世界は味わえると思う




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