何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ももへの手紙」感想 漂うエセジブリ感 妖怪たちがマジで嫌い


どうもきいつです



アニメ映画「ももへの手紙」観ました

 

父からのこされた1通の手紙を胸に
瀬戸内海の島へと移り住んだ少女が
体験する不思議な日々を描いた
ファンタジー作品

 

「人狼 JIN-ROH」で注目を集めた
沖浦啓之監督が7年の製作期間をかけて
完成させた2012年の長編アニメーション映画です





あらすじ
小学6年生のももは
母とともに親戚のいる瀬戸内海の島へ
引っ越してくる
事故で他界した父からの
「ももへ」と一言だけ書き残した手紙を手に
ももは空虚な日々を過ごす
そんなある日、ももの前に3人の妖怪が現れる



感想
絵のクオリティは高かったと思う
でも、内容が薄すぎる
どの要素も中途半端に終わってました
あと、子供向けなのか
大人向けなのかもよくわからない



絵のクオリティはとても高い映画でした
さすが製作期間7年だけのことはある
ちょっと時間がかかり過ぎな気はしますが…

でも、それだけの事はあって
細かい部分まで描き込まれているし
キャラの動きも綺麗です

少し淡い色合いが
この映画の世界観や空気感を
表せていると思います


その中でも人物の描き方は
すごく良かったし
個人的にも好きなタイプの絵です

顔や表情が
リアル過ぎずデフォルメし過ぎず
これが丁度良かった

アニメって大体簡略化されて
顔とかもすごくシンプルになりますが
本作は普段アニメで排除されがちな
顔のしわや歯なんかも
しっかりと描きこんでいます

なので、表情の変化が
ストレートに伝わってきます
絵だけでキャラの心情とかも伝わってくる

だからってリアル過ぎて
気持ち悪いってこともなくて
基本的にはシンプルな絵なんですが
ここぞという時にリアルな描写を見せる

リアルとデフォルメの境界も
自然に繋がっているので
急に画風が変わった
というようにも見えません

キャラの動きも
リアルな動きと大げさな動き
これが丁度いいバランスで
全然違和感なく見れました


全体的に世界観の調和がとれている
アニメ表現だったと思います



アニメ映像のクオリティは
とても高かった映画だったんですが
内容がかなり薄かったです

ストーリーや設定の既視感が強く
なんか観たことあるような映画に
なってしまってます

なんかジブリっぽくもあるし
エセジブリ感が否めない作品です



で、結局この物語は
何を見せたいのか
定まってないような気もします

母と娘の母娘愛なのか
父から残された思いなのか
新しい場所に馴染んでいくももの姿なのか
妖怪たちとのファンタジーなのか

どれもが同じくらいの比重で描かれてるし
どれもがちょっとずつ弱い気がする

だから、最終的に何を伝えたかったのかが
いまいちわかりづらいです


それと
子供向けか大人向けか
それもあまりわからない

全体的にはファンタジーな
子供向け映画のようにも感じますが
キャラがあまり可愛くなかったり
大人目線の描写も入ってるような気もするし
子供が喜ぶような映画じゃないです

だからと言って
内容は薄いしとてもシンプル
主人公は子供なのであまり感情移入もできず
子供時代の懐かしさも感じられない
大人が観るアニメって感じでもないんですよ


このどっちつかずの感じが
とても入り込みづらいし
結局、何がしたかったのかが
わからないんです



あと、この映画で致命的だと思うのが
3人の妖怪です

コイツらが
とにかく可愛くないし
ただただ不愉快
嫌いです

この妖怪たちは
自分勝手に動き回り
人の話は聞かず
自分の保身に関わる事でしか
行動を起こさない

トラブルメーカーとして
物語に動きを出す存在だと思うんですけど
それにしても愛嬌が無い

コイツらはトラブルばかり起こしますが
最終的に成長することも無く
謝りもしない
全く改心しないんです

それなのに最後には
なんか良い話風になっていて
正直、ここが気持ち悪い

終盤のももを助けるというシーンも
結局は自分たちのために
やってるだけなんですよ

しかも、この事件を起こしたのも
コイツらですしね


この妖怪たちを
もっと好感の持てるキャラクターに
仕上げるだけで
全然この映画の印象も変わったと思います



アニメ映像のクオリティは高いですが
それ以外がかなりお粗末でした
特に妖怪は本当に不快感しかない

映像を観るという点だけで言えば
この映画は良かったと思います





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