青春恋愛映画「君に届け」観ました
同名の人気コミックを実写映画化した
2010年の学園青春ドラマ
素直で純粋ながら見た目の暗さが原因で
孤立しがちな女子高生が
クラスの中心人物の優しさに触れることで
成長していく姿を描いた作品です
監督は「お・と・な・り」などの
熊澤尚人が務めています
あらすじ
見た目が暗く周りから貞子と呼ばれている
黒沼爽子はクラスに馴染めないでいた
そんな彼女に、クラスの中心人物の
風早翔太はひそかに好意を抱いていた
風早の言葉を励みに爽子は徐々に
他のクラスメートとも打ち解けていく
感想
ちゃんと恋愛してるし
ちゃんと青春している映画
余計な設定に頼らずに
恋愛映画として成り立っていて
好感が持てました
ただ、ちょっと弱い
記憶には残らない作品だと思う
原作漫画は未読で
テレビアニメは軽く観たくらいで
がっつりは観ていません
だから、全体の流れや設定は
知っていましたが
深い内容は知らずに本作を観ました
この映画を観終わって
青春ラブストーリー観たな
って気持ちになれました
邦画のラブストーリーって
ほとんどが中身薄っぺらくて
人物の心情や人間ドラマを全然描かずに
設定だけで
泣かそうとしてるのが多いです
不治の病だとか
どっちかが死ぬとか
いじめ、自殺、援交
ファンタジーやSF設定
そういう上辺だけの設定でしか
物語を作れてない作品がとても多い
そういう要素を使うのもいいと思うけど
そういう要素ですら
薄っぺらくしか描けてない
そんな中、本作はちゃんと作られていると
思いました
主人公の恋愛をメインに
登場人物の成長や人間ドラマも
しっかり描けていますし
キャラクターの内面なども
セリフで説明するだけでなく
行動や表情で表現できていたと思います
物語の展開や設定は
少女漫画の王道ストーリーで
女の子の妄想を形にしたような
話なんですが
その青臭さが青春ストーリーに
とても合っていると思いますし
人生の中の一瞬の出来事
のように感じ取れます
この映画は
人生最大の恋愛を
描いているわけではなく
青春時代の1エピソードを
描いているだけの物語
というのもとても好感が持てる
こういうのこそが
ラブストーリーだとも思えます
なんでもかんでも壮大にして
大恋愛にすればみんなが感動する
ってわけでもなく
本作のような儚くてかけがえのないような
ちょっと地味な物語も大事だと思う
そんな中だからこその
ちょっとだけ成長する姿が
感動的にも感じれる思います
爽子が冬からバス通学に変更する
というところでは
そのせいで爽子と風早は
一緒に通学できなくなる
たかがそれだけのことで
世界の終わりかのような
大げさな絶望感が漂います
大人からすれば
そんなしょうもないこと
と思うようなことでも
この2人からすれば
そんな些細なことでも
心が離れてしまうような不安感がある
その感じがめちゃくちゃいい
青春を感じれるんですよね
引っ込み思案で
自分に自信が持てない爽子と
一目惚れで自分の感情の赴くままに
行動する風早
この真逆の2人が触れ合う事で
少しづつ成長する姿を
描けていたんじゃないでしょうか
恋愛以外にも
友情の描き方も悪くなかったです
孤立している爽子に
手を差し伸べるギャルっぽい2人の友達も
クラスの弱者に上から目線の同情で
接するわけでなく
爽子と同じ目線で接している
というのもとても良かった
こういうのって
上から目線で友達になってやってる感
が出ているのが多いと思うんですよ
たぶん作ってる側は
意識していないし気付いてないと思う
本作は全然そうはなっていませんでした
友達との交流や絆を深めていく過程も
とても面白かったと思います
それと、爽子役の多部未華子が
おもしろ可愛かったですね
はじめの暗くてちょっとキモい雰囲気も
とても出ていたと思いますし
高校生活が充実しだしてからは
キラキラとして
めっちゃ可愛く見えてきます
涙をこらえている時の
睨みつけたような怖くて変な顔も
すごく可愛いし笑えます
爽子のキャラクターがとても良くて
なんか好きになりますね
この爽子の存在が
この映画の1番の魅力かもしれません
と良いところはたくさんありますが
全体的に弱いというのは否めません
だから記憶に残るような名作には
なれていないじゃないですかね
登場人物やドラマがちょっと薄く感じる
特に風早が薄いです
一目惚れで自分の気持ちに素直で
ガンガン行くタイプなんですが
それにしては感情が出なさすぎと言うか
あまり何を考えてるかわからないんですよね
爽子を好きと言う気持ちにも
情熱が感じられない
ホントに好きなのか?
と思ってしまうほど
表情もあまり変わらないんですよね
真顔かヘラヘラ笑ってるかのどっちかで
表情のバリエーションが少ない
しかも、爽子がトイレで女子と
もめてる時もなんかヘラヘラしてましたし
あのシーンにいたっては
ちょっとサイコに感じた
三浦春馬がちょっと爽やかすぎるんですかね
演技の問題もあるかもしれませんが…
それと、爽子が最後まで受動的だったのも
あまり良くなかったと思う
最初は自分に自信が無く
人に言われるがまま行動して
自分自身も成長していったわけですが
最後は自分の気持ちだけで
全てを投げ捨ててでも動いてほしかった
風早をふった後も
友達に相談してその意見で
行動を決めてしまうし
お父さんのコンサートを抜け出す時も
わざわざお父さんに相談してから
抜け出します
ここは、友達に否定されても
自分の気持ちを貫いたり
コンサートを黙って抜け出した方が
爽子の気持ちの強さも伝わるし
成長したと感じれるのに
それに、冒頭の
お父さんがコンサートを抜け出して
生まれたばかりの爽子に
会いに行くシーンも
もっと生きてくると思う
こういうのもあって
ラストも弱くなってしまっています
それに、リアリティーに欠けるな
と多少感じました
爽子に対するクラスメートの扱いが
ちょっと小学生っぽいです
目を合わすと呪われるみたいな事を
本気にしてたりするのは
どうなのかなって思う
漫画ならギャグっぽく
なるかもしれませんが
実写ならちょっと違和感あります
担任の先生もちょっと変ですよね
漫画的なキャラクターになり過ぎてると
思いました
爽子の友達2人もビジュアルが
なんか古臭く感じた
90年代っぽいというか
茶髪の感じがなんかダサい
ギャルってのを表現したかったと
思うんですけど
さすがに2010年にあの感じはないと思う
それと、桐谷美玲の髪型もちょっと変
キャバ嬢っぽすぎだと思う
あの高校には校則は無いんでしょうか?
そんな感じで
ちょっと現実味が薄いですね
多少薄くてパンチはありませんが
それでも、邦画のラブストーリーでは
かなり出来が良かったです
キスやデートだけで恋愛を表現せずに
ちゃんとドラマを描いていました
良い青春ラブストーリーだと思います
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