何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「9<ナイン> ~9番目の奇妙な人形~」感想 素材はいいのにもったいない ストーリーが致命的

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どうもきいつです


アニメ映画「9<ナイン> ~9番目の奇妙な人形~」観ました

人類滅亡後の世界を舞台に9体の人形が
巨大な機械獣と戦うダークファンタジー
もともとは短編映像作品だったが
ティム・バートンの目に留まり
長編映画化が実現することになった
2009年の作品です
監督は短編同様ジェーン・アッカーが
務めています

 

あらすじ
人類が滅亡した地球で
背中に数字の9が書かれた
1体の人形が目を覚ます
廃墟の街で呆然とする彼の目の前に
2の番号を持つ人形が現れ
自分たちは仲間だと語りかける
そこに突如
機械の獣が現れ彼らを襲う

 

感想
世界観、雰囲気はとても好き
でも、ストーリーが微妙過ぎ
オリジナルの短編の方が
良い作品だと思いました

 

世界観や設定はとても面白そうで
パッケージも魅力的
でも、全然中身がともなっていなかった…

いわゆる雰囲気映画ですかね

キャラデザインも良いと思うし
この世界の映像表現も魅力がある
ダークファンタジーな世界観なんかは
個人的にとても好みです

そんな良いところが
たくさんあるはずなんですが
それ以上にストーリーが
足を引っ張りすぎていました

 

本作のストーリーの
何がダメだったのかというと

物語がどこを目指して進んでるのかも
わからないし
最終的にゴールすらない
中途半端な終わり方

この映画を観終えて
結局自分は何を見せられていたんだろう?
と疑問しか残りませんでした


まず、主人公の9ですが
彼が一体何をしたいのかが
全く見えてきません

目的が不明過ぎて
2を助けようとしたり
敵に立ち向ったりしてますけど
その原動力が何なのかがわからないので
その行動がいまいち納得できません

しかも、無意味に余計なことを
いきなりしたりするので
9に対してちょっとイライラもしてきます

その余計な行動の裏に
なにか意味があるのなら
まだ納得できますけど
まったく理由なんかないですしね


そもそも、この作品って
全部投げっぱなしなんですよね

こっちが知りたい事、見たいものが
最後まで観たところで
全然それが描かれていないんですよ

この世界の謎や根源
人形たちの存在理由
敵は何者なのか
主人公たちがたどり着く答え
この世界の未来

全部投げっぱなしです

じゃあこの映画に何があるのか?
何もないです


この退廃した世界が
戦争や機械的な存在が原因で人類が滅びた
というのはなんとなく伝わってきます
でも、具体的なことはわかりません

こういうフワッとした設定は
別に悪いとは思いません
全部語ればいいってもんじゃないですし

でも、この映画の場合は
そこがかなり重要だと思うんですよ


この世界の成り立ちや根源的なものが
9たちが生まれた理由にも繋がってくると
思いますし
彼らの存在意義や目的などにも
関わってくるはずです

敵の存在なんかも
この世界のシステムの一部でしょうし
敵の目的もこの世界観と
大きく繋がってると思う


世界設定が曖昧なので
同時に物語上大切な部分も
深掘りされずに
内容がかなり薄っぺらいんです

結果、主人公が何をしたいかわからず
敵の目的も不明
この映画で起きていること全てが
ただの茶番にしか見えない

 

はじめは9たち人形が
自分たちがなにのため生まれ
何をしなければならないのか
というのを探していく物語だと
思ってたんですが

全くそういうことは描かれず
ただ流れに任せて行動してるだけの
主体性の無い物語

所々でドラマチックな展開が
起きたりするんですけど

そういうのも何も起きなければ
面白くないから
という理由だけで無理やりに
入れ込まれてるようにしか見えなくて
感情移入もできないし感動も無い


ラストは
なんか上手くいったような雰囲気で
丸く収まってる感じで終わりますけど
良く考えたら何も解決してませんからね

誰も成長してませんし
世界も変わってない
謎が解けたわけでもない
新しい目的を見つけてもいない

なんなん?この終わり方…
さすがにちょっと酷いと思いました

 

後から
オリジナルの10分の短編作品を
観てみたんですが
断然こっちのほうが良かったです

こっちはストーリーは全然無いし
登場人物も少ない
セリフは全く無いです

本編同様に説明不足の
意味不明な作品ではあるんですが

無駄にストーリーやセリフ、説明が無いぶん
想像力が刺激されるし
考察もしたくなる

こちらの方が雰囲気を楽しめる
雰囲気作品としては
短編のほうがはるかに上だと思いました

 

ただ、長編の本作では
登場人物が増えてるし
それぞれのキャラも個性的で
そういう面白さはあるんです

7の軽やかな動きとカッコいいアクション
これはすごく好きでした
FFの竜騎士みたいですごくカッコいい

1のリーダーだけど
とても臆病で保守的なのも
ストーリー上でいい役割を
果たしていたと思うし

他にも腕力自慢がいたり
不思議な双子、発明家

それぞれ見た目も個性的だし
みんな良い味を出してる


しかし、やっぱりストーリーが微妙なので
キャラの良さが最大限に生かせてない
というのは残念ですね


敵のデザインなんかも
良かったと思うし
ガラクタを道具や武器に改造している
デザインもカッコよかった
デザイン面は
個人的にかなり好きだったんですが

だからこそもったいないな
と思ってしまう

良い部分はたくさんあるんですけどね…

 

ホントもったいない作品でした
素材はとてもいいと思うんですよ
ただそれを上手く調理できていなかった
という印象です
設定、ストーリーを練っていれば
もっといい映画になっていたんじゃないでしょうか

 


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