何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ひるね姫 ~知らないワタシの物語~」感想 これを言ったらお終いだけど 夢の描写いらなくない?

f:id:kiitsu01:20190601031721j:plain

 

どうもきいつです

 

アニメ映画「ひるね姫 ~知らないワタシの物語~」観ました

岡山ののどかな町を舞台に
女子高生のココネが
いつも見る不思議な夢を通して
家族の秘密に迫っていく姿を描いた
2017年のファンタジーアニメです

「東のエデン」などの神山健治が
監督を務めています

 

あらすじ
高校生の森川ココネは家でも学校でも
常に眠気に襲われ居眠りばかりで
さらに寝ると同じ夢ばかり見ていた
そんなある日、彼女の家族に事件が起こり
事件の真相を握るのは
ココネの夢の中にあった

 

感想
面白そうな雰囲気を醸し出してるけど
いまいちパッとしない作品
現実と夢の世界の繋がりが
薄すぎるようにも思う
てか、夢の描写いる?

 

現実と夢をテーマにした作品
現実と虚構みたいな作品は
個人的にとても好きなので
本作にも興味を持ちました

しかし、ちょっと思ってたのとは
違いましたね
想像以上に夢と現実の関係を
上手く描けていなかった

夢の世界の魅力と現実の世界の魅力を
お互いに相殺し合ってるようにも思える

夢と現実の見せ方のバランスが悪くて
何を中心に見ればいいのか
よくわからなくなってくる

言ってしまえば
ちょっと幼稚な描き方かな
と思います


こういう現実と虚構を描いた作品は
いくつもあって
僕が好きなので言えば
「パプリカ」「パンズ・ラビリンス」
「ライフ・オブ・パイ」など

これらは現実と虚構という素材を使って
とても深いものを描いていると思います

でも、本作はとても浅い
この素材をただ世界観や設定のために
使ってるだけで
それを使って何か深いものを表現しようとは
していないように感じました

しかも、設定としての使い方も
あまり上手くないですしね

 

そもそも、この作品に
夢の世界がいらないんですよ
物語上で夢の世界が全然機能していない
むしろちょっと邪魔なくらい

ストーリー自体はとてもシンプルで
会社内の抗争を描いている
社内で優位になるための大事なデータを
持っているのが主人公のココネで
それを巡っての逃亡劇
みたいな感じです

この現実での物語が本作の主軸で
そこにココネの夢の世界が絡んでくる

で、その夢の世界っていうのが
ただ現実世界で起きたことを
ファンタジーに置き換えてるだけなんですよ

しかも、夢が現実世界に影響を
及ぼしてるわけでもない
夢はただの夢なんです

これがこの映画をすごくややこしくしてる
夢の世界では
現実の出来事をファンタジーに置き換えた
別のストーリーが展開されます

空を飛んでどこかへ向かったり
巨大ロボットで戦ったりとか

ただ、同時によくわからないストーリーが
展開されていくので
何を見てるのかがわからなくなってきます

目的だったり主人公の気持ちとか
どうしたら解決するのか
本質的なものが見えなくなってくる

実際はシンプルで地味なストーリーなので
とてもわかりやすいはずなんですが
夢が入ってくることで
無駄に難解になってしまってる
単純なものを無理やり
難しくしてしまってるんですよね


夢と現実の出来事が
実はつながってるんだぞ
というのを見せたいんだと思いますけど

夢と現実のつながりが薄いのに
そんな事をやっても
全然すごいとはならない

結局、夢は夢でしかないので
後出しでどうにでもなるだろ
と思ってしまう

 

なんでこんなにも夢と現実の
つながりが薄いのかと言うと
この作品での夢の存在意義が
全く無いんですよ

まず、ココネが何故この夢を見ているのか
それの理由づけが曖昧です
特殊な理由で見てるわけではなく
昔に父親が話してくれた物語を
夢で見てるらしいです

同じ夢を何回も見る理由も無く
現実世界に影響を及ぼしているようで
結局は何も影響は与えていない

ココネがすぐ眠ってしまうというのも
何かの伏線と思いきや
ただすぐ寝てしまうだけの女の子
ってだけです

じゃあこの夢っていったい何なのか?

ただの夢なんですよ

なんじゃそれ
って感じですよね


単純な物語を
ややこしく難解にしているだけの要素
なんですよ

 

どうせ夢を夢として描くなら
もっと夢と思えるように
見せてほしかったですね

この映画での夢は
ストーリーもしっかりあるし
世界観も確立してる

ストーリーは魔法を巡っての
物語が展開されて

世界観は機械やロボットが発達した世界です
でも王様がいたり魔法があったりと
一見カオスなんですが
なんかまとまってるんですよ

そんな感じで
しっかりと地に足ついた世界観が
なんか夢っぽくないんです


「パプリカ」なんかは
夢の描き方が完璧だと思うんですよ
支離滅裂で意味なんか全然無くて
でもその中に心理的なものも見えてくる

夢ってこんなだよな
って思わされてしまう


本作もそんな感じで
もっと夢っぽくめちゃくちゃにして
その中にメインストーリーの
重要な要素をちらつかせる
みたいなやり方のほうが
面白く観れた気がします


この映画での夢の役割は
地味な物語を
ただ派手に見せるためだけの要素に
すぎなかったです

 

あと、人間ドラマが薄すぎるのも
とても気になりました

特に主人公のココネですよね
彼女の物語が全くないです

何かに悩んでるわけではなく
自分の目的のために
行動してるわけでもない
何がしたいのかがいまいちわかりません

主人公のくせにすごく薄い

父親との仲もとても良くて
全く波風が立たないし
死んだ母親に対しても
心の傷になっているわけでもなく
母親を求める感情も見せない

学校生活、将来についても
特に悩み無し
不安や劣等感みたいなのも
全く抱いていない

高校生を主役にしといて
これはつまらなすぎでしょ

せっかく高校生が主役なんだから
いろいろ悩ませて
それを乗り越えさせろよ


主人公にドラマが全然無いので
なんか物語にも集中できず
観ててつまらなくなってしまいました

 

それと、ターゲット層が曖昧なのも
問題だと思います
結局、この映画誰に見せたいの?
って思ってしまう

夢の世界のファンタジーは
子供向けっぽいけど
現実世界の物語は大人中心の話だし
でも、主人公が女子高生で
ロボットバトルがあったりもする

誰向けなの?

ターゲット層はもうちょっと絞った方が
いいと思いますよ

 

この映画で良かった点と言えば

ココネが可愛かったところですかね
彼女はすごく可愛らしく描かれていました

動きも可愛かったし
ちょっとエロい見せ方をしたりもしてるし
自然体な女子高生という感じが
とても良かったと思います

それに声も良かった
ココネ役は声優ではなくて
女優の高畑充希です

彼女の声が良い意味で声優っぽくなく
とてもナチュラルでした

これが声優のちょっとあざと過ぎる
声とかだったら
若干気持ち悪かったかも

高畑充希の声がココネの可愛さを
さらに引き立てていたと思います

 

惜しいとは思うんですよね
もうちょっと夢の存在意義を
感じさせてくれれば
面白くなり得たとも思います

もっと上手い表現でこの作品を
見せてほしかったな

 


「ひるね姫 ~知らないワタシの物語~」スタンダード・エディション [Blu-ray]