何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「町田くんの世界」感想 町田くんは現代社会に必要な希望

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どうもきいつです


青春恋愛映画「町田くんの世界」観ました

安藤ゆきによる少女漫画を実写化した作品
誰にも優しい男子高校生の日常を描いた
青春ラブストーリー

主演の2人は1000人の中から
オーディションで選ばれた
細田佳央太と関水渚
監督は「舟を編む」などの石井裕也が
務めています

 

あらすじ
町田君は運動や勉強が不得意で
目立つことのない高校生だが
困っている人を見過ごせない優しい性格
接する人たちの世界を変える
不思議な人間だった
そんな町田くんがクラスメイトの猪原さん
との出会いをきっかけに世界が一変する

 

感想
町田くんは人類の希望
優しさを分け与えられたような
そんな感情になりました
それにしても変な映画だった

 

この映画を知るまでは
原作の事は全く知らなかったんですが
この映画は前からとても気になっていた
ので観てきました


青春ラブストーリーなのかな
くらいには予想していたんですが
これがすごく変な映画で
なかなか面白かったです

映画の作り自体もなんか変だし
町田くんという存在もすごく変

全体的にちょっとクレイジーで
クセの強い作品だったと思います

でも、優しさに溢れた
暖かい映画でもあります

僕はこの作品がすごく好きな映画になりました


ただ、なんか変な映画なので
賛否は分かれると思います
否が多めかもしれない

特に最後の展開は
かなりぶっ飛んでいて
正直、意味わかりませんもんね

あそこでこの映画が嫌いになる人も
絶対にいるでしょうね

 

この映画で注目すべきは
やはり町田くんです

彼は自分の事なんかは後回しで
困ってる人を全力で助けようとする人で

老人がいればバスの座席は譲りますし
子供の持っていた風船が飛ばされれば
それを取に行きます
失恋した女の子にはそっとミルクティーを
差し入れて慰めてあげる
思いやりの塊のような人間

でもそれは何かの見返りのために
やっているわけではなく
町田くんがそういう人間だから
ただ人間が好きだからやっていること

言ってしまえば聖人君子のような存在です


こういうのって
人によっては偽善とかキレイごととか
ただの理想論だとか言って
気持ちわるがる人もいると思う

実際にこんな人間がいるのかと言えば
たぶんいないと思う
いたとしても周りの人間に
奇人だ変人だ言われて淘汰されしまうでしょう

でも、その考えや常識が
普通になってきてる社会が
荒んでいるんだと思う
正直者や優しい人間は損をする
って考えが普通の世界は
荒んでいますよ

僕自身も一方的な思想や偏った正義
みたいなキレイごとってのは嫌いですが
人を思いやることというのは
キレイごとではなく絶対に人間に必要なもの
だと思います
この気持ちが無くなったら本当に
人類は終わってしまいますよ


この映画はそんな荒んだ世界に
光を差し込めてくれた作品

町田くんという希望を見せてくれました

映画の中では
町田くんの優しさに触れた人たちは
優しさが伝染したかのように
みんな優しくなっていきます

そして、映画を観ていた人たちも
同じく優しい気持ちになれる人は
少なからずいるはず

電車で困っている人がいたら席を譲ろう
道端に落ちていたゴミを拾おう
みたいに
誰かを思いやる気持ちが
芽生えると思う

それだけでもこの映画には
意味があるんじゃないかと思いました

 

と、ちょっと堅い話になりましたけど
映画自体は全然固くない
コミカルなラブコメ映画です

町田くんを中心にコミカルなキャラたちが
繰り広げるドタバタ劇が面白い

町田くんと猪原さんの恋模様が
甘酸っぱくも面白くすれ違っていき
観ていて微笑ましくもあります

序盤は
人間が好きな町田くんと人間が嫌いな猪原さん
途中からは
全ての人を愛する町田くんと
1人として愛されたい猪原さん
と最初から最後まで真逆の2人
だからこそすれ違い
だからこそ惹かれ合ってるんです

その中でも深いものも見せてくれます

誰かに優しくするという事は
誰かを傷つけているという事
という言葉を突きつけられた町田くんは
全てを愛するか1人を愛するかの
選択を迫られ苦悩する

そして、好きという事は一体何なのか?
という問いに対しての答えが
わからない
ということ

わからないから好きになる
わからないから興味を抱き
わからないから知りたいと思う

わからないの重要さにあらためて気づけました
わからないという事が
人間の原動力なのかもしれない

 

で、映画としては
かなり変なんですよね

そもそも主人公の町田くんが
変なキャラクターなんですけど


演出も変だしキャスティングも変
世界観も変、映像も変
全てがちょっとづつ変なんですよ

めちゃくちゃ変ってわけじゃない
ちょっと変なんです

大体の人がラストの展開を
リアリティーが無くておかしい
って言うと思うんですけど

実はそこに至るまでも
なんかおかしい


まずキャスティングですよね

この映画のメインである
町田くんと猪原さんは
オーディションで選ばれた全くの無名
年齢的にも役と同じくらいと思いますが

他の同級生役のキャストが
20代後半だったりします
当然見た目的にも違和感ありますよ

この時点でリアリティーに欠けるんです


他にも演出も変な撮り方してるな
って思う部分が多々ある

河川敷で町田くんが猪原さんを
追いかけ回してるシーンとか
変に長いし謎のテンポだし

町田くんが料理中に考え事をして
鍋に調味料ぶち込んでる場面は
この後の出来事へのフリと思ったら
ほったらかしで別のカットに移るし

でもこれって明らかにわざとやってるし
あえてこの映画のリアリティーを
崩していってるのかなと思えます

主役2人の演技に関しても
すごく大げさなんです
この点でもリアリティーが薄くて
なんか変でした

そして、最後のぶっ飛んだ展開がありますし
よくよく考えたら
物語自体も結構ぐちゃぐちゃだと思うし


でも、最終的には
なんだかんだまとまってるようにも思う
この世界が1つの独立した世界というか

町田くんという変な人の目を通して見た
変な世界なのかなと納得できてしまいました

キャストも今思えば
なんかみんなハマってるんですよね
前田敦子とか完全にハマり役だと思う

 

最後まで観て
この映画を観ている人間は
試されてるんじゃないのか?
と感じました

町田くんというありえない善人を
ありえない世界を通して見せることで
この映画に対してどう思うか


こんな善人いるわけない
リアリティーが無いからつまらない
と吐き捨てるのか

作り物の世界の中にある
真実を見つけるのか

作り物だからこそ見せることのできる
理想的な世界ですけども
そこから生まれる真実もあると
僕は思います

 

最後に
心に残ったシーン、面白かったシーンを
挙げていきます


まずは、走る町田くん
これはズルいです

走ってるだけで面白い
町田くんが走る場面は何回も出てきますが
毎回笑っていました

走るだけであんなに面白くなるんですね


貧乏ゆすりをする猪原さん
これも面白かった
貧乏ゆすりのレベルを超えてましたもん
ちょっとした足ふみです

このときのヒステリックな様子も
とても可愛い

猪原さんは基本的にどのシーンも
可愛かったと思います


終盤のみんなが町田くんを助ける場面
これはとても熱かった
この映画でも1番重要な場面だと思う

自分の事より他人のためを思っていた
町田くんですが
最後には自分に善意が返ってきます
フィクション中での理想ですが
この理想が現実世界にも必要なんです

 

そして、前田敦子演じる栄りら

このキャラはすごく印象に残りました
登場頻度はそんなに多くないし
本筋にもそんなに絡んでないんですが
存在感がとてもありました

高校生なのにババアっぽい雰囲気に
前田敦子が完全にハマっていました
(前田敦子をババアと言っているわけじゃない)

 

普通の青春映画と思いきや
とてもぶっ飛んだ映画でした

面白いかどうかは意見が割れそうですし
人によって見方が変わる作品でも
あると思います

僕はとても好きな映画です

 


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