どうもきいつです
超エモい映画「WE ARE LITTLE ZOMBIES」観ました
感情を失くした子供たちが
音楽を通して成長していく物語を
独特の映像表現やセリフ回しで描いた
ジュブナイル映画
CMプランナーとしても活躍する
長久充の長編映画の監督デビュー作
あらすじ
火葬場で出会った
ヒカリ、イシ、タケムラ、イクコは
両親を亡くしても泣けなかった
彼らは自分たちの心を取り戻すため
冒険に出る
やがて、たどり着いたゴミ捨て場で
LITTLE ZOMBIESというバンドを結成する
感想
この映画には感情が感じれない
登場人物に感情が無いだけでなく
監督にも感情が無いのかと思ってしまう
ただ表面的なだけのアート表現からも
感じるものは何も無いです
エモいを履き違えた映画
テレビで本作のCMを見て
とてもインパクトがあって気になり
映画館まで観に行ってきました
実際に観てみると
こういう系の映画ね…
と正直がっかりです
ヴィレヴァン大好きな大学生が
エモい、シュール、オシャレ
と大絶賛してそうな内容
エモい映画を撮ろうとしてるのは
伝わってきます
でも、エモいってどういう事なのか
考え直してほしいですよね
そもそもエモいって言葉が独り歩きして
今やただの便利な言葉に成り下がってますし
エモいってちゃんとした意味で
使ってる人もいますけど
たいていの人はこの言葉を
なんて褒めればいいかわからないから
とりあえず言っとく言葉
くらいの軽さだと思います
褒め言葉でも
ネガティブな印象の強い褒め言葉です
異性を紹介する時の
やさしいと同じ感じですね
僕は今回エモいを嫌味としてしか使いませんが
で、この映画なんですが
全体的に映像、演出、セリフ回しなどを
かなりこだわって
独特な世界観を生み出しているんですが
正直言って全然良いと思えない
全然面白くない
全然笑えない
全然心に刺さらない
僕が一番嫌いな
センスの押し売り系の映画でした
センスの押し売り系の作品に
よくあるのが
とにかく奇抜でとにかくカラフル
シュールな世界観に独特なセリフ回し
意味があるのか無いのかわからないストーリー
社会風刺やキャラクターの重い過去
斜に構えた目線
でも、その中には思想や感情は
込められていなくて
表面的にオシャレなものにしかこだわっていない
見てくれだけ着飾ってる
まさしくこの映画がそれで
この映画からは
この発想すごいだろ?
こんなシュールな演出笑えるだろ?
こんな映画深いだろ?
褒めてくれ!!
ということしか伝わってこない
結局、パッと見のインパクトは
とても強いし惹きつけられるけど
それ以上のものは何もない
それは監督がCMを作ってきた人だから
かもしれませんね
CMはたった数十秒で人を
惹きつけなくてはなりません
でも、映画の場合は惹きつけた後も大事です
そして、本作は2時間の間
ひたすらCM、PV、MVを見せ続けられてる感覚
さすがにしんどいです
そんな感じで監督のセンスを
押し付けてくる割には
斬新さがあるわけでもないんですよね
いろんな人がやってきた
サブカルでオシャレな事を
いろいろ詰め込んでみた
ってだけの演出に思える
攻めてるようでそんなに
新しくない
本作でも前面に押し出されてる
ファミコン風のピコピコ音楽や
ドット絵などは
別に悪くはないけど
正直、ちょっと遅くない?
って思ってしまいました
10年前くらいならすごく斬新な演出
だったかもしれませんけど
今となってはレトロゲームとかも
流行ってたりするし
こういう音楽もよく使われてる
LITTLE ZOMBIESの歌のシーンに関しても
このMV風の場面は面白いと思いますが
やっぱり既視感ありますよね
長回しワンカットのMVって
ちょっと前に流行ってたし
そういうのって今では普通ですしね
その他でも
チープでシュールな演出だったり
早口で理屈クサくて感情のこもっていない
セリフ回しだったり
カラフルでオシャレな衣装だったり
こんなのなんか知ってるし
それにカッコいいわけでもなく
別に笑えるわけでもないんですよね
アート的な表現を前面に出してる映画だけど
そのアートの中には
何を表現したいのか、何を伝えたいのか
どういう感情を込めたいのか
そんな芸術性が全く感じれない
ただのファッションアートで終わってます
中身の無いアート作品には
芸術としての魅力が全く無いと思います
アート的に中身が無いだけでなく
映画的にも中身が無い
というのもこの作品の悪いところです
ストーリーはほぼ無いですけど
少年たちが冒険するジュブナイルものだと思います
ただ、その中にはドラマ性も無いし
キャラクターの成長もほぼ無い
この映画ってただ映像を見せられているだけで
そこから何を受け取っていいのか
わからないんですよ
主人公たちの過去なんかも見せられたり
重いものを背負ってる風には見せるんですけど
そこから先を描かないので
で、何が言いたいの?
という感覚にしかなりません
社会風刺みたいなのも描かれますが
それも取って付けたように
その要素を見せつけられるだけで
その事についてどう伝えたいのか
というのが抜け落ちている
で、登場人物たちは結局
最初から最後まで斜に構えたまま
社会の闇みたいなのものを
ただちらつかせるだけで
それに向き合うことも無く
何か答えを出そうともしない
死、家族、人生、社会
そこから生まれる理不尽なことに
斜に構えて受け流して
現実逃避しているだけの物語です
こういう事ってしっかりと受け止めて
向き合わなければならない事だと
思います
全てを悟ったように
カッコよくオシャレに受け流す
というのはなんか違うと思う
全編通してみてみると
この映画には温度が全然無いですね
熱みたいなものを感じられない
むしろ、必死になってる奴はダサい
みたいなのを感じる
僕は無様でもがむしゃらに
足掻いている人間の方が
カッコいいと思いますが
このストーリーやキャラクターも
監督にとっては
ただの面白要素でしかなく
それを通して何かを伝えたい
ということが無かったんじゃないですかね
表面的な見栄えの事ばかりで
本質的なところには
全く踏み込んでいませんでした
結局はアートわかってる風の奴らが
エモいエモいと絶賛し
ただ消費されていくだけで
消えてしまいそうな映画です
そんな中でも
メインの4人はとても良かったです
これが唯一の救いかも
みんな可愛らしさがあって
魅力も十分ありました
この4人は将来有望じゃないでしょうかね
歌の場面でもこの4人に
惹きつけられるものがありましたし
この4人のおかげで
最後まで映画を観れたと言っても
過言じゃないです
僕はこの映画が大嫌いです
見た目ばかりを気にした
中身からっぽの
とても冷たい映画だと思いました
でも、こういうのが好きな人は
最高なんじゃないですかね
めっちゃエモいし