何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

アニメ「からくりサーカス」感想 このアニメ化は誰が得をするのか?

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どうもきいつです


テレビアニメ「からくりサーカス」観ました

週刊少年サンデーにて連載されていた
藤田和日郎による漫画「からくりサーカス」のアニメ化作品

人間と自動人形との戦いを
2つの物語を交錯しながら描いたアクションアニメ
2018年10月から全36話放送されました

 

あらすじ
小学5年生の才賀勝は父親の事故死により
莫大な遺産を相続したことをきっかけに
命を狙われていた
人形使いに命を狙われる勝を救うべく
偶然出会った青年の加藤鳴海
懸糸傀儡を操る銀髪の少女しろがねが
壮大な戦いに巻き込まれていく

 

感想
そもそもスタート地点から間違っている
全43巻の漫画を36話のアニメに
まとめるという暴挙
ただ名シーンっぽい場面を詰め込んだだけの
ダイジェスト以下のアニメになってました

 

僕は藤田和日郎作品が大好きで全作読んでいます
「うしおととら」から始まり
現代進行形で「双亡亭壊すべし」も読んでます
短編漫画も全部読んでますし
それぐらい好きな漫画家

特に「からくりサーカス」は
中学生くらいの時にリアルタイムで
読んでいた漫画なので
かなり思い入れが強い
めっちゃ好きな漫画なんです

なのでアニメ化すると知った時は
ワクワクしてすごく期待したんですが

全36話になると知って
正直、諦めていました
たぶん失敗するだろうなと…

でも、やっぱりどこかで期待もしてたんです
もしかしたら面白くなるんじゃないかと
しかし、結局は大失敗アニメに
終わってしまったと思います

 

まずは43巻もある長編漫画を
36話でまとめるということが大間違いで
こんなのを成功させるなんて相当難しいと思います

脚本は相当練らなきゃいけないと思う
どこをカットしてどこを残すか
如何にセリフを削って視聴者に
わかりやすく伝えるか
そんな中でも原作の核となるものを
残さなければならない

正直言って無理じゃないですかね?
さすがにこの短さじゃ…


で、このアニメは
そんな努力も感じられない

ただ漫画にあった名シーンを
切り貼りしてるような内容です

面白く見せようとしてるのかどうか
疑問に思ってしまうレベルの
酷い出来になっていました

原作を知っている僕ですら感情移入が全くできなくて
キャラクターを好きになれないし感動も全く無い
全然気持ちが昂らない

原作を知らない人はこれを観てどう思ってるんですかね?
到底、感動なんてできないと思いますけど

 

エピソードや登場人物は大きくカットされています
それは仕方ないことで
そこに関しては文句はないんですが

そんなにたくさんカットしているのに
すごくテンポが悪いアニメになっています

基本的にキャラの気持ちや
状況、設定などを
全て言葉で説明していて
ほとんどキャラが喋っている映像ばかりのアニメです

この漫画の目玉でもある
アクションシーンや戦闘シーンに関しては
動きがすごく少ない上に
一瞬で終わってしまいます

画面に動きが全然無くて
キャラがベラベラと説明ばかりしているバトルものなんて
なにが面白いんですか?

マジでつまらないアニメです

 

そして、この作品は
とても名シーンの多い作品でもあって
アニメでもそんなシーンは数々と入っています

でも、そんな名シーンに至るまでの過程が
あまりにも雑だし描写不足も相まって
全く感動できません

登場人物が死ぬ場面もたくさんあるけど
そのキャラに気持ちが入っていく前に
ただ死んでいくだけなので悲しさなんかも全然ありませんし

各キャラが名言を言ったりもするけど
なに言ってんのコイツ?
状態がひたすら続きます


このアニメ自体がただ設定を見せているだけで
その中にある思いとかメッセージを全然描けていません

「からくりサーカス」は
設定が面白いんじゃないですからね
その中にあるキャラの思いやドラマがあってこその面白い作品ですから

 

そして、「からくりサーカス」の
最も重要なテーマは
人の繋がりと時間の積み重ね
だと思っています

漫画自体も43巻と長編なんですが
内容に関しても長い時代の中を舞台に
様々な人たちが物語を繰り広げる

そんな中で人間同士の絆や時間の積み重ねが描かれていて
それがラストに意味を成してきます


でもアニメ版では
そういった部分が完全に抜け落ちてしまっている

あまりにも急展開ばかりで
全てが1ヵ月以内で完結してるように見えてしまうし

過去の回想もあっさりし過ぎていて重みが無さすぎる

原作では1年以上の物語で
その時間経過の中にストーリー上で重要な
勝の成長を見せている内容でもあって
この作品の肝でもあるわけです

アニメではそこも全く
表現できていませんでした


物語も設定の説明をしてるだけで
キャラの関係性や気持ちなどを全く描いていないので
人間ドラマが薄っぺらすぎる

人間の絆なんてこの見せ方では感じることなんてできません


原作の最も重要なテーマですら見失ってしまっている
本当に酷いですよねこのアニメ

 

最終的に
このアニメ化で誰が得をするのか?
と思ってしまいます


制作会社はこんなクオリティのアニメを作ったところで評価されるわけもないし
DVDやBlu-rayが売れるはずもない

原作ファンはこのアニメを面白いと思えるはずもなく
原作を知らない人たちは
こんなのを観ても何も刺さらないと思う

原作の宣伝になってるのかと言えば
そうでもありません
放送範囲はほぼ関東だけととても狭く
それ以外の地域の人は配信サービスで
観るしか方法がないですし

このアニメを観たところで
こんなもんかで終わってしまうと思う
わざわざ43巻の漫画を集めようと思う人は
少ないでしょうし

 

結局はもっと時間をかけるべき作品だったと思います

原作者が打ち切られて中途半端に終わるのが嫌だと言って
3クールに全て詰め込んだみたいですけど

逆にこっちのほうが中途半端なアニメですよね

こんな出来ならしっかりと描いて
打ち切られていたほうがマシだと思う

てか、原作を簡潔にまとめつつ
しっかりと丁寧に描いていれば
どんなに長かったとしても
最後まで打ち切られることなんてまずないと思いますよ

それくらい面白い漫画ですから

せっかくの名作を
こんな形で消費してしまったのは残念でしたね
すごくもったいないです

主題歌も良かったと思いますし

 

あと、声優のキャストについても言いたい事があります

本作のメインキャラ
加藤鳴海としろがねの声が微妙

加藤鳴海を小山力也
しろがねを林原めぐみが
演じているんですけど
フレッシュさが全く無いんですよね

パッと見では
豪華キャストですげー
と思うかもしれないですけど

実際に観てみるとなんか違う

この2人の声が年老いている
というわけではなくて
演技は素晴らしいし良い声なんですけど
ベテランが故に威厳があり過ぎるというか

鳴海としろがねはまだ10代の設定ですし
若手の声優の方が良かったんじゃないかと思うんですよ

この2人は別のキャラとして
参加すればいいと思いますし


その点、勝の声は
とてもフレッシュ感があって
ハマっていましたね

まあ、話題性かねての
このキャスティングだったんでしょうけど

 

3クールに全てを詰め込むのは無謀だったと思います
せっかくの名作を無駄に消費してしまったのは
本当にもったいない

アニメを観てつまらないと思った人もいると思いますが
漫画は名作なんで
マジで読んでほしいですね

 


からくりサーカス 全43巻 完結コミックセット (少年サンデーコミックス)