何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「チャッピー」感想 面白いけど すごく雑な映画

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どうもきいつです


SF映画「チャッピー」観ました

人工知能を搭載したロボットのチャッピーと
彼を誘拐したストリートギャングとの
奇妙な絆とチャッピーの成長を描いた
2015年のSF作品

「第9地区」「エリジウム」などの
ニール・ブロムカンプが監督を務めています

 

あらすじ
ディオンは世界初の自身で考え成長する
人工知能搭載ロボットのチャッピーを
開発するのに成功する
しかし、ストリートギャングにチャッピーを
誘拐されてしまい
起動したばかりで子供のように純粋なチャッピーは
彼らから生き抜くすべを学んでいく
だが、チャッピーのバッテリーの残量は
残り5日しかなかった

 


感想
面白かったですけど
すごく雑な映画だと思った
内容は深いようでとても浅い
ちょっと中途半端でした

 

テレビで放送していたので観てみました

結構、評判も良いみたいで
期待して観たんですが
言うほど良いかな
って感じの映画でした

それなりに面白くはありますが
なんかごちゃごちゃした映画でしたね

結局なにを見せたいのかよくわからん
ストーリーの進行は強引だし
登場人物の言動も一貫してないように思う
最終的に心や命が軽く扱われたような結末は
いまいち納得できないです

まあ、テンポが良いので
エンタメ的には楽しいっちゃ楽しいのかもしれませんけど

 

この映画はSFロボット映画ではよくある
人間のような心を持ってしまった人工知能搭載ロボット
というのを描いています

こういうのは昔からよくありますよね
「アンドリューNDR114」「A.I.」
「オートマタ」「エクス・マキナ」など
「ブレードランナー」もそうですね

それぞれいろんな切り口で描いていますが
ほとんどは人間とAIの違いとは?
ということをテーマにしています

作品によって着地点は違いますし
観る人によっても解釈が変わってくるような
ジャンルですよね


本作の場合は
まっさらな状態のAIが
様々な人間と触れ合う中でどう成長するのか
というのを描いた作品です

はじめは生まれたばかりの赤ん坊のように
純粋で無垢なチャッピーですが
ギャングたちとの交流や
自分を作った人間との絆
自分に悪意を向ける人間たちの言動

そういうものの中でチャッピーは
いろんな感情や考え方を学んでいきます


この設定だけを見ると
今までになかったようなアプローチだと思うし
新鮮に感じます
そこからいろんなドラマも生まれそうに
思うんですが

あまり設定を上手く生かせていないように
思いました


チャッピーのAIの成長が
周りの環境や人間との交流の中で
善にも悪にもなりそうなものですが

なぜか最初から最後まで
チャッピーはブレずに善意を一貫している
赤ちゃんのようなまっさらな状態で
ギャング一味の中に身を置いているにも
関わらずにですよ

確かに造物主であるディオンに
犯罪はいけないと教わりますが
チャッピーのとっては何が犯罪なのかも
まだ理解していないはず

何が善で何が悪か
そういう曖昧なものを
チャッピーの成長を通して見せてくれるものと
思っていたんですが
いまいちそういうわけではなかったです


途中までは

身勝手な人間に振り回され
人間の悪意を目の当たりにし
親と思っている人たちも自分を守ってくれない

そういうことをチャッピーが経験して
人間に復讐心を抱くのかな
とか想像していたんですけど

結局チャッピーは無条件に人間を信頼し続ける

なんかどんなに感情を持っていても
所詮はAIで人間の道具に過ぎない
という風にも思えてしまいました

 

そして、ストーリーの展開が
とても強引で雑な印象もありました
ツッコミどころも多いと思います

基本的に登場人物の言動に
一貫性がないのが悪かったのかも
人物描写が雑に感じる

登場人物たちが一体何をしたいのか
よくわからなかったり
チャッピーと人間の関係性が
テキトーですし
キャラクターの成長もあまり感じれません


例えばディオンとチャッピーの関係性

この2人のつながりは
造ったものと造られたもの
という関係性で
それ以上のものが特に描かれるわけでもないのに
なぜか強い絆で結ばれている

そこがまず納得できないんですよ

だから終盤の展開にもいまいち乗りきれない
なぜそこまでしてチャッピーは
ディオンを助けようとするのか
という疑問が生まれてしまいます

ディオンの目的もフワッとしていて

はじめはチャッピーを成長させることで
自分の技術力を証明しようとしてるのかな
とは思えるんですが

その後はなんか目的がわからない

チャッピーに生物としての愛着が湧いているのか?
生き物としてのチャッピーを見守りたいのか?
そういうのが不明なまま物語だけが
テンポよく進んいくので
感情移入が全くできません

ディオンのチャッピーに対する思いが
全然描かれていないから
ラストの展開に違和感がある


チャッピーの育ての親でもある
ギャングたちも同じで
やっぱり一貫性がない

母親的存在のヨーランディは
チャッピーを自由に育てたいとか
愛情をこめて育てようとしてますけど

結局、無理やり犯罪行為に参加させることは
容認してるし
守ってるようで守って無かったりする
口だけって感じなんですよね

そもそもヨーランディがチャッピーに
思い入れが強い理由もよくわからないし


ニンジャとチャッピーの関係性も
すごくテキトーだと思った

ニンジャは自分のためだけに
チャッピーを利用してるだけで
それ以外の描写なんて全く無いのに
最終的にチャッピーとの間に絆が生まれている
感じになってる

いつの間にかチャッピーが父親と慕っているのが
全然納得できませんでした


チャッピーと人間との絆を描いた作品
だと思うんですけど
その描写が雑すぎて感情移入ができないんですよね

 

他にも細かい設定が雑だったりします


ロボットに頼りっきりの警察ですが
そのシステムとセキュリティが甘すぎ

たった1人の人間の陰謀で全部が
崩壊してしまうんですから


チャッピーの寿命についてもとても雑です
バッテリーが交換できなくて
5日しか生きれないという設定で
それを回避するために意識を別の体に
ダウンロードするという手段に出ます

そんな神がかりなことができるなら
どうにかしてバッテリー交換する方が
簡単じゃない?
って思ってしまう


全ての設定が
やりたいストーリー展開のための
こじつけのように思えて仕方がない

雑なところが多すぎて
いちいちしょうもないところに引っかかってしまう

 

そして、1番腑に落ちないのはラストです

人工知能を扱った作品で絶対生まれる問題が
心とは何か?
意識とは何か?
命とは何か?
だと思います

で、この作品ではそれがとても軽く扱われている
ラストではすごく簡単に意識が
別の体にダウンロードできてしまう

死にかけの人間もロボットの体に
ダウンロードできれば死にません
死んだ人間もデータさえあれば
生き返ります
という終わり方をする

これが、そういう世界は怖いですよね?
と問いかけるラストなら考えさせられますけど

でも、この映画の場合は
すごくハッピーエンドっぽい終わり方で
それが逆に怖い

流れ的にも
あえてそういう終わりにしているようにも
思えないですし
ただ軽い終わり方にしか見えないです

 

あと演出面もなんか違和感ある

犯罪シーンにとても軽快な音楽が流れるんですが
この映画って楽しいクライムアクションムービー
ではないので音楽があまり合ってない

リアルに嫌な犯罪を
無理やりチャッピーがやらされてるので
この軽快な音楽がとても違和感です

バランスが悪いですよね

この映画のテンポの良さには
この音楽はあってると思うけど
内容には合ってないと思う

 

全体的にかなり雑な映画ですけど
それがテンポの良さで誤魔化されてる感はあります

アクションシーンが激しかったり
CGなどの映像のクオリティは高いし
派手さもあるので
楽しさはあるんですよね

物語も滞りなく次々と展開していって
とても気持ち良く観れる

テンポの良さでつまらない映画ではない

内容も人間とロボットの間に
生まれる親子愛だったり
チャッピーが純粋に頑張ってる姿を
見せられるので
なんか深い映画のようにも感じます

でも、実は浅い映画ですよね

 

面白いけど雑さが目に付く映画でした
世間の評判程の良い映画では
なかったと思います

力技で面白い作品のレベルまで持っていった映画でしたね

 


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