何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「MAMA」感想 なかなか怖くてゾッとするホラー ただラストがかなり微妙

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どうもきいつです


ホラー映画「MAMA」観ました

謎の失踪事件から5年ぶりに保護された
幼い姉妹を引き取ったことにより起こりだす
不可解な事件を描いた2013年の
スペインとカナダにより共同制作されたホラー映画

2008年に発表された短編映画を基に
「パンズ・ラビリンス」「パシフィック・リム」
などのギレルモ・デル・トロが製作総指揮を務め
監督は短編と同じくアンディ・ムスキエティが
務めています

 

あらすじ
とある事件により行方不明になっていた姉妹が
5年後、古びた小屋で奇跡的に発見される
そして、姉妹の叔父ルーカスと恋人のアナベル
のもとに2人は引き取られることになるが
姉妹がママと呼ぶ得体の知れないものが忍び寄る

 

感想
途中までは怖さがあるしホラーとして楽しめる
でも、終盤になるにつれ方向性がブレてきて
最後にはすごく中途半端に感じる映画でした

 

以前から少し気になっていた作品で
ギレルモ・デル・トロが製作を務めている
というのもあったので期待して観ました

でも、期待したほどの映画では
ありませんでしたね
つまらないわけではありませんでしたが
ちょっと微妙な出来だったと思います


全体的にはちゃんと怖がらせてくれますし
設定なんかも面白いと思います

ただ、終盤にかけての流れやラストの展開が
なんか変な感じなんですよね

物語としてすごくブレていきますし
一つの作品としてもブレてるような気がしました

 

まず、この作品はホラーとしては
それなりに楽しめます
というか、なかなか怖い映画だと思う

本作で悪霊的な存在のママは
存在自体もとても気味が悪いし
見た目もかなり不気味に仕上がってます

それにママの見せ方も
一気に全部を見せるんじゃなく
徐々に少しづつ見せていくというのが
ジャパニーズホラーのような雰囲気もあって
恐怖感を煽られていく演出がとても良かった


例えば
空いたドアから見える部屋の中で
妹のリリーがママと遊んでいる場面は
リリーの姿だけ見えてシーツの引っ張り合いや
若干見える影で
ママの存在を表現しているのは面白いですし

子供が何もないところを見つめてたり
視線を変なところへ向ける瞬間を見せたりと
ベタな感じはしますけど
こういう細かい演出でも恐怖心を煽られました


序盤はそういった地味な怖さで
攻めてくるんですが
話が進んでいくにつれて激しい怖さの演出に
変わっていきます

今まで全貌を現さなかったママも
完全に姿を現してめちゃくちゃ力推しで
襲ってくる

ここからはかなりアメリカンなホラーに
切り替わっています
これはこれでとてもスリルがあるし
ママのビジュアルもとても怖い上に
動きもめっちゃ気持ち悪いので
かなりビビらされました

ただ、ちょっとママが出過ぎるので
終盤になるにつれて慣れてしまって
怖さが無くなってきますが…

 

それと、怖いのはママだけではなくて
子供たちもすごく怖いし気味が悪い

小屋で発見された時の姉妹は
ビジュアル面や動きなんかで
とても怖いんですが

それよりもその後の
普通の生活が始まってからのほうが
子供ならではの怖さを感じました

全然懐いてない子供ってなんかすごく怖いし
急な奇行とか何を考えてるかわからない表情とか
それに、なんと言っても子供の絵がすごく怖い

特別に怖い絵というわけでもないんですよ
普通に子供が描きそうな絵なんですけども
なんか気味が悪いんです
何を描いてるかわかるようでわからない感じが

この映画の雰囲気も相まって
何気ないところまで怖く感じてしまう

 

そんな感じで
なかなか良いホラーなんですけど
だからこそ終盤の展開がとても微妙に感じてしまう


ずっとがっつりホラーだったのに
終盤になって急にファンタジー映画
みたいになっていしまいます

映像的にもCGで描かれたような
ちょっと美しい映像っぽくなるし
物語の結末もファンタジーな良い話
みたいな終わり方なのでなんか全然乗りきれない

ここにきてギレルモ・デル・トロ感が
めっちゃ強くなるんですよ

今までががっつりホラーだっただけに
すごく違和感なんですよね


そして、ラストの良い話っぽい
終わり方に関しては
そこに至るまでのママの描き方が
中途半端だったのでいまいち納得できない


この映画の大きなテーマは母性だと思います

ママは母性が故に歪んでしまったんだろうし
アナベルは姉妹と過ごすうちに
母性が芽生えだしてくる

だからラストは母性とそれに答える子供
というオチのつけ方だと思うんですが

結局、ママがただの悪霊のままで終わってるのに
それを良い話のように見せられて
なんかすごくモヤモヤします

ママがかわいそうな人間だったのか
ただ自分勝手なだけの人間なのか
そこを明確にされないので
すごく中途半端に感じてしまいます

ママの過去の情景とかも軽く見せられますが
それだけでは彼女が悲劇のもと死んでしまったのか
自業自得で死んでしまったのかも判断がつかない


最後には我が子(我が子かどうかはわからない)の
ミイラは投げ捨てて
やっぱり生きてる子供のほうが良い!!
みたいな感じになってるので
結局、自分勝手な悪霊じゃん
としか思えません


幽霊と人間の子供との間にも
愛情や絆がある
みたいな終わり方をしますけど

ママは自分の気持ちを満たすだけに
子供をさらってるようにしか見えないから
ここを良い話のように受け取ることは
できませんでした
リリーの選択にも納得できませんでしたし


逆にアナベルの子供と接するうちに
芽生えてくる母性の描き方は良かったんですけどね

不器用ながらも子供のために
愛情をしっかり注いでいる姿は
とても良かったです

こっちのドラマをもうちょっと
深く掘り下げても良かったんじゃ
ないかとも思います

リリーがアナベルを選ぶラストを観たかった…

 

他にも細かいところが気になったりします

意味深なものがほったらかされたり
男たちが無能すぎたり
そういうのが引っかかってしまいました


途中で出てくる手作り人形は
意味ありげだけど
さほど意味は無かったし

家と家が繋がっている理由とかも
説明されるわけでもなくほったらかし

そもそも、ママに関する
意味がありそうな伏線がそんなに回収されない

 

男たちに関しては
もうちょっと役に立ってほしかった

ルーカスは早々にママにやられて
入院してしまうし
ドレイファス博士は何の勝算があったのか
全然わからないけど
夜の山小屋へ出向いて
為す術もなくママにやられる

そもそも、男たちは
なぜわざわざ夜の山小屋へ行ってしまうのか…


良い部分も多いだけに
こういうところが雑なのが
ちょっともったいないですよね

 

とても怖いし面白い部分も
たくさんある映画だったんですが
作品の核となる部分がかなり微妙でした

もうちょっと芯を食った物語に
してほしかったです

 


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