何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「さらば愛しきアウトロー」感想 紳士的だからって強盗は良くない

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どうもきいつです


実話をもとに作られた映画「さらば愛しきアウトロー」観ました

人生で60回以上も強盗を行い
そして、脱獄したのは18回にもおよぶ
実在の人物をモデルに描いたクライムドラマ

主演は本作で俳優引退と公言している
長年にわたり活躍してきた
名優ロバート・レッドフォード
監督は「A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー」
などのデビッド・ロウリーが務めています

 

あらすじ
1980年代初頭からアメリカ各地で強盗を繰り広げ
それによる逮捕と脱獄を繰り返した実在の人物
フォレスト・タッカー
彼は強盗といいながらも
発砲もしなければ暴力も振るわないという
紳士的で風変わりな犯行スタイルを貫いていた
そんなタッカーを刑事のジョン・ハントが追う

 

感想
フォレスト・タッカーという男の魅力は
とても感じました
でも、ちょっと個人的には
この映画に乗りきれなかった
少し退屈に感じた

 

特に観たいと思っていた映画では
なかったんですが
なんとなく興味が湧いたので
観に行ってきました


観てみると
魅力的な映画に感じましたけど
個人的にはそんなに面白い映画には
思えなかったです

伝えたいメッセージはちゃんと伝わってきましたし
キャラクターや物語の面白さも
理解できます

ただ、なんかいまいち面白みに欠けるというか
ちょっと乗りきれなかった

 

全体的にはとても落ち着いていて
クライム映画ではありますが
そんなに激しさや殺伐とした雰囲気はなく
淡々と人間ドラマを見せていくような作風です

強盗の場面でも
タッカーはとても紳士的で
笑顔を見せながら優しく声をかける

銃は持っていますが発砲する事は無く
とても穏便に強盗を済ましてしまいます


この場面での全く銃を見せない演出は
とても面白いと思います

銃が見えないことで
より場面が柔らかな印象になって

タッカーが普通の強盗ではなく
風変わりで紳士的な人間だということが
伝わってきました


そして、この映画での
メインの要素でもある
タッカーとジュエルとのロマンス

これもとても落ち着いた演出で
特に劇的なドラマがあるわけではないですが
2人の気持ちの表現なんかは
とても細かかったと思いますし

老年期ならではの暖かく静かな恋愛を
魅力的に描けていたと思います


基本的にとても淡々としていて
抑揚もあまりないので少し地味な作品ですが
演技や演出が細かくて
それなりに見どころ多い作品ではありました

 

それでも、やっぱり
物語の原動力となるものが少し不明確なので
気持ちがあまり乗っていかない

物語がどこを目指しているのかが掴めないまま
淡々と進んでいくから
この映画に掴み所が無く
だんだん気持ちが離れていってしまいました


この映画で1番重要なのは
フォレスト・タッカーという男で
実在する彼の面白い人間性を中心に
彼の魅力や哲学を見せようとしている作品
だということは伝わってきます


ただ、タッカーの見せ方が

実際の強盗や脱獄などの
こんな事件が本当にありましたよ
というものを見せるだけだったり

ロバート・レッドフォードの
俳優としての力に頼りきりの見せ方
だけだったりと

この物語上でのタッカーの
人間としての深みが全く伝わってこなかったです


はじめはそれだけでも
とても魅力を感じれますし
そんな彼に引き込まれていくんですが

時間が経つにつれてその気持ちが冷めてくる

そのうち
結局、彼は何をしたいんだろう
彼をそこまで突き動かす核となるものは
一体何なんだろう
と疑問が生まれてくる

でも、最終的にはそういう部分は描かれず
これはそういう男だから
というだけで終わってしまいます


タッカーという男の魅力は
意味は無いけどそんな生き方をする人間
ということはとてもわかるんです

人生楽しければいい
という考え方で生きている人なんだと
十分理解できるんですが


それだけでこの人を好きになれるのかと言うと
全然そうではなくて

そもそも、紳士的とは言え
強盗を何回も繰り返している犯罪者ですし
彼の生き様が心に深く刺さりはしなかったです

 

本作でとても印象的だった言葉
「楽に生きるのではなく、楽しく生きる」
これに関しても
わかるけどそんなに納得はできない

タッカーみたいな男が
こんな言葉を言うのはとても面白いとは
思うんですが

この言葉が深くてカッコいい名言だとは
あまり思えない


楽しく生きる手段が強盗ということに
まず納得できない
別に犯罪でなくても楽しく生きる方法なんて
たくさんあるよな
と思ってしまいました

それに、強盗で簡単に大金を手に入れて
日々生活しているのは
確かにリスクはあるかもしれないけど
楽して生きてるよな
とも思ってしまいます


この言葉がタッカーから出た言葉
というのは
この人、面白いこと言うな
と興味深い気持ちにはなるけど

だからと言って
この言葉が心に刺さるのかというと
全然刺さらない


実在の面白い人間を題材に
美談的に描いてはいますが
そこに物語の深みを感じれないので
そこまでこの作品が素晴らしい作品だとは
思えませんでした

 

それと、タッカーの物語と
同時進行で進んでいく
刑事のジョンの物語に関しても
ちょっと薄すぎる印象です

この人必要だったのかな
とも思えてしまう


彼についても
なぜタッカーをそこまで追い続けるのか
という部分がちょっと曖昧で
いまいち気持ちが入っていかない

ジョンの家族ドラマも描かれますが
それの必要性も感じれないし

結局、彼を通して何を見せたかったのか
そこが伝わってきませんでした

 

とは言え
ロバート・レッドフォードのファンや
昔から彼を観てきた人にとっては
良い映画なのかもしれませんね

オマージュなんかもあるみたいです
僕は詳しくないので全然わかりませんでした

彼の引退作というだけで
いろいろ思いを馳せる人も
いるんじゃないでしょうか

正直、僕は彼については全然詳しくなく
大御所俳優くらいのイメージしかないので
全然思い入れが無いです

だから、この映画を1本の映画としてしか
観れないから
それ以上の見方ができない

なので、個人的には
そこまでのめり込めるような映画では
ありませんでした

 

この映画は
ロバート・レッドフォードに
思い入れがあるかどうかで
見え方が変わってくる作品だと
思いました

でも、面白い部分もありますし
そこまで悪い映画ではないと思います

 


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