何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「さよなら、僕のマンハッタン」感想 雰囲気で誤魔化されるけど あまりよくわからない映画

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どうもきいつです


恋愛映画「さよなら、僕のマンハッタン」観ました

サイモン&ガーファンクルの名曲
「The Only Living Boy In New York」に
乗せてつづるラブストーリー
ニューヨークを舞台に、ある青年が
隣人との交流、恋愛、家族の問題を経て
成長していく姿を描いた2017年の作品です

「(500)日のサマー」「アメイジング・スパイダーマン」などの
マーク・ウェブが監督を務めています

 

あらすじ
ニューヨークで生まれ育ち
親元を離れたトーマスは
アパートの隣人でジェラルドと名乗る
中年男性と知り合い
さまざまなアドバイスを受けるようになる
そんなある日
女友達とナイトクラブへ出かけたトーマスは
父親と見知らぬ女のデート現場に出くわしてしまう

 

感想
なんか良い映画の雰囲気はすごくある
作品の雰囲気や音楽、ラストの展開などで
誤魔化されてはいるが
なかなかまとまりがなく
よくわからない映画でした
そして、邦題が悪い


「(500)日のサマー」が結構好きというのもあり
同じマーク・ウェブ監督の本作を観てみました


観終えたときは面白い映画だったな
という気持ちになったんですが

後々、思い返してみると
いまいちこの映画が何を見せたかったのか
よくわからない

雰囲気がとても良いので
なんとなく良い映画には見えてしまう
雰囲気映画でした

 

88分という比較的短い映画の上
物語もテンポよく進むので
映画があっという間に終わった印象です

そういう点では全然ストレスも感じないし
軽い気持ちで観るなら
ちょうど良い映画でしたね

ストーリーの内容は
青臭い青年がいろいろと経験して
少し大人になる話
とかなり単純でわかりやすい内容です

その中で描かれるのは
主人公トーマスの恋愛だったり
彼の家族問題、自立などです


そんな彼の日常を
オシャレな音楽や映像の見せ方
ニューヨークの街並みなどが彩っている

こういう漠然とした
なんかオシャレな雰囲気、が好きな人が観れば
それだけで満足して好きになりそうですね

実際この映画の強い部分でもあります

女子受けは良さそうです
憧れのニューヨーク像
みたいなものが溢れ出てますから


で、このオシャレな雰囲気が
昼ドラのような少しドロドロした内容を
上手く中和しています

なかなか気持ち悪い内容のはずなんですが
なんか爽やかさも感じてしまうほど

このなんだかよくわからない
漠然としたオシャレさが
この作品の全てを包み込んでいました

 

そんな感じで
とても観やすいし
最後には爽やかな気持ちにもなれる映画

でも、後々になると
ちょっと気持ち悪いところが見えてくる
モヤモヤが出てきます

美味しかったけど
後になると変な味が口に残ってる
みたいな感覚


この映画
最後には全て丸く収まってハッピーエンド
みたいな終わり方をしますが
実はそんなにうまく解決してなくない?
と思えてきます

特に終盤の意外な展開です
実はこうでした
というどんでん返し的なやつ

この展開にはアッとさせられます
完全に予想外だった

この展開から一気にラストスパートで
話が全部上手くいくんですけど
なんかすごく強引なんですよ


それに、この展開のせいで
すごく誤魔化されていますが
本来重要だったトーマスの成長の物語が
どっか行ってしまっている

本質とズレた着地点に行き着いてないですか?

物語の論点が
真実がどうだったのか
という話になってしまっている


そして、その真実が発覚したから
全て上手くいったというようにも見えてしまって
じゃあ、今までのは何だったのか?
とそれまでの出来事が無駄にも思えてきます


家族の良い話みたいになってますけど
そんなにいい話なのか?
とちょっと気持ち悪さが残ってしまいます

 

さらに、主人公トーマスの成長と
それを取り巻く登場人物たち

これは複雑な人間関係を描きたいのかも
しれませんけど
複雑と言うより突拍子もない人間関係だと思う

それぞれの登場人物たちが
思い付きで行動しているようで
そこに考えとか信念を全く感じれません


登場人物たちが何をしたいのかが
全然わからないので
結局、このストーリー自体が
最終的にどこへ向かってるのかが掴めないんですよ


例えば主人公のトーマスは
平凡な自分が嫌、自立したい、小説を書きたい
と言う部分には共感、感情移入できるんですが

そこから先の
父親イーサンの不倫現場を見てからの行動が
何をしたいのか全然わからない

はじめは不倫相手のジョハンナに
父と別れてもらおうとしてるけど
途中からはジョハンナと肉体関係を持つようになる

そのへんからは全く理解ができない

なぜそうなってしまったのか
という心情は全く見せられず
ただ抱きたいから抱いた
みたいな感じになってしまってて
すごくバカっぽい


相手のジョハンナに関しても
はじめにトーマスに問いかけた
私を抱きたいんでしょ?
という質問がどんな気持ちで言ったのかが
謎ですよね

その後は普通に肉体関係を待っますし
しかも何回も

なのに、終盤には
イーサンを愛してるとか言い出して
真実の愛みたいなのを見せつけてくる

じゃあ、なんで愛している人の息子と
ヤッちゃうのか


正直、ここは茶番にしか見えなかった

ジョハンナは何を考えているかわからない上に
言動が唐突過ぎる

 

父親のイーサンも
息子や妻についてどう思っているのかを
全然見せないし

ジョハンナに対しても
最後までどれくらいの想いなのか
というものが全然感じられない

中身が無いように見えてしまいますね

 

人間ドラマの描き方があまり上手くないです

表面的には複雑な人間関係や
大人な恋愛ドラマみたいに見せてますけど
中身がカラッポなんですよね

みんながなぜこんな行動をしているのか
という内面の部分が全く見えてこない

 

そして、トーマスの成長物語は
成長してるように見せてるけど
そんなに成長してない

何かを乗り越えたわけでもなく
ただ大人の周りをうろちょろと
歩き回ってるだけです

明確な目的のために進んでもなく
葛藤を克服したようにも見えない

いつのまにかフワッとなんとなく成長していた
って感じになってると思います


全体的に脚本が甘かったのかな
と思いました

 

あと、最後に
邦題が悪すぎると思う

何がさよならか全然わからないし
僕のマンハッタンもよくわからない

普通に「ニューヨークの少年」で
良かったんじゃないかと思うんですけど…

 

雰囲気が良い映画だったので
頭カラッポで観るとちょうどいいかもしれない

真剣にみてしまうと
気になる所がいっぱいあるので
後味が悪くなると思います

 


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