何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」感想 癒される映画 でも、ちょっと物語が弱いかな

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どうもきいつです


伝記映画「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」観ました

ホームレスのストリートミュージシャンと
野良猫の運命の出会いを描いた実話の物語
「ボブという名のストリート・キャット」を
原作に実写映画化した2016年のイギリス映画

監督はロジャー・スポティスウッドが
務めています
猫のボブはほとんどのシーンで
本物のボブ自身が演じています

 

あらすじ
ロンドンのストリートミュージシャンの
ジェームズは夢も果たせず、薬物に依存し
家族にも見放され、ホームレスとして
どん底の人生を送っていた
そんな彼のもとに迷い込んできた野良猫
ボブと名付けたその猫との出会いが
彼の人生を大きく変える

 

感想
ほっこりと心温まる
良い映画でした
ただ実話ベースの映画でもあるので
物語の弱さを感じてしまった

 

Twitterでオススメされているのを見て
とても気になり観てみた映画

動物ものの作品が無条件で好きということもあり
ボブに癒されながら最後まで観てしまいました


薬物依存であったりホームレス生活であったり
かなりハードな人生を送っている主人公を
描いたちょっと重たい内容の映画なんですけど

作風はポップで暗すぎないので
とても観やすい映画だったと思います

笑えるようなコミカルなシーンもありますし
映像もそんなに暗い印象を受けない
そもそも、主人公がそんなに暗い人間ではない
というのもあって
全体的に明るい雰囲気の作品になっていました

 

そして、なんと言っても
この映画の魅力は猫ですよね

茶トラの猫ボブがとても可愛くて
それだけで心が癒される
猫が好きな人なら
これだけでも満足できるかもしれませんね

ほとんど画面にボブが映り続けているような映画で
ちゃんと可愛く見えるように映されている
主人公はジェームズですが
ボブがメインと言っても過言ではないです

このボブがまたとても落ち着いていて
おとなしい猫なんですよ
それが何とも言えない可愛さを
醸し出している


しかも、このボブを演じているのが
本物のボブだということにも驚きました

撮影には複数の猫を
使い分けてはいるみたいなんですが
基本は本物が演じているみたいです

特にギター演奏中の
ギターに乗っているボブの場面は
本物でないと上手くいかなかったみたいですね

そんな事実を知ると
ボブという猫はすごい猫なんだな
と思いますよね
すごく賢い猫です

それに
明らかに普通の猫じゃない
不思議な力を秘めてる猫なんじゃないのかな
とさえ思えてきます


そういった点からも見てみると

人間と猫の絆を感じる事ができるし
ジェームズにとってボブは重要な存在
運命を変えるほどの大きな存在だったということが
より伝わってきました

ペットって
ただ人間を癒すだけのものではなくて
人生を左右するほどの重要な道しるべに
なりえる存在なんだな
と思わされる


それは、具体的に人生を
どう歩んで行けばいいのかを
教えてくれるわけではないですし
困った時に助けてくれるわけでもないんですが

存在するだけで心の支えになってくれたり
生きる活力を与えてくれたり
勇気を出さなきゃいけない時に
背中を押してくれたりもする


この映画でも
ボブは特に何かをするわけじゃないんですよね
ただいるだけなんです

ボブがいることで
人々に注目されていくということは
実際に起きるんですが
重要なのはそこじゃなくて

ボブがいることで変化していく
ジェームズの心が重要


ジェームズとボブが出会うことで
大きな変化は起きないし
大きなドラマが生まれるわけでもない

でも、ボブと過ごすうちに
ジェームズの心は着々と変化し
気づけば大きく心が成長しています


猫の存在と薬物依存から抜け出したことに
因果関係が無いと言う人や
物語の中で猫が全然機能していないと言う人も
いると思うんですが

僕は全然そうは思っていなくて

これは、ペットを飼っていたことがある人なら
わかると思うんですが

人間とペットの関係性って
家族や友達などの人間関係とはまた違い
人間と動物だからこその特有の絆があるんですよ

その絆には意味とか理屈とかは無くて
とても抽象的なことだと思う


この映画でのボブの存在も
物語としての意味は無いかもしれませんが
ボブがいることで何かはあるんです

そんな、抽象的なものを
本作は描けていたと思います

 

そして、この映画は猫だけじゃなく

人間の優しさ、人間は捨てたもんじゃない
という部分と
その反面の
人間の調子の良さ、嫌な部分なんかを
感じる事ができる映画でもありました


冒頭はゴミをあさるジェームズから
物語が始まり
薬物依存に苦しむ姿や
友達が薬物によって命を落としたりと
かなりキツい場面も多かったりします

そこから見えてくるジェームズの姿は
自業自得のダメ人間でもあるし
とても可哀そうな人でもある

そんなジェームズの周りの人間から
人間の良い部分、悪い部分が
とてもストレートに伝わってきました


ジェームズをダメ人間と分かった上でも
彼を更生させようと
ソーシャルワーカーのヴァルは彼を信用して
手助けしますし
彼の父親や隣人のベティも
彼に優しく支えてあげている

こんなところから
人間の優しさを感じられる
どん底の中でも光はあるんだと思わされます


その反面
今まではジェームズに見向きもせず
忌み嫌っていたような人たちが
猫をつれるようになってから
急に可愛いとか言ってちやほやしだす

最終的にはそれがきっかけで
彼の人生が本になるわけですが

なんかすごく嫌なものを見てる気分になります

ただ猫が可愛いからと
今まで無視していた人間をもてはやす
これに気持ち悪さを感じます

そして、それが実話で
この映画はそれを基に作られている
なんかすごい皮肉にも思えますよね

この映画を観て
猫が可愛い、感動した
と言っている自分たちも
そんな人たちと全く同じなんですよ


これは意図してるわけではないかもしれませんが
結果的にそう見える作品です

自分自身を見直さなきゃならない気持ちにも
させられました

 

最終的にはとてもほっこりする
良い映画なんですけど

物語が弱すぎるという
弱点があります

これは実話を基にしている作品で
劇的なドラマが無いのも原因かもしれませんが
猫の可愛さに重きを置きすぎたのも
あるんじゃないかと思う

猫の可愛い仕草や動き
猫視点の映像など
そういうものにこだわりすぎて
肝心のジェームズの気持ちの描写が
疎かになっている

ジェームズの心の葛藤や
成長の姿なんかを
もうちょっと丁寧に深く描いていただけでも
物語のメリハリが生まれそうですし
感情移入ももっとできていたと思う

ボブだけでなく
ジェームズの言動や心の動きも
しっかりと見せてくれれば
この映画がさらに深い作品に
なっていたんじゃないでしょうか

 

猫好き、動物好き
ペットを飼っている人なら
心に刺さる映画だと思います

猫の可愛さも堪能できるし
人間の暖かさも感じれる
とても暖かい作品でした

 


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