何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「バニラ・スカイ」感想 オチが全ての映画 ただ、そのオチが好きじゃない

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どうもきいつです


サスペンス映画「バニラ・スカイ」観ました

1997年のスペイン映画「オープン・ユア・アイズ」のリメイク作品
完璧な男に巻き起こる不思議な運命を描た
2001年のサスペンス作品です
舞台をニューヨークに移していますが
ストーリーはオリジナルとほぼ同じ

監督はキャメロン・クロウが務め
主演はトム・クルーズです

 

あらすじ
完璧な人生を謳歌するデヴィッド・エイムスは
ジュリーという恋人もいて何不自由も無いはずが
どこか物足りなさを感じていた
そんなある日、彼は親友の恋人ソフィアに
一目惚れしてしまう
それを知ったジュリーは嫉妬にかられ
デヴィッドとともに心中を図ってしまう
一命をとりとめたデヴィッドだったが
その顔は怪我のために見るも無惨に変り果てる

 

感想
思った以上に平坦な物語で
いまいち面白く思えなかった
ラストのオチは
なるほどと納得はできたけど
じゃあ何でもありじゃん
って気持ちにもなってしまう

 

オリジナルの作品は知らなかったんですが
オススメのサスペンス映画に
この作品が挙がっていたので
なんとなく観てみました


個人的にはあまり乗れない映画でしたね

映像や雰囲気はいい感じなんですけど
物語の展開には面白さを感じれませんでした

終盤までは
ほとんど平坦な物語が続き
最後のあたりだけちょっとサスペンスっぽく
なってくるんですけど

そこからのオチは
そんなに強いラストでもないように思ったし
オチがこんなんじゃ
さすがになんでもありすぎて
今まで見てきたのは何だったのか
って気持ちにもなってしまいました

 

まず、この映画の中心でもある
主人公デヴィッドのことを
最後まで全然好きになれない

とても傲慢で自信家
超大金持ちのデヴィッド
イケメンでモテモテだし
何でも自分の思い通りで

だからこそ自己中心的で
他人のことは蔑ろにする

そんな、なかなか嫌な主人公なわけです


ここまでは全然いいんです

それがデヴィッドの魅力だと思うし
重要なのはこの物語を通して
彼がどう変化するのかということです

スタート地点が最悪な人間性なので
ここからはデヴィッドのいろんな面を見ることで
彼に感情移入していって
最後には好きになってるんだろうな
と期待しながら観ていたら

結局最後まで好きになれなかった


物語の中でデヴィッドの成長や
心の変化などは全然見せてくれずに
この映画は終わってしまいます

確かにデヴィッドは
心の葛藤やソフィアとの恋愛などを経て
いろいろ経験を積み
後半では精神的に追い詰められたりもします

出来事はいろいろと起きてるんですよ
その中でデヴィッドが成長してるようにも
見えるんですが
結局根本的なものが全く変わっていない
それに過去の自分を反省したりも無い


本作では
デヴィッドの恋人ジュリーが
すごくヤバいストーカー女みたいな
見せ方をされてるんですけど

彼女がそうなってしまうのもそりゃ当然だろ
と思いますよ

全ての元凶はデヴィッドですからね
このクズ男が彼女を蔑ろにした上に
一目惚れした美女をちやほやしてるんですから
腹立つに決まってますよ

彼女にヒステリックな一面もあるんでしょうが
全ての原因はデヴィッドの言動が
引き金になっているわけで

デヴィッドの運命が狂いだすのは
因果応報と言えると思います

だからこそ彼はそんな過去や
自分の過ちに向き合う必要があるし
それを乗り越えることで成長できるはず


でもですね
彼は最後までジュリーが悪い
というスタンスは変えないんですよ

彼女のせいで自分の人生が狂ったと思ってますし
死んだ彼女に対しての罪悪感も全く無い
そもそも、デヴィッドには自分が悪いという
発想が全然無いんですよね

だから、事故の後は
自分の顔が傷ついたことで落胆するだけだし
自分とソフィアの恋愛のことで頭がいっぱい

ジュリーのことなんて一切頭に無いんです

再びジュリーが目の前に現れるまでは
彼女のことは完全に忘れてる

出てきてたら出てきたで殺してしまいますしね


そして、結末に向けて進みだすと

デヴィッドは自分の未来がどうとか
自分の人生をどうするべきなのか
自分にとっての幸せとは何なのか
という話になってしまう

コイツずっと自分の事しか考えてないんですよ
とんだナルシスト野郎ですね

デヴィッドとソフィアのラブストーリーを
純愛みたいな見せ方もしてるけど
デヴィッドが何も成長してないから
そこに全然説得力が生まれてません

たぶんコイツはソフィアの気持ちなんかより
自分が好きな人と結ばれたい
という気持ちしかないと思う

こんなヤツを好きになれるはずがない
感情移入もできないし
コイツが物語の中心ということに
だんだんとイライラしてきます

主人公に好感を全く持てないという時点で
この映画自体も好きにはなれませんでした

 

それだけではなく
物語の展開にもあまり面白みを感じれないです

この映画で見せられるのって
ほとんどがデヴィッドのイケてる私生活
なんですよ

どんなにカッコよくスタイリッシュに
日々を過ごしているか
というのをひたすら見せられます

そんな中で顔が傷ついてしまう事で
デヴィッドは人生のどん底
みたいになってますけども

そんなの大したエピソードじゃないし
最終的に傷も治ってしまう

ソフィアとの恋愛もただラブラブで
2人のイチャイチャを見せつけられるだけですし

山も谷も無い平坦で幸せなだけの
何の面白みも無い映像がずっと続く
こんなのの何が面白いのか


この幸せな時間が続いている
ということには理由があって
その理由には納得もできますけども

だからといってダラダラと
抑揚の無い場面を見せ続けられても
面白いわけがないし
見てる側からすれば退屈でしかありません

 

ラストに近づくと
サスペンス的な展開が起きて
大きな謎が生まれることで
物語に一気に引き込まれていきます

そこからは
物語の真相や結末に対する興味で
グイグイと引っ張られる

世界が崩れ出していく様には
ハラハラさせられますし
真実に対する好奇心が掻き立てられます


だからこそ
この映画の真相を知った時に
ダマされた気持ちになってしまう
悪い意味でです

 

この映画で一番の問題は
このオチだと思う

このオチを絶賛している人もたくさんいますが
僕は全然良いと思えない

ここからはオチの話なんで
ネタバレになってしまいます

 

言ってしまうと
この映画の結末は夢オチです

今までのは全部夢でした
っていう終わり方

夢オチってすごく難しいと思うんですよ
だからこそ
そう簡単に手が出せないんだと思う

普通に映画のラストで
今までのは全部夢だったと言ってしまったら
そこまでに積み重ねてきたものが
完全に崩れ落ちてしまう

本作はまさしくそうなっていると思います


終盤のサスペンス展開で見せてきた
謎めいた出来事や意味深な場面
それらが
夢だからおかしかったんですよ
と大雑把にまとめられる

そこには伏線も何もなく
ただ夢だからおかしなことが起きていた
という強引な理屈


そして、今まで見せられてきた
デヴィッドの物語もほとんどが夢の中の出来事
今までのラブストーリーも
実は全部夢だったわけです

じゃあ、自分たちは今まで
何を見せられてきたのか
と思ってしまう


僕が指摘してきた
デヴィッドが成長していないとか
物語が平坦でつまらないとか
そんなのを言うこと自体が
無駄なことだったようにも思えてきますよね

 

最終的には
このまま夢の世界に留まるのか
目を覚まして現実に戻るかの
選択を迫られるわけですが

これに関しては
もう興味ないですよ

なんか究極の選択を迫られてる
みたいな感じになってますけども
デヴィッドがどっちを選ぼうとも
どうでもいいでしょ

最後はすごい決意をもって目覚めますけども

現実の世界に困難があるかどうかも
全然わかりませんし
デヴィッドが現実の世界に執着する要素も
全然無いでしょうに
希望があるわけでも目的を持ってるわけでもない

強い意志への裏付けが無いから
応援する気にもなれないし
この後どうなるかも全く興味が持てない


むしろ、夢の中でずっと幸せに
暮らしていればいいんじゃない
って思いますよ

だってコイツは自分に都合に良い世界にしか
興味が無いようなヤツでしょ
夢の世界のほうがよっぽどお似合いですよね


ともかく
本作での夢オチは
とてもいい結末とは思えない
ただ今までの積み重ねを壊しているだけでした

 

こういう映画が
観て損する映画なのか
と思えますね
この映画を観て感じたことが
全て無かったことのようになってしまう

トム・クルーズがカッコいいので
彼を見て満足できるなら
それでもいいかもしれませんけどね

 


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