どうもきいつです
実話を基にした映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」観ました
渡辺一史の著書「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」を映画化した2018年の作品
筋ジストロフィーにかかりながらも
自らの夢や欲に素直に生き続けた鹿野靖明と
彼を支えながら共に生きたボランティアたちの
人々や家族の姿を描いた人間ドラマ
監督は「ブタがいた教室」などの前田哲
主演は大泉洋が務めています
あらすじ
医学生の田中はボランティアとして
身体の不自由な鹿野と知り合う
筋肉が徐々に衰える難病の筋ジストロフィーを
12歳の頃に発症した鹿野は
わがままで周囲を振り回してばかりいたが
どこか憎めない愛される存在だった
そんな中、田中の恋人の美咲がボランティアに
参加することになる
感想
障害者を扱った作品ですが
変にお涙頂戴の感動話になっていなかったことに
とても好感が持てました
なかなか笑えるコメディー作品です
気にはなっていたけど
スルーしていた作品
最近になってようやく観ました
障害者を取り上げた作品って
よくありますよね
で、そういう作品って
お涙頂戴の感動物語だったりが多かったりする
ドラマやドキュメンタリーなど
特にテレビ番組はそんなのが多いですよね
毎年夏にやってるあの番組とか…
正直、あんな番組マジで大嫌いなんですよ
障害者を使って健常者を泣かそうとする
この構図がめちゃくちゃ嫌い
完全に健常者の上から目線ですよね
差別を無くそうとか平等とか言ってるけど
こういうことに関しては
いまだに壁が高いと思う
テレビで身体が不自由なのに頑張っている人
って紹介すること自体が
差別のように感じてしまいます
そして、この映画の話ですが
本作は障害者を取り扱った映画ではなく
鹿野靖明という面白い人間を描いた作品
そこにとても好感が持てました
障害者だから感動する話では無くて
鹿野靖明だから感動できるし笑える作品に
なっていたと思います
障害をもって生まれてしまった
鹿野靖明という男の生き様を見せる映画でした
内容も重い話ではなく
笑えるコメディーのような作りで
頑張っている障害者を見て泣く映画には
なっていなかった
笑いの描写が
障害者だからこその不自由さや失敗なんかを
笑いに変えていたり
鹿野さんの面白い人間性が笑えたりと
押しつけがましくない笑いでとても良かったですね
そして、ただ笑える映画というだけでなくて
鹿野さんからいろいろ学べる映画でもある
それは障害者や健常者に関係なく
みんなの心に刺さる事だと思います
王様のようにわがままを振るう鹿野さんなので
はじめは観ている側もちょっとムカつくと思う
美咲が怒ったときの気持ちがすごくわかる
何様だよ!って
最後まで鹿野さんにムカつきっぱなしの人も
いるでしょうね
でも、よく考えてみると
鹿野さんって良い意味で開き直ってる人なんだと思う
自分にできないことは絶対にできないから
できる人に代わりにやってもらう
他人に迷惑をかけてでも自由に生きる
一見、自分勝手で嫌な奴にも思えるけども
実はそれが人間なんですよね
みんな他人に迷惑をかけて生きているんですよ
鹿野さんに対して自分勝手で腹立つと
思っている人は
自分が誰かに迷惑をかけて生きていることに
気付いていない人
誰かに助けてもらっていることに気付けてない
なんでも自分一人でこなして生きていると
思い込んでいるんでしょうね
でも、鹿野さんはその辛い境遇のおかげで
いろんなことに気付けている人なんです
自分自身を知っているし
自分のやるべきことも見つけている
人は一人じゃなくて誰かに支えられて生きている
ということにも気付いている
そして、人生の大切さにも気付けている人なんです
そこに気付けているということが
自分たちなんかより全然優れている人間だと思う
障害者は弱者だと思われがちだけど
鹿野さんは全く弱者なんかじゃないんです
彼の姿を見ていると
自分の人生についても考え直させられる
今の自分の生き方はどうなんだろう?とか
これから先どうやって生きていこうか?とか
自分の生き方を見直そうと思わされます
鹿野さんの姿から学べるものは
たくさんあると思います
周りから無償でただ与えられているだけ
のような鹿野さんにも見えますけども
彼もまたボランティアたちに与えている人
なんですよ
ボランティアの人たちは鹿野さんと接することで
彼の姿や生き様から
いろんなものを学んでるだろうし
いろんなことに気付けていると思う
だからこそたくさんのボランティアが
集まったんだろうと思います
鹿野さんを可哀そうだと思って
ボランティアに来ていた人は
いなかったんじゃないでしょうかね
そんな感じで
障害者を描いた作品としては
とても好感が持てて良かったんですが
映画としてはちょっと微妙なところもありました
邦画の悪いところも出てたと思う
まずタイトルがあまり好きじゃない
こんな夜更けにバナナかよ
だけでいいと思う
愛しき実話
っていうのがいらないですよね
このタイトルにはあまりセンスを感じれない
実話ってことを押したかったんでしょうか?
それにしてもちょっと気持ち悪さも感じる
内容に関しても
全体的にちょっとテンポが悪いし
説明不足な感じもします
登場人物の心の変化が唐突で
ちょっとついていけないんですよ
はじめはボランティアを嫌がっていた美咲が
急に乗り気になっていたり
田中の心の葛藤みたいなのが急に入ってきたり
もう少し心の描写の説明が欲しかった
どう変化していったのかという過程を
丁寧に描くだけでも全然違うと思う
それと、障害者を感動的に見せる映画では
なかったんですけど
映画としての感動の場面があざとく感じた
特に終盤にかけては
感動の結末みたいに持っていきがちで
セリフとかもクサすぎるし
感動できるだろ?
って押しつけを感じてしまった
でも、悪いだけじゃなくて
良い部分もたくあんある
鹿野さん役の大泉洋はすごく良かった
とても魅力的な人に見える
大泉洋の能力の高さをうかがえますよね
作り物キャラクターではなくて
存在する人間に見えるんですよ
鹿野さんは実在の人物ですが
不思議で変わった人でもあると思う
こんな人なかなかいないだろうな
って人物ですけど
それをしっかりと存在するような人物として
演じていたと思う
それと、高畑充希もすごく好きです
彼女が出ている作品を観ると
毎回思うんですけど
僕は特別に高畑充希が好きと言うわけでもなく
そんなに興味も無いので
はじめは別に好きじゃないんですよ
でも、物語が進むにつれてだんだん好きになっていく
最終的には完全に好きになってます
この現象が毎回起きる
これは一体何なんでしょうか?
今回も最後には大好きになっていた
役者の演技が良かったというのもあって
登場人物たちがみんな
生き生きと動いていました
それが笑いとか感動にも繋がっていたと思います
障害者を描いた作品としては
とても良かった映画だと思います
健常者の上から目線の作品にはなっていなかった
映画としても
それなりに笑えるし感動できるので
悪くない作品だと思います
良い映画でした
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