何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ジェーン・ドウの解剖」感想 前半は面白いミステリー 後半は普通のホラー

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どうもきいつです


ホラー映画「ジェーン・ドウの解剖」観ました

身元不明の女性の検死を行うことになった
検視官の親子が解剖を進めるうちに
怪奇現象に襲われる2016年のホラー映画
トロント国際映画祭などの世界各地の映画祭で
高い評価を得ている作品です

監督は「トロール・ハンター」などの
アンドレ・ウーヴレダルが務めています

 

あらすじ
とある一家が惨殺された家の地下で
身元不明の女性の変死体が見つかる
検死をすることになったトミーと
息子のオースティンは死因を調べるため
解剖を進めると驚くべき事実が明らかとなっていく
そして、親子に恐怖が襲い掛かる

 

感想
解剖することで真実に迫っていく
ミステリー的なストーリーは
とても面白くて引き込まれていく
後半はちょっと普通のホラーになってしまっていて
少し拍子抜けしました

 

なかなか評判がいいみたいでしたし
個人的にも好きそうな感じの作品だったので
観てみました


全体的に不気味な雰囲気を醸し出していて
とても好きなタイプの作風でした

はじめは科学的なミステリー映画だと
思っていたんですが
後半は王道のホラーって展開でしたね

 

特に良かったと思ったのは

不可解な死体を調べていき
謎の真相に迫っていくという展開が
すごく興味を惹かれるし
物語に引き込まれていきます


本作の入り口は
ホラーというよりもミステリーです

一体この死体の正体は何なのか?
という謎を原動力に物語が進んでいく


まず、死体の存在がとても不気味です

ホラーでの死体と言えば
腐っていたり、破損していたりと
グロさや気持ち悪さを前面に押し出しているものが
多いと思いますが

本作の場合は
死体がものすごく美しい
まるで死体と思えないほど綺麗な状態
なんですよね

それが逆にすごく不気味なんです

もしかしたら生きているんじゃないのか?
って気持ちにさえなってくる

そんな生きてそうな死体を解剖していくので
ちょっとヒヤヒヤする気持ちも生まれます

生きてそうなほど美しい死体というのは
後の展開にも機能してきますしね


死体の解剖が始まってからは
いくら死体と言えど
体を傷つけたり内臓を取り出したりと
なかなかグロテスクな場面が続くので
そんなのが苦手な人だったら
見るのがちょっと苦痛かもしれません

しかし、この解剖のシーンが
なかなか面白いんですよ

死体の状態を調べ、解剖していく過程で
死体としてはありえない事実が発覚していき
不可解なことがいくつもみつかります

外傷が無いのに骨折していたり
内臓は傷つき肺は焼けている

死体なのに血が流れ出たりするし
謎の布が体内から発見されます

このあたりがとても不気味な上に
好奇心も煽ってくるんですよ

この死体には一体何が起きたのか?
と疑問が生まれて
真実を知りたいという気持ちにさせられます

検死を進めて行く中で
徐々に真相が明かされていく様子は
とてもワクワクしました

解剖の場面にリアル感があって説得力もあり
面白く観ることができましたね

 

そして、死体の真相が少し見えてきて
この死体ヤバいぞ!!
ってなってからは王道ホラーな展開が始まります

お決まりパターンの密室ホラーって感じです

閉じ込められた人たちが
何かから逃げるために四苦八苦する
みたいな展開

ここでのホラー演出はかなりベタで
お約束みたいなことがたくさん起きます

隙間を覗くと向こう側にオバケがいたり
オバケと思っていたら実は人間だったりと

とにかくベタな展開のオンパレード

だから、それなりに怖いし楽しめました
ここはお化け屋敷的な感覚の
面白さはあると思います


ただ、あまりにもお決まりパターンだけに
なってしまっていて
先の展開は容易に予測できてしまいます

たぶんこうなるだろうな
ってことが予測通りに起きていく


前半の謎解きミステリー要素で作り上げた
絶妙な雰囲気を
後半のベタなホラー展開が
ぶち壊してしまってるような気がする

前半は
この先どうなるんだろう?
という気持ちを上手く作り上げてきたのに
後半は先読みできる予定調和な展開ばかりで
前半と後半が全く真逆になってしまってるんですよ

物語の結末も
普通のホラーっぽく少し曖昧で
その後も呪いは続いていくんだろうな
って終わり方だったりするし

ミステリー的な面白さは前半だけで
それ以降はそんなのが無かったかのように進み
ただオカルトな超常的なものだけで
話が終わっていく

前半の解剖のシーンで
せっかく謎に対する好奇心で盛り上がってきたのに
ホラー展開が始まるとそんな謎は放ったらかし
最後にこの死体は魔女的な不思議な存在なんですよ
って雑に片付けられて
ちょっと拍子抜け


後半になってオカルト路線に方向転換するのは
全然良いんですけど
それはそれでミステリー要素も残してほしかった

終盤は意味不明な展開が多かったですし
物語の着地もちょっと強引
超常的な現象で全て丸くお収めようとしていて
バカっぽくも見えてしまう

序盤は知的な話の進め方をしていただけに
悪い意味でのギャップが生まれてしまっていました


謎を全て解き明かす必要はないと思いますが
最後まで謎を引っ張るような物語でも
よかったよな気がします

本作では中盤あたりで
この死体が悪魔的な何か
ということが発覚してしまうんですが

それ自体も終盤まで伏せていても
よかったんじゃないですかね

あくまで物語の主軸はミステリーで
所々にホラーを散りばめる
って作りでも面白くなったように思います


それにしても
前半があんなにも知的で面白いミステリー
だったのに
なぜ後半はただのホラーで終わってしまったのか

すごくもったいないですよね


死体の鼻からハエが出てくるのとか
悪魔的、魔女的なものを示唆する伏線としても
面白いし
皮膚の裏側に魔方陣的なのが刻まれてる表現
とかすごく良かったんですけど

前半部分だけだったら
良いところがたくさんあるんですよね

 

個人的には
前半部分はめっちゃ好き
後半部分は普通
総合的にはちょっと好きな映画
くらいの感じだったと思います

前半が良かっただけに
すごく惜しい作品でしたね

 


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