何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「タクシードライバー」感想 すごくヤバい奴だけど気持ちはわかる

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どうもきいつです


クライム映画「タクシードライバー」観ました

夜のニューヨークを走るタクシードライバーを
主人公に彼の葛藤と狂気を描いた1976年の作品
第29回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作品です

監督は「グッドフェローズ」などの
マーティン・スコセッシが務め
主演はロバート・デ・ニーロです

 

あらすじ
ベトナム戦争帰りの元海兵隊員トラヴィスは
戦争によって不眠症を患っており
夜の街をタクシー運転手として過ごしていた
世界の不浄さにいら立ちを感じていた彼は
やがて、闇ルートから銃を手に入れ自己鍛錬を始め
やがて、彼の胸中に一つの計画が沸き上がる

 

感想
共感できないようなサイコパスな主人公なのに
なぜか気持ちが共感できる
変化を求めて足掻く姿は
滑稽ながらもグッとくるものがあります
ヒーローとヤバい奴は紙一重なのかも
とも思ったりしました

 

よく耳にする作品だったんですが
今まで観たことがなく
初めて観てみました

ちょっと掴み所の無いような作品でしたね
でも、心に伝わってくるものもある
なんか不思議な作品でした


この映画は
正直言ってそんなに面白い映画ではないと思う
ストーリーがよくわからないし
何を伝えたいのかもいまいちわかりづらい

それに主人公がすごくダサい
全然格好良くない上に
好感を持てる人間性でも無かったりします

主人公がやっていることも
支離滅裂で何がしたいのか…


この映画が面白くなかった
好きじゃない
って人も多いと思います
その気持ちもよくわかる

でも、僕はこの映画が嫌いになれない
むしろ好きだと思います

 

そもそも、本作は全然エンターテイメントでは
ないですね

アクションシーンがあるわけでもないし
ストーリーは淡々と進んで山も谷も少なく
仕掛けのある展開も無いのでちょっと退屈

物語のラストは
ハッピーエンドのように見えるけども
すごくモヤモヤが残ると思います

 

この映画で描かれているのは
主人公のトラヴィスという男
彼が何を考えどういう生活を過ごしているのかを
淡々と見せられます

ただ、彼の言動には全然感情移入できない

なんでそんな行動はできるの?
と疑問に思うことが多く
彼の目的なんかも漠然としすぎていて
一体何がしたいのか理解に苦しむ

完全にサイコパスな人間なんですよね

他人の気持ちは全然理解できていないし
行動が全て自分本位

デートにポルノ映画を観に行くのなんて
明らかにおかしいですが
彼はそのおかしさには全く気付けていない


そんな主人公なので
嫌いになる人も多いでしょうね

 

でも、僕はトラヴィスの行動に
すごく共感できる部分もある

基本的に彼のサイコパスな言動には
共感できない
戦争経験の後遺症でそうなってしまってるのかも
しれないですが
やっぱり、彼が何をしたいのか
何を考えているのか
というのはよくわからない


ただ、彼がどうにかして
自分や世界を変化させようと足掻いているのは
とても伝わってくる

自分の現状から抜け出すために
何かをしようとしている姿には
やり方がどうであれ
心に刺さるものがあります


彼がやろうとしていることは
明らかに間違っています

それに、行動を起こす理由を
世間のため、誰かのためと
正義の味方のような理由をこじつけてますが

結局は自分のための行動なんです


なぜ彼がそんな事をするのかと考えたら
たぶん自分の心の穴を埋めるためだと思う

何者でもない自分が嫌で
何者かになろうとしているんです

そして、その気持ちはすごくわかる
僕にもそういう気持ちがある


だから、彼のやろうとしていることは
理解できないけど
なぜか彼にとても共感できる

トラヴィスが筋トレをしていたり
銃を構えてセリフを決めたり
武装のための道具を作っていたり
それらの場面はすごく滑稽でギャグみたいなシーン
なんですが

その姿でさえ
なんかグッとくるんですよね


トラヴィスは本当にダサい男で
やることなすこと全部ダサい

女性に冷たくされるだけでブチギレるし
家でセリフの練習とかしてる
「俺に用か?俺に向かって話してるんだろ?」
とかカッコつけて言ってるけど
ダサさすぎて笑ってしまいますよね
計画の直前で怖気づくのもめっちゃダサい

でも、そんなところに彼の哀愁を
感じてしまいます

彼自身もそんな自分に違和感があるんだと思う
だから、何か大きなことをすれば
自分を変えることができると漠然と思っていて
あんな行動に出ているんでしょう


売春で稼ぎ生活しているアイリスと出会って
トラヴィスは彼女を救おうと必死になりますが

ここも、やっぱり
アイリスのために行動しているんじゃなくて
自分のためです

彼女を救うことで
何者かになれるんじゃないのか
という気持ちだけで彼は動いている

だから、最後の行動も
トラヴィスの自分本位な行動で
アイリスのことなんて全く考えていないわけです


そして、ラストで彼は英雄のように扱われて
ある意味、彼の望みが達成できたわけですが
ハッピーエンドには見えません

むしろ、トラヴィスはあそこまでやったにも
関わらず
結局、何者にもなれず
終わってしまったように見えます

ああなってしまうのは自業自得だけど
とても切なさを感じました


それに、あのラストは怖くもありますよね

トラヴィスみたいなヤバい奴が
ヤバいことをした結果
英雄視されてまた街へ解き放たれてしまう

あんなヤバい奴は野放しにしちゃダメだろ
とも思いますが

あんな奴だからこそ
ヒーローの素質があったのかもしれません
ヒーローって結構ヤバい奴多いような気がするし

タイミングさえ合ってしまえば
あんな人がヒーローになっていくのかもしれません

 

この映画を観て
以前観た「ナイトクローラー」を思い出しました

めっちゃ似てますよね

主人公の雰囲気や物語
ラストなんかも

本作の影響をかなり受けているように
思います

どちらもサイコパスな主人公ですが
共感できる部分がありますし
両方とも好きな映画ですね

 

あと、この映画
音楽がすごく良かったですね

内容と音楽がとてもマッチしていると思いました

トラヴィスの不安定な感じや
憂鬱な雰囲気なんかを
音楽ですごく表せていたと思う

それに、緊張感を煽る音楽も
良い使い方をしていましたね

 

面白くないって言う人もいるでしょうが
僕はこの作品がとても好きになりました

彼のサイコパスな言動より
彼の心の葛藤のほうに目を向ければ
共感ができるかもしれません

結構、昔の作品でしたが
現代の人にも伝わるものが
込められている作品だと思います

 


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