何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ジョーカー」感想 見応えはあるけど 絶賛するほどのものか? と少し違和感

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どうもきいつです


アメコミの人気ヴィランを描いた映画「ジョーカー」観ました

「バットマン」の悪役として有名なジョーカーを
主役に映画化した作品
ピエロのメイクを施し、恐るべき狂気で
人々を恐怖に陥れる悪のカリスマが
どのようにして誕生したのかを
原作コミックにはない映画独自のストーリーで
語られます

監督は「ハングオーバー」シリーズなどを
手掛けてきたトッド・フィリップス
主役のジョーカーを演じるのは
ホアキン・フェニックスです

 

あらすじ
孤独で心の優しいアーサーは
コメディアンを目指しながら
母とともに暮らしていた
ピエロのメイクをして大道芸で稼ぎ
母を助ける彼だが
世間の理不尽さに直面し
やがて狂気溢れる悪へと変貌していく

 

感想
つまらない映画ではありませんでしたが
世間が大絶賛しているほどの内容には
思えなかった
この映画がジョーカーである必要があったのか?
とも思う


人気キャラクタージョーカーが主役ということで
かなり注目されている作品
僕もジョーカーが好きですし
この映画にはかなり期待していました

実際に世間の評判もかなり良いと思います
すごい映画! ヤバい映画!
と、みんな口を揃えて言っている

僕が観るまでにも
かなり絶賛している人が多かったので
すごく期待を高めて観に行ったんですが

なんか思ってたほどじゃなかった


正直、絶賛している人たちと
自分の観終えたときの感情には
かなりギャップがありました

そんなにすごいか?
と、ちょっと疑問


でも、つまらないと言っている訳じゃないです
見応えのある映画だったと思います
印象的なシーンも多々あった


ただ、嫌な言い方をすると
映画通が好きそうなインテリ系映画
って感じですかね

とりあえずこの映画を称賛していれば
映画をわかっている人、映画評論家っぽい人を
気取れるんじゃないですか

アカデミー賞の有力候補ですし
おそらく賞も取るでしょう
賞を取っても全然不思議じゃないし納得です

こういう映画が賞取りますもんね
社会問題を風刺した様な深い映画が

 

僕個人の感想としては

そんなに面白くなかったし
観たかったものともちょっと違った

 

まず、ストーリーが
そんなに面白くありませんよね

底辺のオッサンが周りからの酷い仕打ちや
理不尽な言動によって
だんだんと闇落ちしていく話

ただそれだけですから

ジョーカーこと主人公のアーサーが
生きて行く中で
どんなにつらい思いをしているのか

それを淡々と見せられる作品です


そんなアーサーを観ていて生まれる感情は
感情移入というよりは同情
それ以上のものはあまり感じれない

可哀そうなおっさんだな
って感情だけで終わってしまっていました


描かれていることは普遍的で
誰にでも当てはまりそうなことなんですが
いまいちアーサーには
思いを乗せることができない

それはたぶん
アーサーが最初から最後まで
自分が不幸なのは周りが悪いから
ってスタンスを貫くからだと思う

一応、今の最低な人生から脱出したい
って気持ちは見えてくるけど
なんか他力本願と言うか…

大した行動は自分から起こさないですからね


現実世界でもこれくらい不幸な人は
たくさんいるわけです
生まれや境遇が最悪だったり
理不尽な世の中に苛まれたり

でも、みんながみんな
こんな風に闇落ちして壊れてしまうんじゃなく

そこから抜け出すために努力する人もいますし
世の中と戦ってる人はたくさんいる


それを思うと
この映画のアーサーはちょっと世の中をなめ過ぎ
そのクソな人生は自業自得だろう
と思うんです


この映画のメッセージはわかるんです

ジョーカーみたいなヤバい奴は
個人から生まれるんじゃなくて
世の中が生んでいる
誰しもがジョーカーになりえるし
誰しもがジョーカーを生んでしまう可能性がある

みたいな事だと思います

でも、メッセージ性に偏りすぎな気がする


せめて、アーサーが1度は
真っ当に世の中と戦う姿を見せてほしかった

それでもどうしようもなくて
打ちのめされた後に闇落ちするなら
全然理解できるし
世の中の不条理さも伝わってくる

そのほうが
なぜアーサーがジョーカーになったのか
という部分にも深みが増すと思うし


とにかく、メッセージ重視の物語には
少し説教臭さを感じた

 

そして、僕が強く感じたのは
この映画はジョーカーである必要はあるのか?
ということ

この映画は別にジョーカーでなくてもできるよな
と思ってしまいました

ジョーカーでなければいけないのなら
ジョーカーであるべき要素が必要

この映画にはそういう要素があまり無いと思う


ジョーカーと言えば
悪のカリスマ、悪の天才
ゴッサムシティを飲み込むほどのヤバい奴
なわけです

さらにバットマンの対の存在でもるジョーカー
ならばやっぱり正義と悪の概念も必要だと思う


ただ、この映画は
普通の人が普通に狂っていく話だけで
終わってしまう

世間の荒波に飲まれて
おっさんがちょっとヤバい奴に変貌する
ってだけなんですよ


このジョーカーにはカリスマ性は感じれないし
天才的な悪とも思えない
正義や悪についての哲学的なものも描かれない

ピエロのメイクをしたやつが
精神を壊して人を殺せばジョーカー
で終わり


最終的には街の暴徒たちに称えられて
カリスマっぽくはなってるけども
それはアーサーにカリスマ的な
魅力があるわけではなく
たまたま時代にアーサーの行動がはまっただけ

アーサーにすごいものが
備わっているわけではないんですよ


さらに、終盤のテレビ番組に出演した場面も
なんかジョーカーっぽくない

テレビで迫真の演説をするんですが
なんか違う

このシーンはあまりにも説教臭くて
これ本当にジョーカーか?
とすごい違和感でした


真面目な普通の人間がジョーカーになってしまう
というのを描きたかったんでしょうが
その真面目さが
最後まで残ってしまっているんですよね

そこは常軌を逸した狂気を見せてくれないと
普通の人間がジョーカーになってしまう
というメインの部分が弱くなってしまうと思う

元同僚を殺した場面でも
自分に優しくしてくれた小さい人には
悪意を向けずに見逃したりするのも
ジョーカーの狂気を薄めてしまってる

最初から最後まで普通の人です
ちょっとストレスが爆発してしまった普通の人

そこには狂気というものは感じれない

 

すごく否定的になりましたが
良い部分もたくさんあります

アーサーが徐々にジョーカーに変貌していく様子
は面白く見れました

電車で人を殺すシーンもなかなか良かったです
髪の毛を緑に染めてからは
だんだん盛り上がってきて引き込まれますし

ゴッサムシティーが荒れ果てて行く様も
見応えがあります
恐怖と混乱がとても表せていて
すごく好きなシーン

ジョーカーの小躍りするシーンも
面白くて好き


物語の曖昧さも良かった
何が現実で何が妄想なのか
わからなくなってくる作りはとても面白い

最終的にもちょっと曖昧だったのは
なかなか良い終わり方だと思う


ホアキン・フェニックスの演技も
みんなが絶賛してる通り良かったと思いますよ


あと、いろんな作品に影響を受けていて
オマージュなんかも多いみたいですね

最近「タクシードライバー」を観たので
あのシーンっぽいところがあるのに
気付けたりしました

そんな小ネタを見つけるのも
楽しいかもしれません


ただ、オマージュが多い作品でありがちなのが

その作品をつまらないと言ったときに
お前はあの作品を観ていないから理解できないだけ
みたいに映画通の輩が上から目線で
言ってきたりするんですよね
この作品は特にそんな人が多くなりそう

そんなの知るかよ
って感じですよね

元ネタ知らなくて面白くない作品は
単純に面白くない作品だろ
と思うんですけど

この映画をつまらないとは言ってませんよ


まあ、知識合戦が好きな映画オタクは
自分の知識をひけらかせますし
この映画をネタに気持ち良くなれるんじゃないでしょうか

僕はそういうのに興味が無いので
知ってるネタがあれば
ちょっと嬉しくなるくらいです

 

悪い映画だとは思いませんでしたが
ここまで絶賛されると
逆に対抗心を燃やしてしまいます

映画の感想なんて人それぞれなんで
強制するつもりはないですけどね

僕がただひねくれているだけかもしれません

 


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