何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「空の青さを知る人よ」感想 絵は綺麗だけど内容は普通 記憶に残らない

 

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どうもきいつです


アニメ映画「空の青さを知る人よ」観ました

「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。」
「心が叫びたがってるんだ。」などで
知られるクリエイターチーム超平和バスターズが
再び結集し作られた長編アニメ映画
秩父を舞台にミュージシャンを目指す高校生が
過去からやってきた姉の元恋人に出会い
始まる不思議な物語を描いています

監督は長井龍雪、脚本は岡田麿里
キャラクターデザイン、総作画監督は
田中将賀が務めています
声の出演は
吉沢亮、吉岡里帆、若山詩音が
オーディションで選出されました

 

あらすじ
ミュージシャンを目指す高校生の相生あおいは
両親を亡くし、恋人との上京を断念して
親代わりに育ててくれた姉に負い目を感じていた
そんなある日
あおいの前に18歳の頃の姉の恋人しんのが現れる
それと同じころ、音信不通になっていた
現在のしんの、慎之助が町へ戻ってきた

 

感想
なんかつかみどころのない映画
結局、何を見せたかったのがわかりません
特に主人公のあおいは何をしたいのか…
それぞれのキャラクターも薄く
ドラマも薄い
不思議な出来事も説明無く終わってしまうし…
絵は綺麗だったと思う

 

超平和バスターズの作品は1つも
観たことなかったんですが
評判が良いみたいですし
少し気になっていた作品でもあったので
観に行ってきました


以前の作品などが
感動の名作みたいな感じで
よく名前が上がってるし
本作も感動話なのかなってくらいの知識量です


ファンの人たちはこういうのを
求めていたのかも知れませんが
正直、大して面白くなかったですね
感動もしませんでしたし

かといって駄作のようにも思いませんでしたが

すごく普通
無難な感じの内容だったと思う

特別面白い設定でもなければ
面白いドラマも描かれていない
キャラクターも言うほど魅力を感じない

でも、全然ダメかというと
そうでもなくて
普通に最後までは観れる内容

まあ、すぐに記憶から消えてしまいそうな
映画だと思いますね

 

なぜ、そうなってるのかと
考えてみると

アニメ映像のクオリティが高いからだと思う

物語はちょっとショボいと思うんです
感動させたいのはわかるけど
描きかたが雑だと思うし
感情移入が全然できません

テーマもとっ散らかってて
つかみどころが無かったりもします


ただ、アニメの細かい描写だったり
綺麗な背景の描き込みだったり
とにかくアニメのクオリティが高い

アニメ表現の素晴らしさだけで
最後までは観れてしまうんですよね


その部分はすごいと思えます
映画館で観ても納得できるほど
説得力のある世界が生み出せてました

映画館では見るに耐えないほどの
クオリティの低いアニメ映画なんて
たくさんありますし

そんなのに比べると
かなりクオリティの高いアニメ映画だと
思いますよ

まあ、綺麗なだけで終わっている
というのはありますが…


この綺麗なアニメ映像だけで
良い映画
と思えるレベルではあります

 

だからこそ
ストーリーがもったいないですよね

ここが良ければ
記憶に残る良い映画になっていたと
思いますよ

ストーリーにいろんなものを
詰め込みすぎだと思う

物語のメインは
姉のあかねと慎之助の恋愛なんですけど

他にも
あおいとあかねの姉妹愛
誰が誰が好きとかいう恋愛描写
イベントでのバックバンドの話や
SFなのかオカルトなのか過去のしんのの存在

100分程度の作品で
ちょっと多すぎる気がする

しかも、そのどの要素も
同じくらいの割合で描かれているから
結局なんの話だったのかよくわからなくなってくる
この映画が何を伝えたいのかも
かなりフワッとしてしまってると思うんです

その上、短い時間の中で詰め込んでるからなのか
それぞれの要素がとても薄い


特に恋愛描写がとても薄いですよね
誰かが誰かを好きになる
って話が多いわりに
なぜ好きになったのか
というのがあまり伝わってこない

あかねと慎之助の場合も
幼馴染で高校生のときに付き合っていた
ということはわかりますけども
それより深いドラマはあまり描かれていません

なぜそんなにお互いに引き合うのか
そんなに好きなのか
そんな部分は曖昧で
そういう設定だからくらいの感じで終わってる


あおいのしんのへの恋心や
つぐがあおいのことが好きなのも
ちょっと唐突で

それぞれが
なぜそうなったのかが描かれていない
2人の関係性が深まるようなエピソードが
全然無いんですよ


そんな深い部分を描かずに
ただ表面的に恋愛での感動描写を
見せられるだけなので
いまいち感情移入もできないし
ストーリーに乗れないんです


それと、過去のしんのの存在が
すごくテキトーでしたね

結局最後までよくわからない
なぜ空を飛んでたのとかも謎

映画の中の人たちは
生霊だと納得していましたけども
観ている側からすると全然納得できませんよ

もう少し納得できる理由付けが欲しい
なんか不思議な出来事でした
で終わられてしまうとすごくモヤモヤしますよね

無理やりでもいいから
そこに理屈をつけてほしい

不思議な物語を描くのは
全然いいと思うんですけど
それをするのなら
設定の説明するのから逃げるんじゃなくて
しっかりと設定を作り込むべきだと思う

不思議な出来事
だけで終わらしてしまうのはちょっとズルい

 

あと、キャラクターの作り物感が
すごくあった
生き生きしていないというか
人間らしさが感じれない

人物にリアリティを感じれないんですよ


みんな理想化されてるように思う

理想的な悩める女子高生
理想的な優しいお姉さん
理想的な夢に破れてしまった大人
理想的な過去の憧れのお兄さん
理想的なクールな小学生

なんかみんな綺麗すぎるんですよ

登場人物たちが
みんな悩みを抱えていたり
辛いものを背負っていたりするんですが

泥臭さが全然無い

人間の不完全さや未熟な部分を描いている作品
ではありますが
カッコよく見せ過ぎているんですよ

だから、とても作り物のように見えてしまう
キャラクターに血が通っていませんよ


その上、キャラクターの掘り下げも甘く
それぞれの印象がとても薄いですし

感情移入できるキャラもいなければ
好きになれるキャラもいない


主人公のあおいなんて
主人公なのに存在感がすごく薄い

この物語ならあおいがいてもいなくても
成り立ってしまうんじゃないでしょうか

あおいが何がしたいのかも
なんかわかりづらくて目的が不明確
無駄に周りを振り回しているだけの存在で
好感もあまり持てませんでした

 

これは
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」や
「HELLO WORLD」の感想でも言いましたけど
最近のアニメは表面的なものに
こだわりすぎなんですよね

わかりやすく面白い設定だったり
わかりやすく感動できる物語だったり
わかりやすく綺麗な背景だったり

表面的な面白さだけを追い求めてしまってる

表面的に良い作品はできているけど
深い作品はできていない
心に刺さるものが無いんですよ
だから記憶に刻み込まれない

なんか良い作品だったな
で終わってしまいます


深いアニメと言っても
難解で解釈しづらいアニメだとか
重苦しい内容のアニメだとか

そういう事ではなくて

本当に深い作品っていうのは
人間を描いていると思うんです

どんな設定でどんな世界観であろうが
そこで人間が生きて考えて生活して
生々しく感じるものが
深い作品になりえるんだと思う

それはアニメだけじゃなくて
映画、漫画、小説
どれにも言えることだと思います


本作もやっぱり
表面的な面白さを描いているだけで
終わってしまっていると思いました

 

駄作のアニメなんて全然思いませんが
表面的な感動が描かれているだけのアニメ
記憶からはすぐに消えてしまいそうです

こんな作品の人気が出るのはわかるんですけどね…

個人的には
やっぱりこれだけじゃ物足りない
もっと見応えのある深い作品の方が好きです

 


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