何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ペット・セメタリー」感想 怖いっちゃ怖いけど なんか乗れん

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どうもきいつです


ホラー映画「ペット・セメタリー」観ました

スティーブン・キングによる小説の映画化作品
とある町のペットの墓場にまつわる伝説を
描いた1989年のホラー映画
町へ引っ越してきた一家の父親が
ペット墓場の奥へ足を踏み入れることで
奇怪な現象に巻き込まれていきます

監督はメアリー・ランバート
脚本を原作者でもある
スティーブン・キングが務めています

 

あらすじ
田舎町の大学病院の院長に選ばれた
医師ルイスは一家4人でシカゴから引っ越してきた
そんなある日、娘が可愛がっていた猫が事故で死に
悲しみにくれる中
ルイスは向かいの住人のジャドから
ペット墓場の奥の不思議な場所の伝説を教わる

 

感想
不気味さや怖さはあると思う
ただ、なんか乗れない
全体的に話がとっ散らかってる気がするし
そもそも、主人公に感情移入できない

 

スティーブン・キングの「ペット・セメタリー」が
新たに映画化されるということもあり
まだ観たことのなかった本作を
初めて観てみました

タイトルはよく耳にしましたが
内容はあまり知りませんでした
ホラーというのはなんとなく知っていましたが


で、実際に観てみると
確かにホラーだし怖さもあります
不気味で気持ち悪い映画でもあると思う

ラストなんてなかなか嫌な終わりかたですし

全体の空気感や後味の悪さは
すごくホラーっぽい
と言うか、スティーブン・キングらしい作品

たぶん、情報を知らなくても
この映画を観るだけで
原作者がスティーブン・キングだと
わかると思います


なので、雰囲気的にはとてもホラーで
怖さも不気味さも感じれる

そこまで悪い映画だとは思いません


ただ、全然乗れなかった
個人的にはあまり面白いとは思えませんでした

所々には僕好みなものはたくさんあるんですけども
全体を通して見ると全然乗れない

観終えた時に思ったのは
で、結局なんだったの?
って感じです


この作品のメインは
やっぱりホラーの部分だと思います

どんなに怖いのか
どんなに気持ちが悪いのか
そこが重要

でも、この映画すごくブレるんですよ

何を中心にしたいのかが定まっていないように思う

主人子ルイスの気持ちなのか
家族愛なのか
人間の愚かさなのか
単純にホラーとして見せたいのか

なんか、いろいろ詰め込まれた話なんですが
全部が別方向を向いていて話がまとまっていない

2時間以内の長さに詰め込んでいる
というのもあると思うんですが
あまりに全部がバラバラで中途半端


例えば
ペット・セメタリーの奥にある
オカルトチックな墓場

死体を埋めると生き返るという設定ですが
その先の部分は描かれない

なぜ生き返るのか
生き返ったものは何なのか
そもそも、あの場所はなんなのか

そんな謎の部分には一切触れません

そこはご想像にお任せします
ってことかもしれませんけど

ちょっとヒントも少なすぎるし
考察しようにも好奇心が掻き立てられない

 

ホラー部分の見せ方にしても
前置きが長すぎると思います

本格的にホラーになるのは終盤だけ

そこに至るまでか本当に長い
しかも、さほど面白くもない

恐怖を煽るような演出でもないし
深いドラマが描かれているわけでもない
なんかダラダラとラストの展開への
前フリだけを見せられ続けるだけなんですよね

ここでもう少し面白いものや怖いものを
見せてくれれば
興味も持続するんですけど
そんなのが無いから飽きてくる

 

そして、それぞれの登場人物の向いている方向が
全然違うのにみんなを平等に見せようとして
結局、本質が見えてこない

主人公のルイスだけを見せてもいいくらいなのに
妻の過去のトラウマがあったり
ルイスを助けようとする幽霊がいたりと
話があっちこっちに行って
目線が定まらないんですよ

この映画が何を見せたいのかが
わからなくなってくる

それに、それぞれを中途半端に描くから
無駄な謎も増えてしまって
それがノイズにもなってくる

妻の前に現れる姉の幽霊とか謎すぎるし
ルイスを助けようとする幽霊の目的も
いまいちはっきりしない


こういうのがただ邪魔な要素にしかなっていなくて
ストーリーがすごくブレる
観ていて結構疲れるんですよね

 

さらに、この映画で1番問題だと思うのは
家族愛の描きかたの悪さ

この映画って
家族を愛しているからこそ
最終的に狂っていく男の物語
だと思うんです

だからこそ怖いし気持ち悪い


でも、そこがすごく弱いんです

さっきも言った通り
ストーリーがとっ散らかってる時点で
その部分が弱くなってるんですが

その上、家族の絆の描きかたが
なんか表面的すぎる

幸せ家族風の見せ方以上のものがない
ただ仲が良いってだけで
ルイスがどれだけ家族を愛しているのかが
あまり伝わってこない

むしろ、親として少し欠けているようにも思う

だって、まだ幼い息子を2回も危険にさらすんですよ
しかも同じミスです
危険なトラックの通りが多い道路だとわかった上で
そんな危険な場所で小さい子どもから目を離す

1回ならまだいいですよね
でも、そんな危険を経験してるにも関わらず
2回も目を離しそして息子が死んでしまう

毎回先に気づくのは隣人のおじさん
というのもね…

これじゃあ
ルイスが到底息子を愛しているようには思えない


妻の父親とも上手くいっていない描写とかも
ありますけれども
家族を愛してるなら
そこをどうにかしようとしないの?
とかも思ってしまいます


原作を読めば何か意味合いが
あるのかもしれないですが

この映画を観るだけじゃ
そこからはなにも感じれない


そんなのもあるのでルイスがすごくバカに
見えるんですよね

息子が死んだのも自業自得に見えるし
ジャドの声に聞く耳持たないのもバカすぎる
最後に犯す過ちと悲劇の結末も
家族への愛が故というよりはルイスがバカだから
というように見えてしまうんですよ

そんなバカな奴だから
感情移入もできないんですよね
全部が自業自得に見えてしまう

 

結果的に思ったのは
この映画すごく説明臭い
説明の羅列みたいな内容なんです

御託を並べて作られている

全部説明っぽいから
登場人物の行動にも感情が乗っていない

とりあえずみんなストーリー上こうだから
という理由だけで動いている

だから感情移入もできないんだと思う


これは、たぶんスティーブン・キングが
脚本をやってるからだと思いますね

この人って映画に関しては
原作に忠実にしたい人なんだと思う

「シャイニング」の件でもそうですけど
キューブリックにぶちギレたのは
内容を削って原作に忠実じゃないから

だから、キングが携わった「シャイニング」の
映像作品はクソ長い

全部を詰め込みたい人なんでしょうね


本作の場合も同じで
時間は短いけれどそこに全部詰め込んだんだと
思います

なので、全部がとっ散らかって
まとまりが悪くなるし
それぞれが描写不足になる

小説なら上手くいっていたかもしれないですけど
時間の限られた映画となると
やっぱりそのやり方じゃ破綻してきますよね

結局は中途半端で終わってしまってるんですよ

 

とは言え、ホラー演出は嫌いじゃないんですけどね
最後のほうは怖いし面白いシーンもあります
あの男の子は普通に怖い

あんな小さい子が人を殺しまくるのには
ゾクゾクさせられます


前フリが長すぎて
そこに到達した頃には
気持ちが完全に冷めてしまっている
というのが最大の欠点ですけどね

 

それなりに怖いし不気味だけど
個人的には全然ハマらなかった
やはり映画は上手くまとめてほしいですね

全部を表現したくて詰め込んでしまえば
結局は中途半端になってしまう
この映画はそれを表せていたのでは
ないでしょうか

 


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