何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「アバウト・レイ 16歳の決断」感想 なんかタイトルがズレてない? いろいろブレてると思う

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どうもきいつです


ドラマ映画「アバウト・レイ 16歳の決断」観ました

トランスジェンダーのレイと
その家族たちとの絆と葛藤を描いたヒューマンドラマ
2015年の作品です

監督は女優としても活躍してきたゲイビー・デラル
出演するのは
エル・ファニング、ナオミ・ワッツ、スーザン・サランドンなど
実力派の女優たちが顔を並べています

 

あらすじ
16歳のトランスジェンダーのレイは
身も心も男性として生きていきたいと
母親のマギーに告白する
思わぬ告白と医師から渡されるホルモン治療の
資料などにマギーは戸惑ってしまう
しかし、少しずつ自分らしくいきようとする
レイの姿を見たマギーは意を決して
治療の同意書にサインをもらうために
レイの父親でもある元夫に会いに行く

 

感想
テーマはすごくいいと思うし
言いたいこともわかるけども
いろいろと話がブレてしまい
最終的にメッセージか伝わってこない
あと、タイトルが内容とズレてる

 

以前から少し気になっていた作品だったので
先日観てみました

なんとなくテーマなどは知っていましたが
それがどう表現されているのか
というのがとても気になっていた

LGBTをテーマに
家族がそれにどう向き合うのかや
タイトルからしてレイの心の葛藤などが
描かれている作品なのかと思っていましたが
なんかちょっと違った

いや、違ってはないと思うんですが
ちょっと話の軸がブレてるような気がしました


トランスジェンダーのレイが
ホルモン治療を受け
転校先で新しい自分の姿で新しい人生を始めたい
という思いと固い決断
それによって生じる母親マギーの戸惑いや葛藤
それがメインの物語で
それ自体はとてもいいと思うんです

そこからLGBTの問題や
それを抱える人たちの気持ち
それだけでなく周りの人たちの様々な思い
そんなのを浮き彫りにできるでしょうし
今の時代だからこそ訴えかけることができる
メッセージを込めることもできると思う


ただ、この作品はそんなテーマを描きながらも
話が変な方向へ進んでしまう
テーマを深掘りするよりも
変な方向の話が途中から中心になってしまい

結局、この作品が伝えたかったメッセージは
なんだったのか
と思ってしまうんですよね


描いているテーマが
難しい問題な上に重たい話でもあるので
この作品自体もなんか深くてすごい映画
みたいな感覚にも陥る

だから、ちょっと文句を言いづらい雰囲気が
あったりするんですけど

よく考えるとこの映画は
いまいち核心に触れていないように思う

最終的に家族の絆みたいないい話風で
終わっているだけで中途半端だと思うんです

 

具体的にどういうことか言っていくと

まずタイトルの話です

「アバウト・レイ 16歳の決断」
これは邦題ですが
このタイトルを見ると
レイがいろいろ悩んで葛藤し
難しい決断を下すことが中心のように思いますが

実際に映画を観てみると
レイは1番はじめの段階からすでに決断している
心も揺らぎない状態なんですよ

そんな我が子の姿を見て
母親のマギーが決断を強いられるという物語

そもそも、この映画の主人公はレイではなくマギー
なんですよね
このマギーの気持ちを中心に
LGBTというテーマが描かれるわけです


ただ、これは邦題なので
言ってしまえばたいして問題はない
こんなズレはどうでもいいことかもしれません

しかし、原題の「3 Generations」ってのも
ちょっとズレてる気がします

3世代って意味だと思いますが

正直、レイの祖母については
あまり描かれないです
取って付けたよう存在で
彼女が深掘りされることもなく
あまり活躍もしない

物語の中でいい役割を果たしてるとも
思えないんですよね…


3世代それぞれの思いやエピソードを通して
このテーマを描いているのかと思いきや
なんかちょっと違うんですよね

このタイトルと内容のズレがある時点で
この作品自体がブレてるように思ってしまう

 

そして、1番の問題は
母親のマギーだと思います

マギーがこの作品をいろんな意味で
かき乱している

ストーリー上もすごくかき乱して
言ってしまえば
コイツのせいでレイが必要以上に
思い悩まされてしまうわけです

しかも、トランスジェンダーのことに
ついてではなく
家庭問題のことで悩まされる

マギーのどうでもいい個人的な問題が
いつの間にかこの映画の
中心になってしまうんですよ

その個人的な問題というのが
夫と別れたことに隠された真実

まあ、夫の弟と浮気をして
実はレイの本当の父親がその弟だった
という昼ドラみたいな話ってだけですが

これがマジでどうでもいいんですよ

こんなよくわからない
ドロドロな人間関係を描くせいで

最も重要なテーマの部分が
完全にブレてしまってる

正直言ってこんな要素いらないと思う

こんなどうでもいいことに時間を割くなら

もっとレイの日常や
自分の子供と向き合う母親の姿
それを見守る祖母の姿など
そっちをもっと描くべきだと思う

マギーの夫婦の問題や男性関係なんて
このテーマと全然関係ないですしね


それなら、レイの恋をもっと深く掘り下げたり
レズビアンを公表している祖母に
もっとスポットを当てたり

家族3人の関係性や
お互いにどう向き合っていくのかを
描いたほうが
絶対にテーマも深掘りできたはすです


いろいろとブレているせいで
最終的にメッセージが伝わってこない

最後のみんなでの食事シーンなんて
あれを見せられたら
みんないろいろあったけど仲良くしましょう
みたいな謎のメッセージを感じてしまうし

結局、LGBT問題はどこ行ったの?
って感じですよね

 

とにかく、テーマに対して
話の方向性が間違ってると思うんです

こんな内容の物語にするなら
LGBTをテーマにする必要がない訳ですし

結局はテーマに深く触れることはせず
マギーのどうでもいい男性遍歴を
見せられるだけの映画になってますよね

 

ただ、雰囲気とかは悪くない気がします

重たいテーマを扱っているわりに
作品自体はそこまで重くない

思ったよりコミカルなシーンが多かったり
登場人物たちもみんなで暗すぎない
むしろ、明るい人たちだと思う

重いテーマだから重い内容にする
と安易な感じて作られていないのは好感が持てます

話はブレているけど
メリハリのある見せ方もしてましたし
最後まで飽きずに観ることもできます

 

雰囲気だけで言ったら
なんかいい映画のようには思えますよね

あまり深く考えなかったら
難しいテーマに切り込んだ映画
には思えるかも

ただ、テーマがテーマだけに
深く考えてしまいますけどね
そうなったらこの映画のメッセージが
何なのかはよくわからなくなる

もうちょっとテーマを中心にした作品に
するべきだっとと思います

 


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