何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「カツベン!」感想 茶番…

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どうもきいつです


コメディ映画「カツベン!」観ました

映画が活動写真と呼ばれていた時代に
独自の喋りで観客を沸かせていた
活動弁士を主人公にしたコメディ作品
約100年前を舞台に活動弁士を目指す青年と
彼を取り巻く人々を描いています

「Shall We ダンス?」「それでもボクはやっていない」などの
周防正行が監督を務め
主演を演じるのは本作が映画初主演の成田凌です

 

あらすじ
一流の活動弁士に憧れる俊太郎は
隣町のライバル映画館に客も人材も
取られてしまって閑古鳥の無く映画館へ流れ着く
そこで雑用として働くことになった俊太郎は
活動弁士になることができるとワクワクするが
そこは働く人々はくせ者ぞろいの映画館だった

 

感想
全てが茶番に見えてしまう
主人公がとんとん拍子で成功してしまうのも
あまり乗れなかった
笑いの描写や話の展開など
全体的に古臭く思ってしまいました


周防正行の作品は特に好きというわけではなく
「Shall We ダンス?」「それでもボクはやっていない」くらいは観てますが
それ以外は観たことないです

本作もめっちゃ見たかったというほどではなく
なんとなく気になっていた程度
たまたまちょうどいい時間にやっていたので
観に行ってきました

それでも、題材は面白そうだと思ってましたし
活動弁士というものを全く知らず
この映画で知り少し興味も惹かれました

活動弁士というものがどのように描かれるのかが
少し楽しみでもあったんですが


実際に観てみると
ちょっと思っていたのとは違ったのかもしれません
個性豊かなキャラクターが織りなす
ドタバタコメディーがメインで

活動弁士が物語のメインというより
活動弁士になりたい主人公が中心のコメディ映画
って感じだったと思う

それはそれで良いと思うんですが

個人的にはあまり知らない活動弁士というものに
惹かれて観ているので
そこがあまり深く掘り下げられていなかったことが
乗れなかった原因だと思います

 

それだけでなく
この映画の作風自体も
個人的にはあまり好きじゃないと思う
普通に面白く思えなかった

基本的に古臭いんですよね

ストーリー展開にしろ
コメディーの演出にしろ

一昔前の映画を観ている気持ちになります

たぶん、あえてそういう作風にしているのは
わかるんですが
面白くなかったら意味なくない?


昭和のドタバタコメディが好きだった
おじさん、おばさん世代だったら
こんなタイプの作品を観て懐かしめたりするのかも
しれないですけど

こんな作品に思い入れの無い人や
こんな作品を観たことがない若者には
あまり刺さらないんじゃないかと思う


これは、昔の作品がつまらないと
言っているわけではなく
本作が昔懐かしっぽくしているだけだから
だと思うんですよ

表面的には昔ながらの良き日本映画
みたいな雰囲気を醸し出しているけど
本質的な部分には迫れていない気がする

だから、この映画がチープで安っぽい
古臭い映画にしか見えないんじゃないかと思います

 

具体的な内容の話をすると


まずストーリーは普通すぎてつまらない

良く言えばシンプルでわかりやすいストーリー
なので観やすい内容ではあるんですが

基本的に思った通りに物語が進み
あまり波風も立たずにとんとん拍子で
淡々と最後まで続くので面白みが無いです


活動弁士を目指している主人公の俊太郎に関しては
なんか全てが上手く行きすぎている気がする

俊太郎に立ちはだかる壁は
自分が手を貸していた泥棒一味の親玉から
目をつけられているというだけで

活動弁士としては何も問題なく
特に壁があるわけでもなく
簡単に上手く行ってしまうんですよ

俊太郎の喋りがただのモノマネだと指摘された後
シーンが移り変わると簡単に独自の喋りで成功して
大人気になってしまうのとか
ちょっと展開が速すぎる

と言うか
この部分で俊太郎の葛藤や努力みたいなものを
表現できるんじゃないの?
この状況を乗り越える部分を見せることで
俊太郎が活動弁士として
大きく成長する過程を描けると思うんですけど…

基本的にこの映画は
一流の活動弁士になりたい俊太郎
というのがストーリーの主軸のはずなのに
活動弁士として成長していく俊太郎の過程が
ほとんどと言っていいほど無い

活動弁士を題材にしている作品なのに
そこの部分がすごく薄いんですよ


その代わりにあるのが
ドタバタコメディーなストーリーです

個性豊かっぽいキャラクターたちが
なんかドタバタしています

一番焦点が当てられているのが
なんか悪そうな奴らに付け狙われている俊太郎
という部分なんですが

正直、この部分が一番どうでもいいと思うんです
泥棒の親玉に目をつけられた俊太郎が
いろいろと嫌がらせを受けて最終的には
追いかけ回されるって展開なんですけど

ここが俊太郎の成長にも関わりが無いし
活動弁士という重要な部分が薄れてしまってもいる

結局、このドタバタが邪魔なんですよ

で、その無駄なドタバタが
この映画の中心になっていて
この映画自体がただの茶番にしか見えない

こんなつまらない茶番ばかりにするのなら
もっと活動弁士という職業を深く掘り下げたり
俊太郎の人間関係や恋愛などの人間ドラマを
たくさん描くべきだったと思います

特に人間ドラマの部分なんて
本当に薄すぎると思いますし

 

そんなつまらないストーリーも
コメディー描写が笑えれば全然かまわないと
思うんですが
その部分もちょっと…

ここもやっぱり古臭い

昭和のコントみたいなものを
ひたすら見せられるわけです

こんなのでも笑える人はいるかもしれませんが
本作のコメディー描写が僕には全く合わない
ほとんど笑えませんでした…
笑いのレベルもちょっと低いような気もします

ドタバタコメディーと言ってしまえば
こんなものなのかもしれないですけど
ただドタバタしているだけを
ひたすら見せられるだけの演出で
いまいち笑えないんですよね…


と言うかよく考えたら
そんなに笑いが生まれる描写がというのが
無かったのかもしれないです

基本的に登場人物の言動を滑稽に見せているだけで
気の利いたセリフや演出も無く
終盤なんてドタバタと追いかけっこしているだけ
しかも、それがめっちゃ長くて
くどすぎる気もしましたし

本作の笑いの内容が
頭をぶつける、コケる
みたいなことでしか笑わそうとしないので
昭和のコント番組を見てるようなんですよね…
ドリフとか

でも、ドリフほど行ききったことを
やってるわけでもなく
なんか平和的すぎて毒もないし

別に平和的なベタコントみたいな見せ方も
悪いとは言わないですけど
今の時代にはこの笑いのセンスが合ってないと思う


そして、そんなちょっと幼稚なコメディー要素が
本筋のストーリーにもしっかりと関わってくるから
その度に冷めてしまったりもします

俊太郎が幼馴染の梅子を助ける場面でも
最終的にはドタバタコメディー的な展開で
助かってしまうんですけど
それがただのご都合主義で助かってるように
見えてそこが納得できなかったり

最後の追いかけっこのシーンも
悪者が銃を乱射したりして
命にかかわるような危険な状況にもかかわらず
このシーンが終始滑稽な逃走劇に
なってしまっていて緊迫感が全く感じれないまま
あっけなく俊太郎が助かる

焼け落ちてしまった映画館も
俊太郎が持っていた金をたまたま発見して
最終的には映画館を立て直してめでたしめでたし
みたいな感じになってましたが
あれ盗んだ金ですからね
それがすごくノイズになって
素直に良かった思えないですよ


全体的に僕には笑えない映画でした
古臭くて子供騙しな笑いにしか見えなくて
コメディー展開になる度に
ちょっとしんどくなるんです

 

そんな中でも
成田凌や高良健吾の活動弁士の姿は
とても魅力的だと感じました

ここに関しては活動弁士に興味が湧くし
この人たちがカッコいい人に見える

だからこそ、そこをもっと掘り下げるべきだとも
思うわけなんですけどね

この部分がとてもいいだけに
すごくもったいないです
コメディーなんかより
この2人の活動弁士としての姿をもっと見たかったですね

 

活動弁士という題材がとてもいいだけに
それがあまり生きていない内容に
がっかりしてしまいました

コメディーもただ昔っぽいだけで
全然笑えませんし…
豪華キャストもただ豪華なだけって
感じで見掛け倒しでしたし

なんか乗れない茶番映画でしたね…

 


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