何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ジョジョ・ラビット」感想 戦争の悲惨さを感じ そして、希望も感じれた

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どうもきいつです

コメディー映画「ジョジョ・ラビット」観ました

第二次世界大戦下のドイツを舞台に
ヒトラーを空想上の友人に持つ
少年の日常ジョジョをコミカルに描いた人間ドラマ
第44回トロント国際映画祭で最高賞の観客賞を
受賞した作品です

監督は「マイティ・ソー バトルロイヤル」などの
タイカ・ワイティティが務め
監督自身もヒトラー役として出演しています

 

あらすじ
第二次世界大戦下のドイツで暮らすジョジョは
青少年集団ヒトラーユーゲントに入団し
架空の友達アドルフ・ヒトラーに助けられながら
立派な兵士を目指して日々を過ごしていた
そんなある日、母親と2人で暮らすジョジョは
家の片隅に隠された小さな部屋に
誰ががいることに気づいてしまう

 

感想
戦争を描いた悲しい話であるけど
ポップてコミカルな作風なので
楽しく笑って観れる映画でした
ジョジョ通して描かれる世界は
辛くあり優しさもあふれる世界に
感じることができた


映画館で予告を見てとても気になっていた映画
面白そうでしたし
とても期待して観てきました


予告の時点でも
戦争映画なのに明るい雰囲気の印象
だったんですけど
実際に観てみてもそのとおりで

第二次世界大戦中の物語ではありますが
作風はとてもポップでコミカル
笑えるシーンや楽しいシーンが
結構多かったりします

この映画は辛く悲しい世界の状況の中
明るく楽しく日々を過ごす人々を
観ることができる

でも、そんな中だからこそ
間違った思想が世間に蔓延っていたり
辛い現実が待ち受けていたりもする

この映画を観ていると気持ちをグラグラと
揺れ動かされ不安定な気持ちにさえ
なってしまいますけども
だからこそ戦争のむなしさ、不毛さを
あらためて感じることができる

説教臭く言葉で戦争はダメな事と言うのではなく
この映画を観ると感情の部分で
戦争って無駄な事だな…
と感じることができると思う

 

で、この映画のストーリーはと言うと
そこまで面白いストーリーではないと思う
正直言って大したことないストーリー

設定なんかも特に新鮮さはありませんでしたし
なんとなく予想できるような話の流れです

ナチスの思想を信じる少年と
その家にかくまわれていたユダヤの少女が
交流して絆を深めていく
みたいな内容がメインで

そんな設定はよくあると思いますし
面白みのある設定というわけでもないです

そこだけ見れば退屈そうな内容で
実際ストーリーの流れは盛り上がりも少なく
退屈に思ってしまうかもしれない


ただ、この映画は
それを補うくらいにキャラクターに魅力がある映画
だと思いいます

主人公のジョジョはもちろん
ジョジョの母親や周囲の人々
ユダヤの少女エルサ
みんな魅力的な存在感を放っていると思う

だから、この作品の世界の中で
生き生きと動いているキャラクターを観るだけで
なんか楽しくて面白く感じますし
フィクションの世界の話だけど
人間が生きているのを感じることができる

そんなキャラクターたちのやり取りなんかも
面白おかしく微笑ましいんですよね

戦争中の暗い時代ではあるけども
だからってみんなみんな毎日暗い顔を
している訳ではなく

そんな時代にも楽しい時間はあるし
そういう描写があるから
人々が生きているということを
より感じることができるんだと思う


様々なキャラクターがいる中で
特に良かったのは
スカーレット・ヨハンソンが演じる
ジョジョの母親ロージー
彼女がとても魅力的でした

優しく明るくユーモアにも富んでる
こんな時代だからこそ力強く生きている人

ジョジョを正しく生きれるように
導こうとしてますが
決して自分の思想を押し付けるわけでもなく
ジョジョの考えを尊重しているところもあります

だからと言って放任している訳でもなくて
しっかりとジョジョに向き合って
人間として大切なものを教えようとしている

そんな母親だからこそ
戦争やナチスにあこがれを抱いている
ジョジョですけども
根はウサギも殺せないような優しい少年に
育っているんだと思える

 

そして、ロージーのたどる運命
これはかなり落ち込む

あんなに優しくていい人が
こんな結末を迎えてしまうとは…

ここは唐突で衝撃的な展開ですけども
だからこそ現実味をおびてますよね
実際の人生もこんなものだと思う

何の前触れもなく悲惨な出来事が起きていく
いつ誰が死ぬかわからない
それが自分の可能性だってあるわけですし
戦時中なんて特にそうですよ

でも、そんな悲惨なことに巻き込まれたとしても
結局、悲しんでいる暇もなく生きて行くしかない


この映画を観ていると
反戦のメッセージだけではなく
力強く生きることの重要性が見えてきました

人生なんて楽しいこともあれば辛いこともある
辛いことがあったからってヘコんで終わりでなく
そこから先も生きて行かなければならないし
自分のすべきことがたくさん残っている

それを乗り越えれば
また楽しい人生がやってくるかもしれない

そのためには
やっぱり力強く生きていくしかないんじゃないかな
と思わされました

ジョジョという少年の目を通して
戦争の悲惨な世界を見せられ絶望を感じますが
日常の幸せや人間の温かみも見せられ
希望を感じることもできる物語だったと思います


とても良い映画でいろんなことを感じさせられる
映画ではありましたが

ちょっと気になる点も少しありました


特に言葉ですよね
ドイツが舞台の物語なのに全部英語
これはすごく気になった

アメリカの映画だから
仕方ないと言えばそうなんですけど
映画の冒頭からドイツ語ではなく英語なのが
すごくノイズになります

映画を観始めたときに
これってドイツの話じゃないの?
違うっけ?
みたいに余計なことを考えてしまった


それに全編英語というのもあって
アメリカ目線の戦争映画に見えてしまって
それはあまりいい印象ではないですよね

ナチス思想の少年とユダヤ少女の
交流を描いていますが
アメリカ目線の感動物語なんだよなぁ…
とすごく嫌な見かたをしてしまうも事実

戦争に勝った国目線っていうのを無意識ですが
感じてしまう

作ってる側も意識をしていないと思いますけど
これがいまだに残る戦争の爪痕なのかも

それを含めて
戦争って本当に人間にとって余計なもので
良いことなんて何も残らないんだな
と思わせられたりもしました

 

あと、ジョジョの空想上の友達アドルフ・ヒトラー
これの扱い方も
ただのギャグ要員で終わっていたのが
なんかもったいなく感じたし
アメリカ的なヒトラーの扱い方だとも感じます

終盤になればなるほど
ジョジョの中のヒトラーとの関係性を
深く見せてほしかったように思います

一応、最後の方にジョジョがヒトラーと対峙
しますが少し薄いように思うし
もう少し葛藤とかがあっても良かったのかな
とかも思ったりしました

あのヒトラーはあくまでジョジョの気持ちの一部で
本当の人間ではない
ジョジョとヒトラーのやり取りを
ギャグ的な部分だけでなく
精神的な描写として深く掘り下げれば
ジョジョの成長も
もっと良く見えたんじゃないかと思うわけです

面白い設定でしたし笑えるシーンも多かったので
全然悪いとは思いませんでしたが
せっかくなら笑いだけでなく真面目な話のほうにも
この設定を生かしてほしかったですね

 

戦争とか差別とか
そういうものを描いていて深さがある映画だと
思いますが
そこはあまり意識しないでもいいかも

単純にエンターテイメントとして
何も考えずに楽しむのがちょうどいいような
気がします
そんな観かたをしても
心の奥でこのメッセージを感覚的に感じ取れると思う

笑いながらも戦争の無意味さを感じることのできる
映画でした

 


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