何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ」感想 殺人鬼のほのぼの日常コメディー

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どうもきいつです


サスペンス映画「屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ」観ました

1970年代のドイツに実在した5年間で4人の娼婦
を殺害した連続殺人犯の日常を描いた実録サスペンス
女性から相手をされないフリッツが殺人に手を染めていく姿を淡々と描かれていきます

「ソウル・キッチン」「女は二度決断する」などの
ファティ・アキンが監督を務めています

 

あらすじ
1970年代のハンブルク
フリッツ・ホンカはとある安アパートの屋根裏に暮らし
夜になると寂しさを紛らわせようとする男女が集う
バー“ゴールデン・グローブ”に通い酒に入り浸っていた
女性に声をかけても全く相手にされず無害そうに見えるフリッツだが
彼は店で出会った娼婦たちを家に招きある行為に及んでいた

 

感想
滑稽な殺人鬼の姿につい笑ってしまう
ツッコミどころ満載のボケまくり映画
もはやフリッツ・ホンカが可愛く見える
登場人物がほぼアル中
汚くて不快なのに笑ってしまう変な映画でした

 

殺人鬼が主役の映画という事で
サイコサスペンスかなにかと想像して観てきました

しかし、思ってたのと全然違う

これは完全にブラックコメディーですね
シリアルキラーがスタイリッシュに殺人をこなしていく映画と思いきや
実際は真逆で全然カッコよくないしダサすぎる殺人鬼が
感情のおもむくままダサい殺人を繰り返していく物語です

とにかく、この映画はすべてが滑稽で
本当にバカバカしい

ただ、この映画はすごく汚ならしい
不潔でえげつないものがストレートに伝わってきます
映像そのものが不快
まるで画面から臭ってきそうなほど
めっちゃ臭そうです

それだけじゃなく
映画の中で行われている行動も
ひたすら下品だったり暴力的だったり
性的な描写もとても多い
でも、全然エロくない
気持ち悪いだけです

酷いったらありゃしないですよ

そんな終始俗悪なものが画面に写し出される作品
だったりするので
こういうのが苦手な人は本当に気持ち悪く思うでしょうね
不快すぎて気分が悪くなると思う


とは言え、個人的にはとても面白かったです
普通に笑えました

フリッツ・ホンカという人物がホントに滑稽で
やることなすこと全てがダサい

それが笑えてしまうんです

まず、人を殺すのに計画性なんて全くなくて
感情が荒ぶったら衝動的に暴力を奮ってしまう
その結果、人を殺してしまうって感じ

殺したあとは死体をどうにかしようとバラバラにしてみるものの
処理に困り死体を部屋に隠してしまう
それ故に部屋中に臭いが充満し
部屋に誰かが来る度に臭いと言われ
挙げ句の果てにはその臭いに耐えきれず自分がゲロを吐いてしまう始末

それにホンカから溢れ出る童貞臭も面白い
ホントに童貞っぽさかすごいです

しわくちゃのババアにはめっちゃ強気で行くのに
ちょっと若かったり綺麗な人には必要以上にキモい接し方しかできない

清掃の奥さんを急に襲うのは爆笑した
何でそうなる?
アホ過ぎて笑える

ババアに娘を紹介してくれと言ってるときは
なぜかたまたま見かけた女子学生を妄想するけど
あの女の子はババアの娘じゃないから
妄想の内容もアホ臭いし

そして、性欲もて余してどうしようもない奴なのに
全然勃起しないのもね
ホントにどうしようもない男ですわ

本当は若い女の子が大好きなのに
くたびれたアル中ババアにしかいけないんですよ
で、妥協しまくってクソババアを選んでるのに
そんなクソババアからもバカにされる始末

その結果の殺人な訳です


こんな、フリッツ・ホンカのほのぼの日常を
面白おかしく描いたほのぼのコメディーです

 

そんなフリッツ・ホンカを見ていると
どうにも憎めない

確かに人殺しだしクズ人間ではあるけども
すごく人間臭さを感じるし
彼は彼なりにどうにかあがいているようにも見える

街の掃き溜めのようなバーに入り浸り
周りもアル中のどうしようもない人間ばかり

家は屋根裏でまともな家とは言えず
仕事に関しても大した仕事はできていない

そんな最低な自分の状況から抜け出したいと
思っているようにも感じれる

人にバカにされないような普通の人間になりたい
そういう気持ちを感じるんですよね
そこにはどこか共感もできる

でも、そんな底辺から抜け出したい
普通の生活を送りたい
という鬱屈した感情をどうぶつければいいのかわからず
あんな歪んだ方向に行ってしまったのかもしれない


それの最たるものが酒ですよ
ホンカは酒に溺れてる
ひたすら酒を飲む完全なアル中です

意外と普段はそこまで悪いやつじゃなかったりする
ただ、酒を飲むと自分を制御できなくなり
感情のおもむくまま暴力を奮ったりするから
たちが悪い

この映画を観ると酒怖いな
って思える
ホンカ以外の登場人物もほとんどアル中ですし

ホンカの家に招かれる娼婦のババアたちもみんなアル中
酒をくれるからってほいほいホンカについていきますから
バーにいる連中も一見普通そうに見えたりもするけど
やっぱりヤバいアル中ばかり

それに、彼らの飲む酒が不味そうったらない
めっちゃ不味そうなんですよね
飲み方がガサツと言うか
現実逃避のためだけに飲んでいる
クソ不味そうな酒って感じがする

この映画は禁酒するためにはちょうどいいかも
これ見たあとに上手い酒を飲める気がしないですもん


それと、ホンカたち底辺の人間と未来のある女子学生との対比もなかなか面白いと思う

一見、この女子学生は物語とは全然関係ないですが
彼女の存在は大きいと思います

彼女の存在がちらつくことで
ホンカたちのような底辺の人間は本当にいるんだよな
と実感させられる

それに、今はキラキラ輝いている若者でも
自分の未来や先行きを明確に見ることが
できていない彼女の姿を見ることで
この子もあっち側に行ってしまう可能性もあるよな
って風にも思える

と言うか
自分もホンカたちのような底辺に行ってしまう
可能性は十分にあるわけで
ホンカの滑稽な姿を笑ってられないな
という気持ちにもさせられました

ホンカのような人間性は自分のなかにもあるのかもしれない
そうも思わされました


すごく下品で気持ち悪い俗悪な映画でしたが
あまりの滑稽さに笑えると思います
気持ち悪い殺人鬼のおっさんですけども
なんか愛嬌も感じれて嫌いにはなれない
むしろ、ちょっと好きになってます

観る人を選ぶ作品だとは思うけど
ハマれば最高に面白い映画になるはず

 


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