何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「初恋」感想 他が濃すぎて何が初恋なのかもうわからん でも最高

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どうもきいつです


恋愛?映画「初恋」観ました

余命宣告をされ自暴自棄になるプロボクサーの男がとある女性と出会ったことで
アンダーグラウンドの世界で巻き起こる
強烈な事件へと巻き込まれていく姿を描いています

「十三人の刺客」「一命」などの三池崇史が監督を務め
「東京喰種 トーキョーグール」シリーズの窪田正孝が主演を務めています

 

あらすじ
身寄りのない葛城レオは才能あるプロボクサーだったが格下の相手に負け
試合後の診察で脳の主要により余命があとわずかだと知る
そんな希望を失い歌舞伎町をさ迷うレオの前に
ヤクザと関わりのある女モニカが男に追われながら現れた
反射的に彼女を助けたレオは大きな事件に巻き込まれ
ヤクザやマフィアに追われる身になってしまう

 

感想
タイトルの「初恋」からは想像できないような
めちゃくちゃな内容です
恋愛映画だと思ったらB級ヤクザ映画
でも、最後は恋愛映画
暴力振るいすぎ、人死にまくり、ありえない描写多すぎ、アホなことやりすぎ
でも、それが最高


三池崇史の新作映画ということでとても期待していた作品

とは言え、三池崇史の映画はあたりはずれが極端なので期待しつつ不安もありました

そして、本作はと言うと
すごく面白かった

でも、めちゃくちゃでしょうもない内容でもある

ただ、それが三池崇史らしい映画でもあって
謎のハイテンションムービーに仕上がっていました

個人的にはこういう映画はすごく好き
最後まで楽しんで見ることができました


僕はすごく好きな映画でしたけど
意識高いものを求めてる人はこの映画が嫌いかもしれない

正直言って勢いだけの映画だと思います

メッセージ性なんて無いと思いますし
タイトルが「初恋」ですけども
ほとんど恋愛描写なんてない

別に感動的でもなく
ストーリーが特別面白いわけでもない

リアリティが無くて現実離れしていてありえないことばかり

そして、暴力シーンは多いし人も死に過ぎで命が軽く扱われすぎです
エグい描写や低俗な表現がとても多い
コミカルなシーンも多くてその全部がバカバカしい


感動できるストーリーとか
作り込まれた脚本とか
考えさせられるメッセージ性とか

そんな高尚な映画が好きな意識高い系の人は
この映画に嫌悪感さえ抱く可能性すらある

この映画はそれとは真逆に行ってますから
超意識低い系映画です


でも、だからこそこの映画は最高に面白い
勢いだけのハイテンションな内容に
最高に気持ちをハイにさせられる

そして、ぶっ飛んだ変な登場人物たちに
大いに笑わされる

さらに、何故かわからんけど
最後はちょっと感動させられる


映画なんてこんなんでいいんだよ
って思わされる

 

全体的にバランスがすごく変です
明らかに主人公よりも周りのサブキャラクターが目立ちまくってる
主役を食ってしまってるほど無駄に強すぎる存在感

特に染谷将太とベッキー

この映画を観た人のほとんどがこの2人の話しかしてないんじゃないでしょうか
それくらいこの2人が輝きまくってました


まず、染谷将太が演じる加瀬
このキャラクターが面白すぎる

はじめは頭のキレるインテリヤクザって感じの
スタイリッシュな雰囲気をすごく醸し出していて
ドヤ顔で“俺の完璧な計画”を解説するんですけど
全部失敗するという

フリとオチが完璧ですよね

やることなすこと全部上手くいかずに
無駄に人だけ殺しまくって泥沼にはまっていくんですよ

最後には完全に頭がぶっ飛んでキャラ崩壊しますし
物理的にも頭がぶっ飛ぶし
もう笑うしかない

加瀬が滑稽だし可愛いし
めっちゃ好きになってしまう

染谷将太もこのキャラに完全にハマってたし
より加瀬が魅力的に感じれたのかもしれない


そして、ベッキーが演じるジュリが最高に面白すぎる
こんなのもはやターミーネーターですよ

アホな女と思いきや
彼氏の仇を討つために地獄の底まで追ってくるヤバい女
全然特別な人間でもないはずなのに全然死なねぇし
ヤクザとマフィアの間に入っても全く引けを取らない強さ

ジュリの存在の全てが面白くて笑える

かつての好感度No.1だったベッキーが
今やこんなクレイジーでイカれたキャラを演じるとは

でも、このブチ切れベッキーのほうが昔のベッキーより好き
これは本性をさらけ出したからこその演技なんじゃないかとも思える
いろんな意味でこのキャラはベッキーにしかできなかったのかもしれません


で、そんな濃いキャラに囲まれて
主人公の存在が消えてしまっているのかと言うと
全然そんなことがなくて
むしろ、この主人公がとても魅力的

良い意味で普通な主人公レオ
この映画の中で一番リアル感のあるキャラだと思います

周りの人間とか世界観とか設定とか
全部があまりに現実離れしてるぶん
この普通の主人公が逆に浮いて見える

このおかしな世界では逆に普通の人間であるレオが
目立ってると思うんですよ

窪田正孝のリアル感のあるナチュラル演技や
まるでボクサーにしか見えない鍛えこまれた肉体
そういうのが相まって
現実にもいそうなキャラクターに仕上がってる

レオが現実にも存在しそうなキャラクターだから映画を観てる側は
このキャラを通して映画の中に入り込む事ができると思うんです


めちゃくちゃなようで意外と登場人物のバランスは考えられているのかもしれないと思わされる

 

そして、ストーリーなんですが
いろいろ詰め込みすぎでわかりにくい感じはするんですけど
意外と内容がすっと入ってくる
てか、実はそんなに複雑じゃない

本筋はレオとモニカがヤクザやマフィアから逃走するってだけの物語で
すごくシンプルでわかりやすい

その他の要素はそれを彩る部分ってだけであって
決してメインの2人の逃走劇の邪魔にはなってないし

めちゃくちゃでハードな世界を2人が乗り越えて行くことで
恋愛描写なんて全然ないのに2人が恋に落ちることになぜか納得させられるんですよね

なんかわからないけど
最後の2人がたどり着く結末にはちょっと感動すらしました

 

あと、この映画は現実離れしたような
すごく変な演出が多い

終盤のありえない数のパトカーが全然追ってる車に
追いつけないのとか明らかにおかしいし

殺し合いのシーンとかもリアリティより
如何にカッコいいかということを重視してたり

特にあの例のアニメのシーン
あれは唐突過ぎだし賛否両論だと思います


ただ、僕が思うのは
リアルならいいのか?
ってことです

現実離れしたものを見たいから映画を観ている
という気持ちはみんな持っていると思う

じゃあ、これくらいやり過ぎの演出をやってくれた方がテンション上がるでしょ

僕はこのやり過ぎの現実離れした映像の数々に
すごくテンションを上げてもらった
最高に気持ちが昂りました

あの例のアニメのシーンも
もし、CGでリアルに表現していたり
逆にあれを全部実写のカースタントでやったとしても
あの盛り上がりは生まれなかったと思う

あのシーンを批判する人もいると思いますが
僕はあのシーンがすごく好きです

 

韓国映画の「パラサイト 半地下の家族」とこの映画を比べて
この映画のレベルが低いと言う人や
こんな映画が公開されているから邦画は終わってる
とか言う人もちらほら見かけますが

逆ですよ
韓国ではたぶんこんなアホな素晴らしい映画は生まれないでしょうし
こんな映画が日本で生まれて公開されているということは
邦画は全然終わっていないと言える

まあ、インテリ系の高尚な映画が好きな人は
こんな映画は認めたくないのかもしれませんが

でも、アホな内容でも楽しければいいじゃん

 

僕はこんな意識低い系の映画は大好物です
最高に楽しませてもらいました

三池崇史はハズレ率高い
と言うか、無駄に映画作り過ぎですけども
たまにこんな映画を作ってくれるから最高ですよね

劇場版ファントミラージュにも期待していいのかな?

 


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