何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ザ・グレイ」感想 すごく地味でつまらない映画かもしれない でも、この映画がすごく好き

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どうもきいつです


サバイバルアクション映画「ザ・グレイ」観ました

アラスカのツンドラ地帯で起きた飛行機事故の生存者たちが
過酷な大自然の中で決死のサバイバルを繰り広げて行く姿を描いた2011年の作品
主人公たちが生き残りをかけて
大自然の猛威や人間の命を狙う狼の群れに挑みます
ソフト化される際に「THE GREY 凍える太陽」から「ザ・グレイ」という邦題に改題されました

リドリー・スコットとトニー・スコットの兄弟が製作を務め
監督は「特高野郎Aチーム THE MOVIE」などのジョー・カーナハン
主人公をリーアム・ニーソンが演じています

 

あらすじ
石油採掘場に雇われた射撃のプロであるオットウェイは発掘現場で働く男たちとともに飛行機に乗っていた
しかし、飛行機は大嵐に巻き込まれ墜落
そこは周囲が大雪に覆われるアラスカの山中だった
生き残ったオットウェイたちは生きて帰るべく南へ向かうが
厳しい自然環境や彼らの命を狙う狼の群れが襲い掛かる

 

感想
すごく地味な映画だと思う
ストーリーにはそんなにひねりがあるわけでもないし
すごく派手なシーンや面白い展開があるわけでもない
特別目立った演出があるわけでもない
とても暗い印象もありますし
ラストに関してもスッキリしないと思う
でも、僕はこの映画がすごく好き

 

この映画はとても好きな映画で
かなり心に残っている作品です

とは言え
かなり前に観た映画だったので
久しぶりに観てみました

 

この映画ほとんど話題にも上がりませんよね
まあ、そりゃそうかって内容です


正直言って
この映画最高だからみんなおすすめだよ!!
とは言えない映画

エンターテイメント性は中途半端で
すごく暗い内容の映画
基本地味なシーンが多くて
ストーリーも地味でパッとしない


かと言って
カルト的に人気を誇るような映画でもない

ただのサバイバル映画ですからね
特別奇抜な演出があったりもしないし
独特なストーリーってわけでもない

特別この映画だからこそ目立つ要素
というのは無いと思います

その点でも他の映画に埋もれてしまいそうなほど
地味な映画

 

冷静に考えれば微妙な部分もたくさんある作品だと思います

主人公の内面は描写不足ですし
他のキャラクターもいまいち個性が発揮されず
みんなヒゲ面というのもあって見分けがあまりつかなかったり

主人公のオットウェイが何を考えてるのか
あまりわからなかったりしますからね

暗く思い悩んでいたと思ったら
急にリーダーシップを取ろうとしたりするし
情緒がよくわからない

そんな男について行くのその他の登場人物たちも
なんでこんな奴について行くの?
って疑問も生まれてしまう


そして、道中さまざまな困難に立ちふさがれて
それを乗り越える方法がちょっと無理ありませんか
ってこともちらほら

崖から降りる方法なんてさすがに強引過ぎるかと…


人物描写やストーリーの展開など
ちょっと雑な気もしてしまいました


でも、サバイバル映画としては面白い場面が多々ありますし
見応えもあると思う

まず、極寒の雪山に飛行機事故で墜落してしまった
という舞台設定
これは、絶望的すぎてサバイバル映画として
すごく素晴らしい設定

こういうのは追い込まれれば追い込まれるほどいいんですよ
いかに助かるのが困難な状況に追い込まれるか
それが大事です
この映画の場合はほぼ100%助からないような状況

そこに追い打ちをかけるように登場する野生の狼

絶望感がたまらなくいい

狼との攻防戦はなかなかスリルがあるし
ビクっとさせられるシーンなんかもあって
恐怖も表現されている

狼が強すぎるんですよね
群れをなしてものすごい大量にいるし
狼がめちゃくちゃ怖いです


その上、一面雪だらけの真っ白な世界も
見ているだけで寒くなってくるし
色彩を感じさせないこの世界には恐怖も抱かされます
雪しかない殺風景な景色は美しくもあり死を感じさせる

そんな中で仲間たちが1人、また1人と
順番に次々と命を落としていくんです
どんなに必死に生きようとしても
この大自然の前には人間なんて全くの無力

とにかく、この絶望的な舞台はサバイバルにはうってつけ
スリルと恐怖を味わえる作品だと思います

 

面白い部分もあれば微妙な部分もあり
映像やストーリーは基本地味
なので、多くの人がこの映画を地味でつまらない映画と感じるかもしれません

僕もこの映画をすごく面白い映画
だと言い切ることはできませんが

でも、この映画がすごく好き
それだけは言える


何が好きなのかと言うと

全てを諦めてしまった男がもう一度立ち上がる姿
そこにグッとくる

あまり詳しくは描かれていないけど
主人公のオットウェイはたぶん妻を亡くして
生きる意味を見失っている人なんですよ

自暴自棄になっていて自殺すら考えている
彼にとって妻だけが生きる意味だったのだと思う

でも、やっぱり自殺することはできない
中途半端な状態だったりします

そんな生きているのか死んでいるのかわからないような男が
死と隣り合わせの極限の状態に陥ってしまったからこそ
あらためて自分の人生に向き合い
生きる意味を見いだしていく物語でもある


この映画のラストシーンは観る人によって
これで終わり?
って思ってしまうようなブツ切りな終わり方で

この先どうなるの?
何も解決してなくない?
と思うのが当たり前のようなラストです

このラストが嫌いな人もいるでしょうね
中途半端で投げっぱなしにも見えるので


でも、僕はこのラストがすごく好き
と言うか、この終わり方をしていなかったら
この映画を好きではないと思います

この映画の全てはこのラストシーンに詰めこまれていると思う

オットウェイの最期の決断
あの決意に満ちた表情
ここに来てオットウェイは再び立ち上がるわけです

生きるため
そして、死ぬために

オットウェイが狼に勝ったかどうか
生き残ることができたかどうか
そんなのはどうでもいい

この映画の結末はそこじゃないんですよ

この映画はオットウェイが再び立ち上がった瞬間がクライマックス

1人の男が
生きるとは何か?
死ぬとは何か?
それを悟った瞬間にこの物語は終わりなわけです


あのラストはしびれます
ほんとにめっちゃカッコいいと思う

エンドロール直前のあの目がとてつもなく素晴らしい

このラストを見せてくれただけで
この映画は最高に好きな映画になりました

 

たぶん、この映画を観てつまらないと思う人はたくさんいると思う
つまらないと思わなかったとしても
よくある普通の映画くらいに思うかもしれません

でも、僕の心にはすごく刺さった
この映画はすごくカッコいいと思う
ラストシーンは超好きです

僕以外にもこの映画が心に刺さる人はいるはず

 


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