何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「レスラー」感想 この男の背中に勇気づけられる

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どうもきいつです


ドラマ映画「レスラー」観ました

かつてスターだった中年プロレスラーが
心臓発作で倒れ医師から引退を宣告されることをきっかけに
自らの人生を見つめ直す物語
自身の生きざまを貫き通すレスラーの姿が描かれた2008年の作品

監督は「ブラック・スワン」などのダーレン・アロフノスキーです

 

あらすじ
かつては人気レスラーだったランディも
今ではスーパーでアルバイトをしながら
かろうじてプロレスを続けていた
そんなある日、ステロイドの副作用のため
ランディは心臓発作で倒れてしまいレスラー生命が絶たれてしまう
全てが上手くいかない中でランディは孤独に打ちひしがれる

 

感想
馬鹿で滑稽で愚かな男だけど
それでも立ち上がる姿には感動した
すべてを失ったとしても自分が輝ける場所があるということは
それだけで幸せなことなのかもしれない
ランディの背中はカッコよかった


以前から気になっていた映画
アマゾンプライムビデオで配信されていたので観てみました

すごく地味な作風で
面白い映画なのかと言うと微妙な気もする
でも、心を打たれる映画でした

主人公ランディの姿を見ていると
切なくて可哀想にも思えるけど
その生きざまは格好いいと思うし
とても勇気付けられた

負け犬でももう一度立ち上がることの意義
自分の輝ける場所を知っている喜び

この映画を観て
生きる意味を教わったような気がする

 

まず 、この物語は
すごく悲しくて切ない物語です

かつて人気だったプロレスラーのランディが
落ちぶれてしまっているところから話が始まる

昔は輝いていた人ですが
今や家族を失い
生きるためにスーパーのバイトで稼ぐ日々

その合間をぬってプロレスは続けていますが
年齢による衰えもあり
そんな老体に鞭打って試合に挑む姿は痛々しくもある

彼はいわゆる負け犬で
正直言って未来なんて無いような人生

そんな彼を見ていると悲しくて苦しくなってくる


そこに追い討ちをかけるように
心臓発作によりバイパス手術を行い
レスラー生命を絶たれてしまうわけです
ランディは唯一の居場所すら失ってしまう

それをきっかけに人生を見つめ直し
離ればなれになった娘との関係を修復しようとしたり
ストリッパーの女性と親密になっていったり
スーパーでの仕事を増やしてもらったりと
新しい自分の居場所を見つけようとする

新しい人生を歩もうとし
それが上手くいきそうなのもつかの間
結局は全部崩れ落ちる

ランディの人生を見ていると本当に辛くなってくる
しかも、これはただ可哀想というだけでなく
ランディの自業自得の部分が大いにある

彼の人生が崩れていく原因は
全て彼自信にあるわけですよ

全てはランディが愚かだから

こんな人生になっているのも仕方ないと思える

 

そんなクズみたいな男が最低の人生を歩んでるのだから
ランディはダサいし滑稽だし馬鹿な男にしか見えず
格好よさの欠片もない
こんな人間にはなりたくないな
とまで思わされてしまいます

でも、この映画はそれだけでは終わらない

こんな馬鹿で不器用で全てが自業自得の負け犬男だけど
自分がもう一度輝くために立ち上がる姿には
とても心を打たれた

全てを失ったからこそ
自分にはプロレスしかないと気づいたときのランディは
とてもカッコよく見える

この最後の選択は
不器用で馬鹿な選択かもしれない
端から見れば無謀で命を粗末にしている愚かな選択かもしれません

でも、全てを失ったとしても
自分の輝ける場所を知っているランディは幸せなんじゃないかと思うんですよ

上手くやれば普通に娘との関係を取り戻せただろうし
ストリッパーの彼女ともいい関係になれたと思う
スーパーでもそれなりに稼いで生きていけるはず

ただ、それができないから彼はこの場所にいる
そして、この場所なら輝くことができる
ランディにはプロレスしかないんですよね

そんな不器用な生きざまは
すごくダサいけどすごくカッコいい

そんなランディの姿には
生きる意味というものを教えられたような気がします

 

そして、他に印象深かったのは
生々しいプロレスの描写と
ランディの背中を映すシーンの多さ


まず、プロレスの描写の話をすると

プロレスらしい派手な戦いを見せるというより
その裏側を見てるような描写が多いです

プロレスってエンターテイメントでいかに観客を盛り上げるかのショーでもありますが

この映画ではそのために体を張っている生々しい描写が多く見られます

本当に痛々しい
ホッチキスを体に打つのとかマジでやめてほしい…
派手なスプラッターなんかより痛さを想像できるからすごく嫌

ランディの体も傷だらけで
今まで数々体に鞭を打って戦い続けてきたのが想像できる
そして、体が衰えてきた今でも
同じように体に鞭を打って戦い続けている

そんな、体を犠牲にしてまでも
観客を盛り上げ自分が輝くためのプロレスというのが
ランディの人生にも重なるわけです

この映画は
ランディ=プロレス
なのかもしれない


で、そんなランディの背中を映すショットがとても多い

この背中からは彼の人生がひしひしと伝わってきます
決して言葉では説明していないのに
背中が何かを物語っている

この背中は哀愁が漂っていて切なくもありますが
どこか愛嬌を感じたり
力強さを感じたりもする
とても魅力的な背中

ランディが積み重ねてきた人生を
背中が表しているようにも思わされました

全てを失い再び立ち上がる彼の背中は
とてもカッコいいです

 

すごく地味な映画だし主人公は愚かなおっさん
暗い印象の作品だと思います
ラストもハッピーエンドとは言えない
でも、決してネガティブな物語ではないと思う

ランディの姿を見てると勇気が湧いてくる
自分もまだ終わりじゃないと思える

ランディの背中を追って
自分も再び立ち上がらなければ
と思わされました

 


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