何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「未来世紀ブラジル」感想 独特な世界観が魅力的 ラストの展開は素晴らしかった

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どうもきいつです


SF映画「未来世紀ブラジル」観ました

情報統制がなされた20世紀のどこかの国を舞台に
暗黒社会をブラックコメディーとともに描いた
1985年のディストピアSF映画
管理社会を痛烈に皮肉った作品です
ジョージ・オーウェルによるディストピア小説が
本作の題材の一つになっています

監督は「12モンキーズ」などのテリー・ギリアム
出演するのはジョナサン・プライス、ロバート・デ・ニーロなどです

 

あらすじ
コンピューターにより国民管理が徹底した20世紀のどこかの国
その情報管理局で役員が叩き落としたハエにより
コンピューターの情報が一部壊れてしまう
その結果、無関係な靴職人がテロリストとして誤認逮捕されてしまった
このミスをなんとかするために情報局に務めるサムは試行錯誤していた

 

感想
正直言って、よくわからないこともあったけど
世界観が魅力的で引き込まれた
シュールなブラックコメディーも面白い
ラストの展開は盛り上がるしショックも受けました
独特な作風で不思議な感覚になった映画でした

 

以前から観たいと思っていた映画で
やっと観てみました

クセの強い映画だとはなんとなく知ってましたけど
思った通りクセが強かった


全体的にちょっと掴み所のないストーリーかもしれないですね
物語がどこに向かっているのかわからない

結局、主人公の目的な何なのかな?
と疑問に思ってしまうし
ただのストーカー?

とにかくちょっとフワッとした内容

でも、すごく引き込まれる魅力のある作品でもあります
よくわからない内容だけど何故か見入ってしまう

一言で言えば
なんかよくわからんけどすごい映画

142分とかなり長尺な映画で
所々にだれる部分があったり退屈に思ったりもしましたけども
ラストの怒濤の展開のためにあったと思えば
全部許せてしまう
それくらいラストの展開は圧巻でした

それ意外にも魅力的な要素がたくさんある


まずは世界観が面白い

今思えばこの映画の中の未来像は
古くさくてあり得ないSF世界なんですが
だからこそ今の時代に観ると想像できないような世界が広がっていて
とても魅力的に感じることができます

未来ですけど希望に満ちた未来では決してなくて
暗くて淀んだ未来像
まさしくディストピアって世界観です

ダクトが張り巡らされた無機質なビルが建ち並び
人々はどこか個性を失いみんな同じような姿をしている
そして、頻繁に起きるテロ活動

すごく暗くて嫌な世界だけど
そこにワクワクさせられます


主人公サムの夢の世界もまた面白いんですよね
センスが独特と言うか
なんかすごい発想ですよね

ファンタジーのようでファンタジーじゃないような
意味深だけど支離滅裂だったり
あの夢に意味があったのかどうかもわかりませんしね
ちょっとホラーっぽい雰囲気もありましたし

ここも意味はわからんけど魅力は感じます


そんな独特で陰鬱な世界観だけでも引き込まれてしまう

 

そして、ブラックコメディー要素も面白かったです

この映画はかなりコメディー要素が多い
もはやコメディー映画と言ってもいい

で、そのどれもがかなりシュールです
わかりやすく笑いを狙ってるわけではなく
登場人物たちの会話や行動がなんか変だったり
この世界自体がどこかずれていたり

独特な笑いを生んでいる作品だと思う

でも、一見めちゃくちゃやってるようで
意外と笑いのセオリーに則っていたりして
ちゃんと面白くなってるんですよね

レストランの場面なんていろいろと詰め込まれていて
ここでの会話だけでもかなり変で面白いんですが

注文するときは絶対に番号で言わなければならないとか
出てきた食べ物は全部だんごみたいなやつ
たぶん味は違うけど見た目は全部同じなんでしょうね

食事中にレストランでテロが起きても
無関心で普通に会話を続けてたりもします

いろいろと社会風刺を込めながらも
同じことを繰り返す天丼があったり
心の中でツッコんでしまうようなボケをかましてきたりと
ちゃんと笑える作りになってたりする

サムの家に現れた伝言を伝える女性が
歌って伝えてきたのに対して
サムが歌って返事を伝えようとする場面とか
フリとオチが完璧な気がするし


ただシュールに変なことをしてるだけではなくて
笑いの骨組みがしっかりしている印象でした


それと、ブラックユーモアに込められている
社会風刺も今の時代だからこそ
妙に納得できたりもしてしまう

異常なほど情報に管理されたこの世界は
今の現代社会にも通じるものがある
と言うか、この映画のディストピアな世界に
確実に現実世界も近づいて来てますよね
もしかしたら、もうそうなってしまっているのかも

若さを求めて整形をしまくる女の人なんて
今の時代じゃ普通だったりしますよね

この映画で滑稽に描かれている未来像が
今の現実社会に重なる部分が大いにあって
ちょっと危機感すら感じさせられます

笑ってすませて大丈夫か?
と思わされたりするんですよね

 

で、ストーリーに関してですが
よくわかりません

結局どういうことですか?
って映画

そもそも、ストーリーらしいストーリーが無い

サムが夢に出てきた女の人を現実でも見つけて
それを追いかけるって話だけど
これをストーリーと言っていいのか?
って感じだし

最終的な目的とか物語の行き先とか
そんなのが全然見えないまま
ラストスパートに突入しますからね

サムが拷問されそうになってからの展開が始まると

スゲー
なにこれ? 意味わからんけどスゲー
どういうこと?
テンション上がってきた!!
この後どうなるんだ!?
えっ? ハッピーエンド?
生きてたの?
なんかわからんけど良かったね!!

は…?
これで終わり…?
こわっ…


って感じになると思います

このラストの怒濤の展開はすごいと思います
マジで意味がわからん
と思ってたら急に現実を突きつけられるという…

ラストまでの2時間くらいの長い映像が
これのための伏線だと思えば
まあ、ありかな…
と思えました

このラストが観れただけでも大満足
この映画すごいなって思う

 

掴み所のない映画でよくわからないことが多いですけども
笑いの部分はかなりしっかりしているし
世界観や映像は独特でとても魅力的

そして、怒濤のラスは本当に最高

わかりやすく面白い映画ではないけども
すごい映画だということは確実に伝わってくる作品でした

 


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