何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ブレア・ウィッチ」感想 やっぱりカメラは1台のほうが怖いよね

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どうもきいつです


ホラー映画「ブレア・ウィッチ」観ました

制作費6万ドルという低予算作品ながら
世界的大ヒットとなった「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の続編
前作から15年後を舞台に描かれた2016年の作品
魔女伝説が残る森へと足を踏み入れた若者たちに
待ち受ける運命が描かれてます
ヘッドセットカメラやドローンを使用した撮影による新たなPOV映画になっています

監督は「サプライズ」「ザ・ゲスト」などの
ホラー作品を手掛けるアダム・ウィンガードです

 

www.nanimokamogakokkei.com

 

あらすじ
魔女伝説を題材としたドキュメンタリーを撮影するため
ブラック・ヒルズの森へ入った3人の学生が行方不明になってから20年後
行方不明になった女性の弟ジェームズは
姉の消息を確かめようと
友人たちとともにブラック・ヒルズの森へ潜入することに
しかし、彼らは想像を絶する恐怖に巻き込まれていく

 

感想
やってることは前作とほぼ同じ
でも、前作のような魅力はことごとく削がれている
時代の発展とともに進化したカメラ技術も
本作にとってはマイナスでしかない
もはやPOVである必要の無い映画でした

 

気にはなっていたけどスルーしていた映画
アマプラで配信されていたので観てみました

正直、嫌な予感はしてたんですよね…

そもそも前作がアイデア勝負だけでヒットした映画なので
それの続編ってだけで不安しかない

しかし、前作はそのアイデアを生かした
なかなか面白い映画ではあったので
その要素を続編ではどう生かすのかな?
と少し興味もありました


で、観てみると

前作とやってることがほぼ同じ
何のひねりもなく
ただ、前作をなぞっているだけのような内容

この時点で
前作にあやかっただけのつまらない映画
って悪い印象を持ってしまいました


ただ、もっと酷いのは
前作とやってることは同じなのに
前作の良かった部分はことごとく無い

これは時代のせいなのかどうなのか…

とにかく、個人的にもあまり好きにはなれない映画でした


まず、大まかな流れはほとんど前作と同じで
違うのは主人公の動機くらいですかね

ドキュメンタリー映画を撮るということと
行方不明の姉を探すということ
それの違いだけです

主人公たちが森に入って
はじめはふざけながら和気あいあい
途中からは不穏になりケンカしたり
終盤は得体の知れないものに狙われ
恐怖に呑まれていく

それだけの内容


じゃあ、前作の何が良かったのかと言うと

POV形式の作品でまるで自分もその場にいるように感じれる
それによって森の怖さ暗闇の怖さを味わえる
どこにいるのかわからない得たいの知れないものに狙われる怖さの表現など

低予算ながらいろいろと工夫が凝らされて
なかなか面白い映画になっていた

 

そして、本作はと言うと

時代とともに進化したカメラが使われています
耳元につけれる小型のヘッドセットカメラ
ドローンのカメラなど

ヘッドセットカメラはメンバー4人に一つずつ用意されていて
ドローンカメラに手持ちのカメラ
後から合流する道案内人のカメラと
合計7台もカメラがあります

この時点でマジでわかってねーなって思う

カメラが複数あって
それぞれのカメラに良いタイミングで切り替わったりするので
もはやこの映画はPOVじゃないんですよ
カット割りが完璧

普通の映画と変わらない

これがこの映画の一番の欠点

普通にカット割りされているちょっと手ブレの酷い映画って感じで
ただ見づらいだけになってます


そもそも「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」が
なぜ怖かったのかと言うと
一人称視点の没入感ですよ

本作はそれぞれのキャラ目線のカメラに目まぐるしく入れ替わったり
ドローンからの空撮があったり
視点がブレまくる

全然没入感なんてありません
全部を見せすぎなんですよ


前作はカメラが1台なので
必然的に死角が生まれる

カメラから離れてしまえば見えないし
カメラの後ろ側には何があるかわからない

全部を見せないことで想像力が働き
その想像力で怖くなってくる
それが魅力だったんですが


本作の場合は死角なんてほぼなく
登場人物が向き合えばお互いの顔が見えるし
仲間からはぐれてもそいつにはカメラがついてるから
何が起きてるかがわかってしまう
ヘッドセットカメラと手持ちカメラがあるから
複数の視点から映像が見えます

一見、全部を見せてるから親切でサービス精神があるようにも思えますが
全然想像力が掻き立てられなくて
全く恐怖心が生まれない


前作のような
自分も森で迷ってるような感覚は無く
他人事としてしか思えない

POVってやっぱり自分もその場にいる感覚が重要で
そうでなければPOVにする必要なんて無いし

「クロニクル」や「クレイブ・エンカウンターズ」など
POVが氾濫してしまったからこそ生まれた
奇をてらった作品もありますけど

そっちを基準にPOVを作ってしまうのは
ちょっと違うと思いますよ

基本は没入感が大事だと思う

 

そして、他にも不満はあって

ホラー演出が派手すぎるのが逆に怖くない

前作は良くも悪くも
最後までほぼなにも起きないホラーなんですよね

そこがつまらないという人もいますが
このなにかが起きそうな雰囲気というのが
最大の魅力でもあったと思います


でも、本作はなにかが起きまくる
普通に襲ってきたりするし
人が死ぬ場面があったりするし
グロいシーンもあります


終盤とかも見せすぎですよね
ただの普通のホラーになってしまっていて
逆に萎えてしまう

恐怖心を煽るような演出もなくて
怒濤にホラー演出が押し寄せてくるという
勢い任せの展開でつまらない


なんせ、本作は森で迷う場面は短くて
最後の廃屋に入ってからがくそ長い
前作と真逆のことをやっている

確かに森で迷うだけなのは盛り上がらないし地味なのはわかります

でも、前作の怖さの本質は
森で迷うこと、暗闇、得体の知れないものが近づいてくる恐怖など
地味だけどみんなが普遍的に持っている恐怖を描いていました

本作はそんな繊細な表現を完全に捨てて
わかりやすいバカなホラーに成り下がってしまった

それはそれでいいけど
じゃあ、もっと方向性を変えるべきですよね

前作はPOVとしてある意味完成されています
あれ以上もあれ以下も無いと思う

そんな作品の続編を作るのなら
同じ方向性で作ってもチープなものしかできないでしょ

無理やり続編を作るにしても
全く別の方向性で勝負するしかなかったと思います

例えば、終盤に登場する廃屋の中で迷うのをメインにするとか

 

本作は何のひねりもなく
もし今の時代に「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」をやってみたら
みたいな、ただ機材を最新のものにしだけの
二番煎じ以下の映画になってました


この映画を観てわかったことは
POVはカメラ1台じゃないと怖くない
派手な演出ばかりが面白さではない
カット割りが上手すぎてPOVである必要なんて無い

そもそも1発屋みたいな映画の続編を作るのが無謀だったのかもしれません

 


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