何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ブラック・ミラー:バンダースナッチ」感想 動画配信だからこそできる新しい映画の形 これは面白い

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どうもきいつです


サスペンス映画「ブラック・ミラー:バンダースナッチ」観ました

2011年から放送されているイギリスのテレビドラマシリーズ「ブラック・ミラー」の
特別編として制作された2018年の映画
Netflixにて独占配信されています
視聴者が主人公の行動を選択できるという双方向型の
まるでゲームのような作風が特徴的な映画です

監督は「30デイズ・ナイト」などのデヴィッド・スレイドが務めています

 

あらすじ
1984年、過保護な父親と2人暮らしする
若きプログラマーのステファンは
幼い頃に母親を亡くし
それが原因でセラピストのヘインズのお世話になっている
そんなステファンが
ゲーム会社に認められゲーム開発に取り組むことになる
そして、開発を進めるうちに信じがたい現実に翻弄されていく

 

感想
動画配信だからこそできる面白い試み
映画とゲームの中間のような
今までに体験したことのない作品でした
視聴者が選択するシステムと映画のストーリーが
上手く融合していて
とても面白い内容になっています

 

ドラマのことは全く知りませんでしたが
この映画のことを知ってとても観たくなったので
観てみました

ドラマの特別編ということなんですが
1つの作品として独立しているので
ドラマを知らなくても全然理解できる内容です
ドラマの方も1話完結らしいですしね

なので、ドラマを観なくても大丈夫な映画です

 

まず、この映画は
はじめは何も知らずに観るのが一番いいと思います

そうすれば選択する面白さを
最大限に楽しめるはず
それがこの映画の一番の魅力です

 

ここから感想になりますが
ネタバレ的なことが多くなると思います
そこに触れなければ本作を語ることができないので
観ようと思ってる人は読まない方がいいです

 

この作品の最大のポイントは
ゲームのように主人公の行動を視聴者が選択していくところにあります

物語の分岐点になると画面下に2択が現れて
視聴者がどちらかを選択し
その選択によって物語の展開が変わってくる
というかなり特殊な映画

これがとにかく面白いですね
ゲームをやってる感覚でありながら
ちゃんと映画でもある

これは映画館では絶対にできない
動画配信ならではの試みです

例えば
主人公が朝食で何を食べるか選んだり
どの音楽を聴くのかを選択したりできます

そんな日常的な選択がありつつも
人生を左右するような大きな選択を迫られることもある

その選択によって物語の展開が変わり
最終的には結末までもが変化します

エンディングが複数あって
どの結末になるかは視聴者の選択に全てが委ねられているという面白さ

これだけでこの映画はとても楽しめることのできる作品です


なので本作は
ストーリーを語ろうにも
一本道のストーリーではないので
そこを語るのはちょっと難しいです

あっけない結末もあれば
重みのある結末もある
完全にコメディーな結末もありますし
多種多様なんです

そこに至る道のりも様々ありますしね

初見でこの映画を観ても
人によってどんなストーリーになるのかわからない
そこがこの映画の面白さ


しかし、この映画は普通のゲームのように
自分なりに選択してキャラクターがその通りに動いていく
ってだけの内容ではなくて

それがゲームではできない
映画的な面白さでもあると思います


はじめは視聴者の選択通りに選択していく主人公で
選択によっては早い段階で物語が終わったりします
早ければ3つ目くらいの選択で終わります

でも、そこでゲームオーバーって訳ではなく
もう一度分岐点からやり直せるというシステムが備わってるんですよ

それもゲームのような
ただのコンティニューではなくて
もう一度やり直すことで
主人公のステファンがループしていることに
少し気づいたりする
あれ?これ前もなかったっけ?
みたいな違和感をステファンが感じてくるんです

この、視聴者が選択するシステムが
映画の中にまで影響を及ぼしてくるのは
とても面白い

この映画の中には
視聴者である自分達も存在しているわけです


物語が進むにつれて
ステファンが明らかに自分の意思以外の力で
自分が動いていることに気づいてきます

途中からは
一体お前は誰なんだよ!?
とこちらに語りかけてきますから


これが物語の中ステファンが作っているゲームにも
リンクしているところがあるし
自分で選択しているようで
実は誰かに操られているという
サスペンススリラー的な面白さもあって

どんどんとこの映画の世界に引き込まれていく

それと同時に
これをエンターテイメントととして楽しむ視聴者の
残酷さみたいなのも感じれますよね

自分の選択によって段々と壊れていく主人公を観て
楽しんでいるわけですから

人の人生をもてあそんでエンターテイメントとして楽しむ
という点では「トゥルーマン・ショー」に通じる部分もありますね

ただ、本作の場合は
それをやってるのは自分自身という
かなりダークな現実ですが

 

そして、本作はなかなかユーモアもあって
そこが笑えるし
この映画でしかできないものになってます

エンディングがいろいろとあるわけですが
僕が好きなエンディングがNetflixエンド

これがとても面白い

ステファンが完全に自分が操作されていることに気づき
こちらに
お前は誰なんだよ!?
と問いかけてくるんですが

その時の選択でNetflixという選択肢が出るんですよ

それを選んでからは完全にコメディーになっちゃいます

そこからは混乱するステファンにNetflixの説明をして
さらに混乱されて
21世紀の動画配信サービスってなんだよ!?
って状態に

そして、最終的にはステファンとセラピストの
バトル展開と訳がわからん状況なって終わっていく

これには笑わされました
カオス過ぎて最高
この映画でしかできない唯一無二の展開ですよね

それ以外のエンディングがダークなものばかりなだけに
これだけが異様に目立っていました

その他のエンディングに関しても
なかなかいい感じにバッドエンドで
個人的にはとても好き

どのエンディングでも基本的にだいたい父親は殺しちゃってます

 

今までに無いようなかなり斬新な映画で
とても楽しめたんですが

欲を言うと
攻略する楽しさがあればもっと面白かったと思うんですよね

選択肢によって複数のエンディングがあるわけですが

1回目に見たときは
選択する面白さだけで楽しむことができます
でも、いろんなエンディングを観ようとすると
段々と作業になってくるんですよ

同じようなシーンを何回も見せられたり
似たようなエンディングを何回も見たり

いろんなエンディングを見る方法が
選択肢をしらみ潰しに選択する
って手段だけなんです

隠しエンディングもありますが
それも結局はしらみ潰しに選択してたどり着くしかない

なので、せっかくゲームのようなシステムにするのなら
エンディングにまでたどり着くまでの
ヒントや伏線をもっと散りばめておけば
攻略しがいもあったと思う

あとは、何気ない選択が
後に重要になってくるとか
隠しエンディングに必要だとか
そんなのがあっても面白かったかもしれません

1周目以降に楽しめるようにするには
そんな要素があった方がよかったのかも
と思うわけです

それと、ハッピーエンドは1つくらい欲しかったかも

 

とにかく、こんな映画は初めて観ました
動画配信が普通になった時代だからこそ
生まれた映画かもしれません

映画館でしか体験できない映画もあれば
動画配信でしか体験できない映画もある

本作はとても面白い
ぜひ観てもらいたい
おすすめです

 


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