何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「狩りの時間」感想 雰囲気はすごくいいけど なんかちょっと微妙

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どうもきいつです


韓国映画「狩りの時間」観ました

新しい人生のため強盗計画を実行した4人と
その彼らを追う正体不明の暗殺者との
攻防戦を描いた韓国のクライムアクション映画
2020年2月に公開が予定されていたが
新型コロナウィルス拡大の影響で未定になり
後にNetflixにより4月から世界同時公開され
配信が始まっています

監督はユン・ソンヒョンが務めています

 

あらすじ
希望の無い暗い街で
刑務所から出所してきたジュンソクは
友人のチャンホ、キフン、サンスの3人とともに
人生の大逆転を賭けた現金強盗に挑み成功する
しかし、4人を狙う謎の暗殺者が現れ
彼らの命懸けの逃亡が始まるのであった

 

感想
世界観や設定はすごくよくて
雰囲気は素晴らしかった
でも、なんかあまり面白くない
もっと面白くできたんじゃないのか?
と思ってしまいました

 

Netflixで配信されていたことで存在を知った映画
設定が面白そうだったので観てみました

 

世界観が魅力的ですね
荒廃した近い未来のディストピアって感じ

未来に希望を持てない若者たちが
どうにか一発逆転を夢見て無謀なことに挑戦する物語

こんな映画はよくある内容ですけど

本作の場合はそこから先に
さらに主人公たちが暗殺者に狙われるという展開が
待っています

この設定にとてもワクワクさせられて
本作に興味を持ったわけです


で、実際に世界観の見せ方とかはとてもカッコいい

どこか絶望感のあるダークな雰囲気は魅力的ですし
主人公たちが強盗に挑む裏カジノみたいなのも
アンダーグラウンド感があっていい雰囲気
この世界観に引き込まれていきます

主人公たちの楽天的だけどくすぶってる感じは
なんか応援したい気持ちにさせられます

アクションシーンの映像なんかも
カッコいいのが多くて
銃撃戦とかはすごく迫力があります


全体的に映像がキマってる
カッコいいシーンがとても多かったように思います

 

そんな魅力のある作品でしたが
なんかあまり面白くなかった

ちょっと退屈にさえ思えました


序盤の主人公たちがカジノ強盗を実行するまでは
なかなか面白いんですよ

成功のために試行錯誤して作戦をたてたり
いざ実行となると後には引けない緊張感が
ひしひしと伝わってきますし

ギリギリの感じがスリル満点でクライム映画としてとても楽しめました

 

ただ、強盗が終わってからはなんか微妙
テンポも悪くなるし
少しダラダラと物語が進んでいきます

そして、主人公たちは行き当たりばったりの
勢い任せの行動が増えてくる

主人公たちを追う暗殺者は
無意味に見逃したり
よくわからん余裕をかましてたり
行動原理が不明で何をしたいのかちょっとわからない

序盤はピシッと決まったスタイリッシュなクライム映画なのに
それ以降になると
とてもアホっぽい映画になってしまいます


本作のメインは
暗殺者からの逃亡劇だと思うんですが
その部分がいまいちなんですよね


主人公たちは普通の人間で
圧倒的な力の差がある暗殺者からどう逃げるのか
という部分に
この映画が面白くなるかどうかがかかってると思うわけです

でも、本作は
その力の差を埋めるのが
暗殺者の気まぐれや油断だったり
主人公たちの運が良かったり
それだけなのでちょっとつまらない

主人公たちも一矢報いるということはせず
ただひたすら逃げてるだけですし
面白い展開が全然ないんですよね


ここは、圧倒的な力を前にしても
どうにか知恵を振り絞って接戦に持ち込むとか
相手の隙をついて逆転するとか
メリハリのある展開がある方が面白くなると思う

強い敵からただ逃げてるだけじゃ
やっぱりつまらないですよね

攻防が目まぐるしく入れ替わったりする方が
盛り上がったと思います

 

特に納得がいかないのは暗殺者の振る舞いですね

主人公たちを逃がしたのは面白いからってフワッとした理由で

逃した後は
ひたすらゆっくり歩いて追いかける

最終的には忠告を無視して殺した人間の兄に
報復で殺される

なんか、この暗殺者すげーダサい

凄腕の殺し屋の雰囲気を醸し出しているわりに
やってることはあまりカッコよくない

主人公たちを泳がしてジワジワと追い詰めるのは
ゲームを楽しんでいるように殺しを楽しんでいる
ってことかもしれないけど
そんなのは全く伝わってきませんし


それをやるなら
もっと非情に淡々と主人公の仲間たちを次から次へと殺していくとか
もっと残酷なやり方で主人公を追い詰めていくとか

そんなサイコな感じとかを出してくれれば
ホラー的な怖さとかも生まれていたかもしれません

本作の場合は
ゆっくりと追いかけてくるだけなので
怖さとかも全然ないんですよ

個人的には刃物を使った殺しとかも見たかったですし

この逃亡劇にはスリルを感じることができません

 

暗殺者だけでなく
主人公側の描写も微妙です

あまり筋が通っていないというか…

なんか目的がフワッとしてる
海の見える場所でいい暮らしをしたい
とかいってるけど
なんで?って感じだし

リスクを背負って強盗する理由にしてはちょっと弱くない?

違法なカジノを強盗すれば警察に狙われないから
カジノを標的にするけど
警察よりヤバい奴らに追われるのは目に見えてるし
この選択をする時点で主人公がかなりアホに見えてしまいます


それに、主人公の原動力が友情で
それがテーマの一つでもありますが
その描写が弱すぎると思う

そもそも、主人公たちの友情エピソードが全然ありません
過去のエピソードを描くわけでもなく
現在進行形で描かれるわけでもなく

ただ、口で友情っぽいことを言ってるだけで
いまひとつ感情移入もできないんですよ

なので、仲間が死ぬ重い展開があっても
そんなに感動もできない

だから、ラストシーンとかもあまり心に刺さらなかった

何が言いたかったのかもよくわからないです

 

結局、バイオレンスな内容にしつつ
良い話にしようともしていたので
どっちつかずの中途半端な映画になっています

そんなことなら友情なんてもっと軽くして
めちゃくちゃに入り乱れるバイオレンスに特化した
激しい映画にしていた方が楽しめたかも


この魅力的な世界観や設定で
殺すか殺されるかの極限状態のバイオレンスアクションにすれば
最高に盛り上がったと思いますよ

映像はキマっていてカッコいいだけに
そっちの方が相性良さそうですし

 

面白くなりそうな雰囲気があるだけにもったいない
韓国映画特有のドライな感じもありましたし
惜しい作品ですよね

友情なんかよりバイオレンス重視で
めちゃくちゃやってほしかった