何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ザ・ブック・オブ・ヘンリー」感想 そっちの方向に進むの? まさかの展開で面白かった

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どうもきいつです


ドラマ映画「ザ・ブック・オブ・ヘンリー」観ました

隣の同級生の女の子が危険にさらされていることを察知した11歳の少年が
彼女を救うために奮闘する姿を描いた2017年の作品
日本国内では劇場上映されませんでしたが
2020年5月からNetflixで配信されました

監督は「ジュラシック・ワールド」などのコリン・トレヴォロウが務めています

 

あらすじ
天才少年のヘンリーは母親のスーザン、弟のピーターと幸せな日々を過ごしていた
そんな日々を送る中
彼は隣の家に住むクリスティーナが父親によって虐待を受けていることを知る
クリスティーナをなんとか救うため
ヘンリーは様々な作戦をノートに綴り奮闘するが
そんな時、ヘンリーの脳に腫瘍が見つかる

 

感想
難病ものの感動人間ドラマと思いきや
まさかの展開に驚かされる
後半はハラハラしてなかなか楽しめました
とは言え、強引すぎるのは否めない
無理矢理すぎるだろ


なんとなく気になったのでNetflixで観てみました

あまりどんな内容なのかも知らなくて観たのがよかったのか
まさかの展開に驚かされて
なかなか面白く観ることができました

この映画は何も知らずに観るのが一番楽しめるのかもしれません
もし観るのなら無知の状態で観てほしい

ここからは感想なので
いろいろネタバレ要素も含みます

 

まず、この映画は
前半部分は天才少年ヘンリーを中心とした日常が描かれます

ヘンリーはどんな少年でどんな日常を送り
家族とどんな関係なのか
ここは説明パートだと思います
そして、そこからヘンリーの病気が発覚して
難病もののハートフルドラマって感じに物語は進んでいく

ここまではよくある感動映画みたいな内容

ただ、問題はここからで
後半になると物語は一転して
全く予想しなかった方向に進んでいきます

正直言って唐突です
180度方向が変わって戸惑いました
みんな戸惑うと思う

その反面
この意外性にワクワクもさせられました
この先どうなるんだよ!?って

 

完全にネタバレしてしまうと

ヘンリーが死んじゃいます
そして、その後はクライムサスペンスにジャンルが変貌する

クリスティーナを虐待している父親グレンをどうにかして
彼女を救おうと行動していたヘンリーですが
最終的に行き着いた答えがグレンを殺害すること

その計画をノートとボイスレコーダーにまとめ
ヘンリー亡き後に母親のスーザンがそれを見つけ
その意思を受け継ぎ行動に移していく
というかなりぶっ飛んだ方向に展開していくわけです

急すぎる展開にビックリするけど
この意外な展開に一気に映画に引き込まれました

ここまでがよくある難病感動物語でちょっと眠くなってきただけに
この殴りつけてくるような急展開で目が覚めました


スーザンがボイスレコーダーに録音されている息子ヘンリーの声にしたがって
計画を着々と進行していくのは
斬新で面白いですし

前半部分の伏線回収もしっかりあって
モヤモヤが解消されていくのは気持ちがいい

そして、この計画が成功するのかどうか
という部分にスリルを感じでハラハラさせられます

特に終盤の計画を実行する場面になると
緊張感がさらに高まり
ハラハラ感が増してより引き込まれていきました

天才少年がその頭脳を駆使して殺人計画を立てる
というのも面白い発想ですよね


この映画は
アイデアが斬新でとても面白いし
新しいことしようとする気概には好感も持てました

変な映画だけど
この驚きの展開には完全にやられましたね

 

とは言うものの
素晴らしい映画かというとそんなことはなく

驚かされはしましたけど
強引すぎるし雑な映画でもあると思います
それにお涙頂戴がすぎるのも少し気になる

この180度方向が変わるとんでも展開は
この映画の長所でもあるし
短所でもあると思います


前半と後半が完全にぶつ切りになってるんですよ
別の映画と言っても過言ではない

そこがやっぱり雑だなと思ってしまいます

それに、前半部分が後半の展開を驚かすための前フリにしかなっていないのも
微妙に思ってしまう要因です

正直、前半は面白くないんですよ

観たことあるような天才少年の物語
観たことあるような難病もののストーリー

特に面白い要素があるわけでもなく
後半のための伏線を散りばめるために
人間ドラマも薄かったりします

そのわりにやたら泣かせるような演出が多くて
少し鼻につく

この映画の前半は
後半を驚かせるための仕掛けの部品でしかないんです
それを感じてしまうと全然感動もできません


それと、後半部分も単体で見てみると
さほど大したことはしていない

死んだ息子の指示にしたがって母親が計画を実行していくという面白さはあるものの
やってることはよくあるクライムサスペンス
そんなにひねりがあるわけでもない

それに短期間でそこまでできないだろ
ってツッコミどころもあったりするし
運任せだったりもするので
質の高いサスペンスでは決してないです


で、何よりも問題なのが
ギミックによる弊害が大きすぎる

前半のハートフルな感動ドラマと
後半のダークなクライムサスペンス

確かに唐突な展開に驚かされて映画に引き込まれるけど
あまりにもこの2つの噛み合わせが悪すぎる

前半でハートフルな家族愛とか優しさみたいな
美しいものを見せられるから
暗い展開やバッドエンドは全く望んでいない

でも、後半のダークなサスペンスを見せられると
もっと刺激的なもの
もっとヤバい展開が見たい
という真逆の感情も抱かされるんですよ

だから最終的には着地点が定まらなくなってしまってる

結局はハートフルで感動的な結末に落ち着きますけど
この終わり方は納得できなかっりします

クライムサスペンス的には絶対にグレンを殺さなきゃ成り立たない
でも、家族愛を描くならグレンを絶対に殺しちゃいけない
完全に矛盾しちゃってます

そこを無理矢理に収集をつけるため
スーザンは殺人を思い止まるけど
そのかわりにグレンが自殺する

いくらなんでもこの展開は無理矢理すぎる
何でだよ!?って疑問で頭いっぱいになりました

こうなってしまうと
サスペンスとしては腑に落ちないし
感動ドラマとしてもあまり感動できない


攻めたことをやりたかったのはわかるけど
やっぱり無理があったのかなと思います

 

すごく変な映画でツッコミどころも多く
酷評される理由はわかりますが
唯一無二の映画になってるのも間違いないです

文句を言いつつもこの仕掛けにはやられました
この驚きで感情が揺さぶられたのも事実
雑な映画だけど面白い映画だとも思いました

こんな攻めの姿勢が伝わってくる映画は好感が持てる