何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ドクター・ドリトル」(2020年)感想 子供なら多少楽しめるかも 大人なら微妙

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どうもきいつです

ファンタジー映画「ドクター・ドリトル」観ました

ヒュー・ロフティングによる児童文学作品で
過去にもエディ・マーフィー主演で映画化もされた
「ドリトル先生」シリーズを新たに映画化した作品
動物と会話ができるドリトル先生が
動物たちとともに冒険に繰り出すアクションアドベンチャーです

「トラフィック」でアカデミー脚色賞を受賞したスティーブン・ギャガンが監督を務め
主演は「アイアンマン」などのロバート・ダウニー・Jr.です

 

www.nanimokamogakokkei.com

 

あらすじ
動物と会話ができる名医ドリトル先生は
世間から遠ざかり様々な動物とひっそり暮らしていた
しかし、女王が重い病に倒れたことを知った彼は
女王を救う方法を求めて個性豊かな動物たちと
伝説の島へ向けて旅立つ

 

感想
子供なら楽しめるファンタジーだと思う
でも、内容が薄い
急ぎ足のストーリーにはなかなか気持ちがついていかないです
大人が観ればたぶんつまらないでしょう
子供でもこの映画を特別面白いとは思わないかも

 

前からずっと気になっていたので観てきました
公開延期で結構待たされ
その間に期待値も上がってました

そして、本作を観てみると
ちょっと期待しすぎてたかな?
って感じです

そもそも、子供向けの映画だと思うし
こんなもんだろうな
とは思いますが…

まあ、大人が観れば少し子供騙しな内容なので
ちょっと退屈な映画かもしれません


まず、僕は世代的にも
エディ・マーフィーの「ドクター・ドリトル」のイメージがすごく強い
「ドクター・ドリトル」と言えばエディ・マーフィー
って感じに
完全にこれが自分の中での「ドクター・ドリトル」

だから、本作の予告映像を見たときはすごく違和感がありました
俺の知ってるドクター・ドリトルじゃない…
みたいな

でも、本当は本作の方が原作に忠実で
エディ・マーフィーの方が邪道なんですよね

エディ・マーフィーの「ドクター・ドリトル」に
こだわりの強い人もいるかもしれませんけど

そんな固定概念を取っ払えば
本作の「ドクター・ドリトル」も全然ありだと思えます
全く別物だと思えば大丈夫です
やってることも全然違うし


それは前提の話で
ここから先は映画の内容についての感想


率直に言うと
あまり面白くありませんでした
めっちゃつまらなかったのかと言うと
そうでもなくて
ちょっとつまらなかった

とは言え、子供なら楽しめるだろうな
って内容でもあります
休日にファミリーで観に行く娯楽映画としては
そんなに悪くないかなとは思う


ただ、世の中には
子供向けだけど大人が観ても楽しめたり
大人の心に刺さるメッセージが込められてたりする
素晴らしい子供向けの映画もたくさんあるので

それに比べると
本作は劣っていると言わざるを得ない

そして、本作のような薄っぺらい子供向け映画は
子供の心にもあまり刺さらないと思うので
結局、忘れ去られていくような映画だと思う


この映画の何が微妙なのかと言うと
基本的に全ての印象が薄いです
これといった強みが無い映画

世界観が独創的なのかと言うとそうでもなく
映像のクオリティもそんなに高くない
ストーリーもよくある冒険アドベンチャーって感じ
キャラクターの印象もちょっと薄い
メッセージ性もさほどない

この映画の何が良かったのかを聞かれると
ちょっと困ってしまいますよね
特別ダメなところがあるわけではないけど
全体の平均値が低い


そんな中で特に気になったのは
ストーリー展開の速さ
気づけば物語が進んでいる

テンポがいいと言うよりも
急ぎ足で話を進めている感じ

次から次へと展開していくけどスムーズじゃないんですよね
なんか繋がりが悪いし説明も少なくて
観ていて全然気持ちが乗って来ない

感情移入ができない
ハラハラドキドキのスリルがない
冒険しているワクワク感もない

節操なく次々に展開して
そしていろいろと詰め込みすぎている
なので、ちょっと置いてけぼりをくらってる感じがします
観ていてあまり楽しくないんですよ…


そんなのがあるから
描写不足が多いしキャラクターも掘り下げられていなくて
すごく薄っぺらい映画になってる


薄っぺらいから
登場人物や動物たちなどのキャラクターが
とてもたくさん登場しますけど
目立ったキャラがいない

みんな魅力的なキャラっぽく作られているけど
それは表面的な部分だけで深くは掘り下げられません

ドリトルですら上辺だけの過去のエピソードが説明されるだけで
内面の描写とかは薄すぎる

この人はいったい何がしたいんだよ?
何を考えてるの?
って疑問が最後までついて回るんですよね
最初から最後まで掴み所のないキャラで終わってしまう


ドリトルに弟子入りする少年も
全ての言動の原動力が“やさしいから”ってだけなので
いまいち彼の行動には納得できない

なぜそうなのかとか
それによる心の葛藤の描写とかは
全部すっ飛ばしているんですよ


その他の個性豊かな動物たちに関しても
みんながでしゃばりすぎなんです
ただでさえ多い動物たちが
余計にごちゃごちゃして見える

ここは、中心になる2、3匹にスポットを当てて
後はおまけ程度の活躍でよかったんじゃないか?

そうした方が個々のキャラクターも際立つし
キャラが成長するエピソードやその過程を
丁寧に描くことができると思いますよ
何よりもそっちの方がすっきりして観やすいし

動物たちはみんな個性的に描かれているけど
誰が印象に残ったのかを聞かれると
別に誰も印象に残ってない
動物たちみんな可愛かったね
って感想くらいしか浮かびません

 

それと
唯一、動物たちと会話ができるドクター・ドリトル
という設定が全く生きていないストーリーも
どうかと思います

この映画でやってることって
ただのファンタジーアドベンチャーで
別にドクター・ドリトルじゃなくてもいいじゃん
って内容
キャラクターを入れ換えればパイレーツ・オブ・カリビアンでも成り立ってしまうと思いますよ

まだ、エディ・マーフィー版は
ちゃんと医者として活躍してたし
動物と話せることにも意味を感じれたけど

本作は医者として活躍する場面はほぼ無く
動物と話せることも当たり前になっていて
動物と話せることの特別感は全く感じれない


動物と話せるのがドリトルだけかと思ってたら
動物と話す方法が動物の鳴き声を理解する
って描写があって
ドリトルの弟子も普通に話せるようになってくる

こんな子供でも普通にできるのなら
別にドリトルじゃなくても動物と話せるだろ
とか思ってしまいます

この動物と話せる能力は
なんか不思議な魔法みたいな能力
で良かったと思うんですけどね…

練習すれば誰でもできるような感じがして
能力の価値が下がってると思う


しかも、動物とコミュニケーションを取れることが
ストーリー上でもあまり生きてこない
話せることで危機を乗り越えたり
動物の手術や病気の発見とかに活用されることも無い
ただ動物と喋れるだけなんです

原作ではどれくらいドリトルが医者として活躍するのかは知らないけど

「ドクター・ドリトル」という作品の強みって
動物と話せる医者
という部分だと思うので
この設定をもっと活用すれば
作品としての個性が際立つと思うんです

その点はエディ・マーフィー版の方がちゃんとしてましたよね
動物の言葉がわかるから医者としての能力も発揮してましたし

本作は
動物と話せることも医者であることも
ファンタジー映画のおまけ要素でしかない


本作ならではの要素があるのにそれを全く活用せず
安易な子供向けのファンタジー映画で終わってしまってるのが
この映画が印象に残らない理由だと思います

 

子供なら多少楽しめる映画にはなってるけど
たぶん、子供たちの記憶にも残らないだろうな
って思う

エディ・マーフィー版もそんなに誉められた作品ではないけど
印象に残る作品ではありました

本作はその他大勢のファンタジー映画の1つ
って感じで
数ある映画の中に埋もれていくんでしょうね

 


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