何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ランボー ラスト・ブラッド」感想 舐めてたジジイがジョン・ランボーだったという悲劇

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どうもきいつです


アクション映画「ランボー ラスト・ブラッド」観ました

1982年に1作目が製作された人気アクション
「ランボー」シリーズの第5作目にして完結編
ランボーが
人身売買カルテルに誘拐された友人の孫娘を
救い出すために奮闘する姿を描いています

監督は「キック・オーバー」などのエイドリアン・グランバーグが務め
主演は「ロッキー」シリーズなどのシルヴェスター・スタローンです

 

あらすじ
数々の戦いを終え故郷のアリゾナに戻ったジョン・ランボーは
牧場で友人のマリアとその孫娘ガブリエラとともに
平穏な毎日を過ごしていた
しかしある日
ガブリエラがメキシコの人身売買カルテルに誘拐されてしまう
娘同様に育ててきた彼女を救うため
ランボーは再び戦いの中に身を投じていく

 

感想
ランボーの生きざまに心を打たれた
ガチギレしたランボーはマジで怖い…
残虐すぎるほどの痛々しい描写からは
戦うことの痛み、辛さがひしひしと伝わってきます
切なすぎる物語がランボーらしくもある

 

ランボーの最新作で完結編
ということで観に行ってきました

僕はそこまでランボーに思い入れがあるというわけではありませんでしたが

子供の頃はテレビでやっていたのを観てましたし
本作を観るにあたって
前4作を通して観ていたので気持ちは昂っていました


そして、本作を観てみると
なんかランボーらしくない作風に思えた
でも、ランボーらしい映画でもあった

ランボーの哀愁漂う生きざまを描きつつも
ランボーの戦いがいつもと違うような気がしました

前作までは
基本的にランボーが戦いに巻き込まれた上で
それに立ち向かう姿が描かれていたわけですが

本作はかなり能動的にランボー自ら戦いに赴いていくんですよ

きっかけはガブリエラが誘拐されることで
巻き込まれたと言えば巻き込まれた形ではあるんですが
ただ、その後のランボーの行動は明らかに攻めの姿勢
終盤なんて敵をおびき寄せてのランボー無双ですからね

そこに少し違和感を感じたのは否めない

今までランボーを追ってきた人の中には
その違和感を受け入れられない人もいるかもしれないです

でも、そんないつもと少し違う戦いの中にも
ブレないランボーらしさはしっかりとあります
今までどおりランボーの生きざまを描いた映画です


まず、本作と今までの作品には大きな違いがあって
それがランボーの戦いの変化にも繋がっていると思う

前作までは孤独だったランボーですけど
本作のランボーには家族がいる
これが大きな変化だと思います

今までと違い
今回は大切な人を守るため、救うためにランボーは戦い
そして、奪われてしまったときには心のそこから憤怒して
怒りに任せて相手を徹底的に痛め付けて殲滅する

特に終盤のぶちギレたランボーが残虐に敵を倒していく姿には
とても違和感を感じる人が多いと思います

いつもと戦う理由が違ったり
激怒して敵を惨殺するランボーだったり
なんか変な感じもしてしまいますが

戦いの中でしか生きれないランボー
という点では
過去の作品同様にブレずに描かれている

そして、本作では
大切な人を守るために戦うランボー
怒りに任せて戦うランボーを描くことで
ランボーの悲しき生きざまがより浮き彫りにされていると思うんですよね

僕はそこに心を打たれた

ランボーと言えばやっぱり
彼の苦悩や心の痛み
抜け出そうとしても抜け出せない戦場

そんな悲しいものを背負う男の生きざまに
心を打たれるわけです

本作でもそこはきっちりと描かれている

例えば
家族を手に入れ平穏な日々を送っているはずのランボーですが
牧場の地下には迷路のような穴を掘り
その中にはずらりと武器が並び
日々、その場所で武器を鍛えている

平和な日常を手に入れても
ランボーの頭の中には常に戦いというものが根付いている

こんな平和な日々の中でも
いつ敵に襲撃されてもいいように備えてしまってるんですよ

この時点で
ランボーはいまだに戦場に縛られてしまっているのが伝わってきます


これがただの備えで終わってしまえば
幸せを手に入れてハッピーエンドですけども
この映画はランボー

そんな甘っちょろく終わるわけもなく
その備えが存分に生かされてしまう

結局、ランボーは壮絶な戦いの中に身を投じてしまう
むしろ、ランボー自身が自らそこへ向かっていっているようにも思えます


もはや、彼は呪われた境遇を課せられてるようで
こんな悲しい人生は可哀想すぎる
もうそろそろ許してやれよとも思うけど

そんな中だからこそ
ランボーが輝いて生きているようにも見えて
結局、ランボーにはこの道しかないのか…
と納得もさせられてしまう

この悲しさと痛みを背負うランボーの姿には
哀愁を感じてカッコよくも思えます

 

そして、本作のアクションシーンはかなり残虐
下手なスプラッター映画よりもスプラッターです

終盤のアクションシーンなんてほんとに残虐で
ぶちギレたランボーが怖すぎます

敵組織からすれば悲劇ですよね

舐めてたジジイが
実はあのジョン・ランボーだったとは…
同情します


この過激でグロい描写には驚く人もいると思いますが
前作の「ランボー 最後の戦場」もかなり過激でグロい
この残虐描写は前作からの流れを汲んでるのかなと思います

で、そのアクションシーンが
悪い奴を倒してすっきり爽快なのかと言うと
全然そうでもない

グロいアクション映画でも
観ていて爽快感がある作品はたくさんあります
でも、本作はそんな映画とはちょっと違う

観ていて目を覆いたくなる
いくら悪い奴らを倒してるからと言っても
痛々しくて見てられないんですよ


とてもグロくて痛々しいこのアクションシーンの数々には
こだわりも感じる

あえて痛々しくエンタメ性の少ない過激な描写にしてると思うんですよね

前作でも感じたことですが
この映画は戦うことの痛みを表現している作品だと思う

傷つけられるほう、殺されるほうに痛みがあるのは当たり前のことだけど
「ランボー」シリーズは
傷つけるほう、命を奪うほうの心の痛みを感じることができる

本作の残虐なアクションシーンを観ることで
戦えば戦うほど傷つき悲しみを背負い続けていくランボーが伝わってきます

人を殺すことの重みが
このグロい表現で伝わってくる
悪人であろうと殺してしまうことの業の深さ
命を奪うことの痛さを感じる


それがランボーの生きざまにも繋がってくるわけです

ランボーは今まで奪った全ての命を背負って生きている
救えなかった命も奪ってしまった命も
彼は全て罪として背負っているんですよ

だからランボーは幸せを掴むことができないのかもしれない
死ぬまで戦いの中で生き続けなければならないのかも

でも、その姿がカッコよくもあり
これはこれでいい人生なのかもしれない

バッドエンドのようで
そんなにバッドではないようにも思えました

 

シリーズに対する思い入れや
観る人によって捉え方が違ってくるように思える作品でした

これでランボーシリーズは完結ですが
彼の戦いはまだ続く
彼は死ぬまで戦い続けるんでしょうね

 


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