何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「CUBE」感想 謎が謎を呼び結局謎 お手本のようなサスペンススリラー

f:id:kiitsu01:20200722195459p:plain

どうもきいつです


サスペンス映画「CUBE」観ました

トラップが張り巡らされた立方体で構成された迷宮に迷いこんだ男女たちが
その迷宮から脱出するため奮闘する姿を描いたサスペンススリラー
1997年カナダの作品

監督はヴィンチェント・ナタリです

 

あらすじ
目が覚めると謎の立方体の部屋に捕らえられていた数人の男女
何の目的で捕らえられたのかもわからないまま
様々なトラップが張り巡らされたこの迷宮からの脱出を試みる
そして建物の構造の謎に迫っていく

 

感想
お手本のような展開にハラハラドキドキさせられる
低予算だからこそ工夫が凝らされた作品
謎だらけで
その上、何も解決しないけど
この作品に関してはその謎に意味はない

 

10年以上前に観て以来、久しぶりに観てみました
面白いと思いましたし好きな映画なんですけど
かなり内容を忘れていました

大まかなストーリの流れやオチはなんとなく覚えていましたが
細かい部分はほぼ全忘れ

登場人物もこんな奴いたっけ?
って状態でした

だから結構、新鮮な気持ちで観れたかもしれない
もう初見みたいなもんです


あらためて観てもやっぱり面白いですね
長い年月が流れ
いろんな映画に触れて価値観も変わってきたと思いますが
それでも本作は楽しんで観ることができた


この映画はやってることはすごくシンプルで
ただトラップだらけの建物から脱出する
それだけの映画

部屋から部屋へと移動するものの
全部同じような立方体の部屋で
部屋の色は変わるけどずっと同じような風景が続きます
映像的にも全く代わり映えしない訳です

登場人物もすごく少なくて
セットもさほどお金がかかってないような
かなりの低予算映画だと思われます

なので、派手なシーンもなく
かなり地味な映画でもある


でも、そんな地味で低予算な映画なんですけど
最後まで全然飽きずに観れるんですよね

むしろ、最後までハラハラドキドキさせられて
いつの間にか、この映画に釘付けにさせられています

低予算だからこそ
最後まで観客を飽きさせないよう工夫が凝らされた
とても面白い作品でした

 

まず、冒頭からすごく引き込まれる映像になっています

得たいの知れない場所に得たいの知れない男が迷いこみ
そして、隣の部屋へと行くと仕掛けが発動
サイコロ状に全身スライスされるというショッキング映像

この時点で
なんじゃこりゃ!?
とあっという間に映画の中に引き込まれる

それに、このシーンだけで
この謎の場所は超危険な場所だという説明にもなっている

 

そして、物語は本題に入り
メインの登場人物たちが現れます

正義感のある頼れる主人公みたいな奴
かわいい女の子
ヒステリックなおばさん
なんかすごそうなおっさん
謎のふてくされた男

登場人物はみんな個性的で
そんな人たちがこの謎の極限状態の中
どう立ち振る舞っていくのか
先の展開に期待を膨らまされます


ここから先が
お手本のような展開の連続で
本当に楽しませてくれるんですよね


なんかすごそうなおっさんは実は脱獄王で
率先してこの状況を打開していきます

おっさんスゲー
マジ頼れる
と思わせといての
最初に死んでしまうという…

この展開が完璧というか

完璧な前フリに完璧なオチ
この流れがあまりに綺麗過ぎてもはや笑える

頼れるおっさんが早速死んでしまって
絶望感が半端ないシーンではあるけど
ここまで綺麗ならもう面白いんですよね


でも、こんなもんでは終わらず
ここから先もお手本のように綺麗な展開が続いていく

絶望的な状況から
かわいい女の子が数学の知識を発揮し
流れが良くなり脱出への希望が見えてくる

そうなるとキャラ同士の絆が深まり
少しほっこりした雰囲気も生まれてきます

でも、そうなったと思えば
知的障害のある新キャラが登場して
脱出への足枷となる


すると、キャラ同士の関係はギクシャクしだして
それぞれの本心、本性が暴かれてきます

いい奴だと思っていた人間が自己中だったり
性格悪い人だと思っていた人が実は優しかったり
謎の人物は実はこんな人でしたとか

ここでの登場人物の立場の入れ替えも
すごくいいエッセンスで
ますますこの映画に引き込まれていくんですよ


終盤に差し掛かると物語はさらに加速して
どんどんと盛り上がってくる

脱出への活路が見え出すと
仲間の一人が暴走しだして
明らかな敵役として存在してくるし
足手まといだったキャラが
脱出へのキーパーソンだと発覚したりもする

ここからはスリリングな展開へと発展して
スピード感も相まってとても面白い

敵に追われる恐怖
時間との戦い
最高に盛り上がりますよね


この映画はストーリー展開が本当に美しいんですよ
観る側の気持ちを掴んで離さない完璧な流れ
最後まで全然飽きさせられない

全てがお手本のように上手くできている

特別奇抜なことをやってるわけでなく
今の時代に観れば王道でよくある展開だけど
全然マンネリには感じなくて最後まで飽きることもない

こんな作品を観ると
斬新なことをしなくても
ちゃんとストーリーの構成、構造を練っていれば
普通に面白くなるということがわかりますね

 

で、この映画の謎についてですが
全く解き明かされることもなく最後まで謎のまま
ここに不満を抱く人もいると思います

結局、この建物は何だったんだよ!?
目的は何なんだよ!?
黒幕は誰なんだよ!?
とかいろいろと疑問に思うことがあります
そこが解決されないのでモヤモヤすると思うんですよ

ただ、本作に関しては
これらの謎には全く意味なんて無いと思う

むしろ、この謎を解き明かすことは全く重要じゃなくて
この映画で重要なのは
この中で起きている出来事そのものなんですよ
さっきまで言っていた
すごく綺麗に作られたストーリーの構成と構造を見せるための映画

だから、この謎の真相は実はどうでもいいんですよね

映画の中でも言われていましたけど
この建物は何の目的で作られたのかもわからないし
誰が作ったのかもわからない
自分達がこの建物の中に入れられたのは
ただ建物が完成したから入れられただけ

この建物を建設に関わったキャラの発言ですけども
これは制作者の言葉のようにも思えます

なんか面白い設定を思い付いたから
そこにキャラを入れて遊んでみました
みたいな

たぶんそれだけなんですよ

本作の世界観にはそこまで深い意味合いなんて無くて
そこで繰り広げられる人間模様や
脱出するまでの過程
巻き起こるスリリングな出来事
それの舞台でしかないんだと思う

 

あと、映像的には地味であるものの
閉鎖的な空気が緊張感を生んでいるし
部屋ごとに色分けされていて
カラフルで綺麗だったりもする

部屋の色によって緊張感の種類が変わってくるのも面白いですね

青い部屋は張り詰めるような静かな緊張感
赤い部屋なら恐怖を感じるような迫り来る緊張感
みたいな

それと、グロくてショッキングな映像もあったりするので
それでさらに恐怖心や緊張感を煽られます

冒頭のスライスの場面とかギョっとさせられますよね
あれだけでも心を捕まれてしまいます

映像も低予算だけど面白く見せるための工夫が凝らされていました

 

まあまあ昔の映画でB級な内容ではあるんですけど
やっぱり面白い映画ですね

ストーリーさえ上手く練れば面白くなるというのがわかる
お手本のような映画でした

 


CUBEキューブ Blu-ray