何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「悪人伝」感想 正義の味方なんていない 悪の三つ巴が最高

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どうもきいつです


韓国映画「悪人伝」観ました

何者かの襲撃で重傷を負ったヤクザの組長と
連続殺人犯を追う暴力刑事が協力して
犯人をに迫っていく姿を描いたサスペンス映画

監督、脚本はイ・ウォンテが務め
「新感染 ファイナル・エクスプレス」などのマ・ドンソク、「ノーザン・リミット・ライン 南北海戦」などのキム・ムンヨル、「犯罪都市」などのキム・ソンギュらが共演しています

 

あらすじ
ある夜、凶悪なヤクザの組長チャン・ドンスが何者かに襲撃された
そして、一命を取り留めた彼は部下を使い犯人探しを始める
一方、暴力刑事のチョン・テソクは
この事件が連続殺人犯の犯行だと確信しドンスに協力を持ちかける
反発し合う2人だが、やがて協力し犯人を追い詰めていく

 

感想
殺人犯を追っていくサスペンスだけど
この映画に正義は存在しない
悪人と悪人による悪人を追い詰めていく物語
でも、カッコいいし気分が高揚する不思議な感覚に陥ります
なかなか面白い映画でした

 

前から気になっていた映画だったので
観に行ってきました

タイトルからしてなかなか厳ついイメージでしたが
観てみると思ったよりもエンタメな内容で
普通に楽しんで観ていました

でも、登場人物に良い人間がいないので
ちょっとクセの強さもあると思います
とは言え、嫌な胸くそ悪さはなくて爽快感があったりもする

なんか、不思議な映画ですよね

 

ストーリーはシンプルでわかりやすいサスペンスだと思います

連続殺人犯を捕まえるために追っていく
という王道な内容で
特に奇をてらったようなものは無いです

そんな王道な展開の中で
それぞれの悪人の思惑が交錯する様子が描かれていきます

その内容がバイオレンスで怖かったり
スリルにハラハラドキドキさせられたり
相容れない2人がタッグを組むことでワクワクさせられたり
いちいち感情を揺さぶられて最高に楽しめる

最終的には連続殺人犯を追い詰めて成敗するわけですが
この映画はそれだけでは終わらず
最後の最後にゾクゾクする感情を味わえさせてくれます

王道サスペンスだけど全員が悪人
という部分がこの映画の面白いところなんですよね


で、それぞれの悪人がみんな魅力的です

ヤクザの親分チャン・ドンスは見るからにヤバい奴で
絶対に手を出しちゃダメなやつ
というのが見ただけで伝わってきます

初登場時のサンドバッグのシーンで
もう怖すぎますから

素手で歯を抜いてしまうほどの腕力の持ち主ですし
攻撃力的にも只者ではなくて
殺人犯にメッタ刺しにされながらも善戦して
追い返してしまうという強さ
その上、回復力も半端ない男

とにかくいろんな意味でヤバい人間で
怖さがありつつカッコよくもあり
ここまでやってくれれば最早好きです

怖いけど惚れてしまうような魅力があります


刑事のチョン・テソクは
すぐに暴力を奮うし上司の言うことは全く聞かず
とにかく猪突猛進で身勝手
すぐに暴走するヤバい奴です

普通ならこんな刑事って
市民のために犯罪を撲滅を目指すような正義の味方だったりするけど
このチョン刑事はそうでもなくて

自分が刑事として認められるため
私利私欲な感情で行動するような男

こいつも結局は悪人で
行動原理は全く他人のためとかではないんですよね

しかも、そのためには手段なんで選ばなくて
強引に事を進めようとする
そして、他人に迷惑をかけるという
なかなか厄介な人物です

見た目は武井壮にちょっと似てる

で、こいつはこいつで厄介者なんですが
やっぱり魅力もあって好きになってしまう

後先考えずに猪突猛進に進んでいくのは
ここまで行けば爽快だし
犯人逮捕のために手段を選ばないやり口には
どこか頼れるんですよ

こいつなら犯人を捕まえてくれるという安心感もあったりする


そんなヤバい悪人2人が手を組むとなると
もうテンションがぶち上がりますよ

こんな奴らが組んだら怖いものなしです

ぶつかり合いながらも協力し
終盤に近づくにつれ
このいがみ合う2人の息も合ってきます
そうなれば敵なんていないわけで最強なんですよ

それにこの2人の関係性の面白いところは
あくまで犯人を捕まえるための協力者でしかなく
それ以上に絆は深まらない

普通ならこの協力を経て友情が芽生えたりするけど
この2人はずっとドライな関係を保ち続ける

そこに悪人同士だということを感じさせられ
どこか怖さもあります

終盤の犯人の取り合いとかめちゃくちゃですから

バディものの映画のようで全然バディじゃない


さらに、この2人の標的である殺人犯も
全然負けてなかったりするのが
この映画がさらに面白くてなっている要素です

そもそも、あんなにヤバそうなドンスを殺そうとする時点で
この殺人鬼は相当ヤバいやつですよ

この世の全ての人間が手を出さないような奴を
殺そうとするんですから

その後も全然臆することなく殺人を繰り返します

ドンスに捕まりボコボコされてるときですら
不適な笑みをこぼし全然ビビってないし

こいつはただのサイコパスではなくて
それ以上の何かですよね

ただのサイコパスなら悪人って感じがしないかもしれないけど
こいつは確実に悪人


そんな悪人たちの三つ巴は最高に面白いし
最後までハラハラして楽しめました

 

それと、アクションに関してもなかなか激しくて
楽しませてくれました

特に終盤近くのカーチェイスはすごい
最高でした

広い道路じゃなくて狭い街中を
ハイスピードでぶつかりながら走り抜ける
ヒヤヒヤするけどカッコよくもあって
ここは本当にテンションが上がる

 

バイオレンスな描写も多くて
その演出もなかなか面白いです

バイオレンスではあるんですけど
以外と直接的な描写は少なかったりします

殺人を直接見せたりはしないし
暴力的なシーンも結構間接的に見せています

でも、それがマイルドな表現なのかというと
そうでもなく
逆にそれがあるから余計に怖く思うというか…

あえて見せないことで怖さが際立っているように思うんですよね

サンドバッグのシーンとかは本当に怖いですから

見せすぎないことでより暴力的に感じられて
こいつらは悪人ということが伝わってくる

 

あと、ラストの展開はとても好きです
この終わりかたはなかなか素晴らしいと思いました

犯人が捕まってからは裁判が始まり
犯人に有利な状況になります
そこからのどんでん返しが爽快で気持ちがいいんですけども

普通はここで終わりなんですよ
犯人をやっつけてすっきりなんですが

この映画はそこで終わらず
最後の最後まで悪人を感じさせてくれる

最後の
刑務所内でドンスと殺人犯が対峙するシーン
これがゾクゾクしますよね

普通に考えると
あそこでドンスが殺人犯に報復する
って展開を想像してしまいますが

あのドンスの表情を見てると
なんか違う意味があるんじゃないのか?
と考えてしまいます

そもそも、悪人と悪人がタッグを組む物語だっただけに
ここに来て、ドンスと殺人犯が手を組むんじゃない?
と想像させられてしまった

そうなったらそれこそヤバい…

そんな想像力の膨らむラストは面白いです
すっきりするようですっきりしない
このモヤモヤしてゾクゾクするような終わりかたは
かなり好きでした

 

エンターテイメント的にとても楽しめて面白いサスペンス映画でしたが
悪人だらけのバイオレンスな厳つい映画でもありました

なかなか最高の映画だったと思う

 


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