何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「事故物件 怖い間取り」感想 やりたいことはわかるけど 方向性が間違ってる

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どうもきいつです


ホラー映画「事故物件 怖い間取り」観ました

テレビ番組の企画で「事故物件住みます芸人」として
実際に事故物件に住んできた松原タニシの
実体験を記したノンフィクション書籍を映画化した作品
テレビ出演のために事故物件に住み始めた
若手芸人が様々な怪奇現象に遭遇していくホラー映画です

監督は「リング」シリーズなどの中田秀夫
主演はジャニーズの亀梨和也が務めています

 

あらすじ
売れない芸人の山野ヤマメは
テレビ出演のために殺人事件の起きた物件に引っ越すことになる
部屋で撮影した映像には不可解なものが映り
音声が乱れるなどの現象が起き
出演した番組はとても盛り上がった
新たなネタを求めヤマメは事故物件を転々とすることとなる

 

感想
素材はとてもいいし
序盤はホラーな雰囲気がとても良かった
ただ、終盤の展開は酷すぎる
やりたいことはわかるけど
さすがにこの原作でこれをやるのはズレている
方向性を見誤っている映画でした

 

以前に原作の本を読んでいたので
それがどのように映画化されるのか
とても気になっていたので本作を観てきました

原作はなかなか面白くて
ストーリーがあるような内容ではないですが
実際に事故物件に住んだ芸人の体験談としては
とても興味深い本でした

だからこそ、ストーリーの無い原作が
どのように映画になるのか
というところに注目していました

 

で、実際に本作を観てみると

原作を忠実に再現した映画ではなくて
原作を基にして作られた完全なフィクション映画

主人公も原作者の松原タニシではなくて
それをモデルにしたフィクションの人物
心霊エピソードも元ネタから話を広げ脚色して作られたフィクションです

原作の内容は結構うろ覚えだったんですが
なんとなくこんなエピソードがあったな
と思いつつも
こんな大げさな話では無かったよな
とも思いました

全体のストーリーは完全に映画オリジナルで
映画として面白く見れるように
いろいろと付け足されています

原作者の実際のエピソードを基にしているのかどうかはちょっとわからないです


特に終盤の展開は原作とはかなりかけ離れている超展開で
これに関しては賛否が分かれると思います
てか、ほとんど否でしょうけど…

 

個人的な感想としては
普通に面白くなかったな…
って感じですね

素材はとてもいいのに全くそれを生かせてなかった

本の話題性に乗っかっただけの
安易な映画化だったと思います


全体的にチープで怖くないし
終盤のギャグっぽい展開も正直スベってる
ストーリーも中途半端で特に面白さはありませんでした

 

まあ、序盤はまだそんなに悪くないです

主人公がピン芸人になり仕事が無い中で
プロデューサーの無茶ぶりで事故物件に住むことになる
という導入はホラー映画としてはちょっと珍しくて引き込まれる要素だし

1件目の事故物件では
お約束なホラー演出が楽しめました
殺人現場が再現されるシーンはなかなか怖かったし
赤い服の女の不気味さもすごく良かった

ただ、そこから先は
同じようなパターンの演出がほとんど
慣れてしまって怖さも面白さも全くありません

それに、ちょっとオバケを見せ過ぎかなとも思います
はっきり見えすぎて逆に怖くない

なにかいそうでいない不気味な空気感や
なにかはわからないけど迫ってくる恐怖とか
日本的なホラー演出は少なくて

急に異形の化け物が出てきてびっくりさせる
みたいなのが多かった

その上、見せ過ぎてるからこそ
すごくチープにも見えてしまいます

明らかにメイクみたいなオバケが毎回登場して
ビジュアルが作り物すぎます
CGなんかもよく使ってましたけど
CGと丸わかりのエフェクトなのですごく萎える

見た目が本当に安っぽいんですよ

チープならチープで全然いいですけど
そこを誤魔化す工夫はしてほしいです

実話を基にしてるんだから
カメラに不可解なものが映った本物の心霊映像みたいなのを
もっと見せてくれてもよかったのに

こういうところがあまり気が利かないですよね

 

そして、ドラマパートがすごく邪魔

主人公のヤマメと相方の関係とか
ヤマメが芸人をやっている理由とか
ヤマメとスタイリストの梓との恋愛とか

これも全部チープだしつまらない内容なんですよね

しかも、無駄にドラマパートに時間を割いてるからテンポも悪い
梓の近況シーンとかマジでいらなかった

ヤマメだけをメインにして
あとはオマケ程度でいいだろうと思う

こんな薄っぺらいドラマを見せるくらいなら
テンポ良く事故物件で起きる怪奇現象を
淡々と見せてくれる方が面白かったですよね

テンポ良く次から次へと事故物件に移り住んで
オムニバス形式で様々な心霊現象に巻き込まれていく
みたいな作りほうが良かったと思う


あと、ヤマメのキャラクターが中途半端
心霊現象を怖がっているのか平気なのか
どっちつかずなのでキャラクターがブレています

原作者の松原タニシは
霊に関してはまあまあ鈍感で
あまり霊を怖がるタイプの人ではないんですよね
だからこそ事故物件に住み続けることができるんですけど

ヤマメも同じように鈍感な怖いもの知らずのキャラクターに徹底した方が絶対によかった

ホラー映画の主人公としては斬新で面白いし
怖がるのは他の登場人物に任せればいい

主人公が霊に対して鈍感で怖がらないって
他のホラー映画とも差別化できると思うし

 

あと、結末に関しても中途半端な終わりで
いまいちぱっとしない終わりかたでした

これは、最後にヤマメが売れて終わりでよかったと思うんですよね

事故物件2件目くらいで本が売れて人気者になってたけど
いくらなんでも売れるの早すぎるし

いろんな事故物件を経て
その経験を本にして売れました
って終わり方のほうが綺麗でまとまりも良かったと思う

 

そして、最大の問題点
終盤の超展開ですけども

これは完全に方向性を見誤っていますね

やりたいことはわかるんですよ
同じホラー映画で言えば「来る」や「カルト」のような
王道ホラーだと思っていたら全然違った
みたいなのをやりたかったんだと思う

ただ、この映画でやる必要ないでしょ

あくまで原作はノンフィクション
これを基にこの超展開をやるのはセンスが無い

100歩譲ってそれを受け入れたとしても
最後のあの超展開は全然上手くないですし

前フリが全然無いんですよ

急に変なことをしだすから
観てる側からすれば
は?って思うだけ

急なギャグ描写もすごく邪魔
不動産屋の江口のりこや謎の高田純次
単体で見たら面白いかもしれないけど
この映画の中では完全にスベってる

最後のバトルみたいなのも
盛り上がるわけでもなく笑えるわけでもなく
めっちゃスベってる

あまりにもスベってるので
ちょっと観てるのが恥ずかしくなりました


細かいツッコミどころも多いけど
そんなのどうでもいいレベルなんですよね

フードの奴はなんだったのかって謎が残っているけど
そんなのどうでもいいわ
って思ってしまいました

もともとストーリーの無い本の映画化ですが
この方向性はズレてますよ

 

ちょっと期待してた映画ではありましたが
蓋を開けてみるとかなりつまらない
原作の良さを全然出せていませんでした

主演の亀梨和也は関西弁を頑張ってたし
ヒロインの奈緒は可愛かったりもするので
出演者目当てならこんな作品でも
それなりに許容できるんじゃないでしょうか

ホラー映画としては駄作だと思う

 


事故物件怪談 恐い間取り