何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「おんなのこきらい」感想 カワイイは武器 あざとい女は努力をしてる

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どうもきいつです


恋愛映画「おんなのこきらい」観ました

可愛いことが女の価値だと信じる女性の恋愛を通し
女心をポップで毒気を含んで描いた2014年の恋愛映画
ふぇのたすの楽曲「女の子入門」から着想を得て作られた作品です

監督は加藤綾佳が務め
主演は人気モデルで女優の森川葵です

 

あらすじ
OLのキリコは過食症で可愛い食べ物を食べては吐いていた
キリコは職場や合コンでは男たちにちやほやされ女性からは嫌われているが
彼女は女の価値は可愛いことだと信じて疑わない
そんなキリコの前に彼女になびかない幸太が現れる

 

感想
キリコが可愛いし普通に好きになる
ぶりっ子を貫くキリコは卑怯どころかむしろカッコよくも見えました
可愛さというのは武器の一つだと思わされる
でも、それだけじゃ上手くいかないのもまた現実

 

前からなんか気になっていた映画で
最近になってやっと観ました

低予算だろうし
見たことのない俳優ばかりのB級恋愛映画
って感じでしたけど
なかなか面白かったです
短くて観やすい映画でしたし

知らない俳優ばかりというのもあって
なんかすごくリアルにも感じられる映画

描かれているストーリーもどこか身近に感じれて少し親近感もあります

正直言うと
劇的な物語ではないので
インパクトは弱くて印象に残りづらい作品だろうなとは思う

映像や演出もチープで安っぽいのは否めません


でも、本作の主人公キリコはとても魅力的で
現実にいる女の子のようなリアリティもあります
キリコの魅力がこの映画の魅力と言ってもいいと思います


キリコはいわゆる“ぶりっ子”や“あざとい女”
と言われるタイプの女の子で
女性からはめちゃくちゃ嫌われています

しかも、それは天然ではなくて
完全に計算して男に媚びている人なんですよ

服装、仕草、喋り方
どれを取っても男が好きそうだな
ってことを自然とやってのける

だから、男からはちやほやされて
女からはとことん嫌われる
典型的なそういう系の女の子なわけです

そんなキリコの成長を描いた物語で
そこにグッとくる映画でした


僕はそもそも
ぶりっ子やあざとい女性に対する印象は全然悪くなくて
むしろ、好感が持てるくらいだったりします

こんな女の子って
特に女性からは忌み嫌われていたり
陰で悪口を言われまくっていたりして
テレビなんかではいつも悪者扱いされてたりします

確かに嫌われる理由もすごくわかるけど
男目線で見ればぶりっ子やあざとい女の子は
普通に可愛く思えるし
それに、そんな女性ってモテるために頑張ってるわけで
そこを悪く言えないよなと思うんですよね

よく男はそんな女に騙されてる
なんて言われることもあるけど

実は男もそこまで馬鹿ではなくて
自分の利益のためだけにたぶらかしてくる女は相手にしないし
相手にしても軽く扱ったりします

本作でもそういう部分が描かれていたりもする


まず、キリコなんですけども
めちゃくちゃ可愛いです

見た目が可愛いのは勿論なんですけども
あざとい女としての可愛さが完璧
そんな女を体現したようなキャラクター

自分の見た目の可愛さに自信を持っていて
それを最大限に生かす武器として活用している

しかも、周りの女性たちから何を言われようと
それを曲げない絶対的な信念も持ち合わせています

可愛さがあれば幸せを掴み取れると信じてやまない女の子なんですよね

キリコは純粋に可愛さを貫こうとしている

ここまで1つのことを貫いていれば
もはやカッコよくて尊敬の念すら抱いてしまいます

周りから陰口を叩かれて最低な女扱いをされているけど
キリコはすごく無理をしてるし努力してるんですよ

むしろ、周りで文句を垂れている女どもが
努力もせずただ他人の足を引っ張ってる愚かな人間にすら見えてくる


ただ、キリコがやってることが正解なのかと言うとそうでもなくて
やっぱりそこには歪みががある

世の中、計算高く男に媚びていれば全て上手くいく
というわけでもなく
自分の幸せのためだけに行動していても
本当の幸せは掴めない

キリコ自身も可愛ければ幸せになれるという信念に依存しているところがあって

心の底では
自分に可愛さが無ければ何も残らない
ということには気づいています

それを認めたくないから可愛くあり続けようとする

それが可愛いお菓子を食べては吐くという
不安定な生活に現れています


そして、男性関係にもその歪みは現れていて

キリコに言い寄ってくる男は

可愛い女の子と関係を持つことが
自分のステータスの一部としか思っていなかったり

本当に好きな男性からは都合のいい女としか思われていなかったり

見る目のある男性にはそのあざとさが全く通用しなかったり

キリコは幸せを掴むための可愛さだと信じていたけど
結局、可愛いだけじゃ何も手に入れることができないと気付いてきます

そんな中で
自分に全くなびかない幸太と出会いふれあうことで
キリコは幸太のことを本当に好きになり
自分の本当の魅力を見い出していきます

結果的には失恋で終わってしまうけど
それを経て本物の可愛さを手に入れる

ラストの表情とかマジで可愛すぎますから
これまでも可愛いと思えてたけど
それをあっさりと超えるほどの可愛さ


キリコを見てると
これを演じる森川葵が完璧なハマり役だと思わされました

序盤のあざといキリコはナチュラルにそういう人に見えるし
その後の気持ちの変化や感情が爆発する姿も
すごくリアルなんですよね

最後の成長したキリコの可愛さは
今までと全然違う可愛さを出せてます

森川葵のハマりっぷりが
この映画のレベルを押し上げてると思いました

 

個人的にはすごく好きでいい映画だと思いましたけど
これいらないなと思ったのが
歌のシーン

所々に本作の基となった楽曲を手掛けるふぇのたすが登場して歌うという場面が入るんですけど
これの意味があまりわからない

このシーン自体が夢なのか現実なのか不明だし
この歌がキリコにどう影響を与えてるのかもよくわかりません

キリコの気持ちを歌ってるのは理解できるけど
この歌がなくても全然伝わってくるものを
もう一度歌で説明されてる感じもしてちょっとくどい

それがストーリーと繋がってるわけでもなくて
とりあえずサブカルっぽい演出をしてみました
で終わってるから
このシーンだけすごく浮いてて
ただ安っぽいだけなんですよね

歌を入れるのは悪くないと思うけど
もう少し作品全体とリンクするように見せてほしかったです

 

歌のシーンはあまり好きじゃなかったけど
全体的にはすごく好きな映画でした
キリコが可愛くてリアルでとても魅力的

あざとい女は努力してるし無理してるし思い悩んでいる
そこを理解できる作品でした

 


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