どうもきいつです
ドキュメンタリー映画「ようこそ映画音響の世界へ」観ました
ハリウッド映画の映画音響のスポットを当て
その世界に迫っていくドキュメンタリー映画
映画における音楽や環境音など
様々な映画音響の歴史や裏側に迫っていきます
監督を務めるのはミッジ・コスティンです
あらすじ
1977年にそれまで普通だった無声映画に代わり
初めてのトーキー「ジャズ・シンガー」誕生する
それ以来、様々な映画の誕生と共に映画音響も日進月歩で進化してきた
普段は裏方で現場を支える映画音響技術者たちにより
映画音響の歴史や裏側について
経験や創作活動を通して見てきたものが語られる
感想
映画を観る中で軽く聞き流していた音に
どれだけのこだわりがあるのかを思い知らされました
映画製作に携わってきた人たちが語るエピソードはどれも興味深い
映画音響の歴史は知らないことばかりで
すごく勉強になったし好奇心が掻き立てられました
映画音響のことはあまり詳しくなく
この映画にはとても興味を持っていました
この映画はすごく勉強になった
いろんな映画を今まで観てきましたけど
知らないことはたくさんあるなと思わされます
そもそも、映画音響って
ただ映画を観るだけのファンにとっては未知の世界です
映画を勉強してたり実際に作っていたりする人からすれば
こんなの当たり前なのかもしれない
ただ、ほとんどの人は映画が好きでも
裏方である音響の知識はないでしょう
その音響のことまで詳しく知ろう
とはあまりならないと思います
ましてや、その歴史までなるとなかなか手を出せませんよね
本作はそういうものをすごくわかりやすく説明してくれている映画です
映画における音がどのようにして生まれて
どう進化していったのか
どんな苦難を乗り越えてきたのか
そこを映画の歴史ともに解説してくれて
時代の中で映画と向き合ってきた人々の言葉を実際に聞きながら
映画音響がどれほど映画にとって重要な役割を担っているのかを教えてくれます
映画が好きな人は
この映画を観ればこれからより深く映画を楽しむことができると思うし
単純に歴史や裏側を知れることに楽しみを感じれるかも
僕はとても興味津々で最後まで楽しんで観ることができました
本作で取り上げられてる映画は
とても有名な作品が多くて
だから映画好きなら観たことがある映画が多いと思いますし
観たことがなくてもタイトルは聞いたことあるような作品ばかり
なので、すごく入り口として入りやすいです
あの映画もある
この映画もある
みたいな感じで知ってる映画が登場すれば
ちょっとテンションも上がります
監督も有名な人がたくさんで
誰でも知ってるような人ばかり出てきますし
で、この映画のいいところは
ただの勉強映像になってないところですね
歴史や裏側を淡々と解説する作品ではあるんですけど
退屈な授業みたいな映像にはなっていなくて
普通に映像作品として面白く観ることができます
まず、冒頭なんですけど
ここですごく気持ちを掴まれます
ここでは「プライベート・ライアン」のとあるシーンを取り上げて
この作品がどれだけ音響にこだわっているのかを解説してくれます
「プライベート・ライアン」という
誰もが知ってるような作品を取り上げている時点でとても興味をそそられます
このチョイスが完璧だと思うし
その内容に関しても
映像の外側の見えてない部分を音で表現してるとか
主人公の心情を無音で表してリアリティを出してるとか
映画においてどれだけ音が大切なのか
というのをすごく端的に解説してくれる
普段はあまり意識して聞いていなかった音に
これほどのこだわりが込められていたのか
と、この冒頭の部分だけで理解させられます
そして、映画音響ってすごそう
もっと映画音響について知りたい
という気持ちにさせられるんですよね
そこからは淡々と映画と音響の関係性や
歴史、エピソードなどが語られていって
あまり抑揚のない解説が続くんですけども
最初に完全に気持ちを掴まれているから
普段なら退屈に思えるような説明も
すごく興味深く聞くことができて
さらにもっと知りたいという思いにもさせられるんです
もし、本作の入り口が
映画音響って難しそう
だったら、たぶん最後まで退屈だったと思う
ドキュメンタリーのような
少し小難しそうな作品ってやっぱり掴みが大切で
本作はその掴みが完璧だったと思います
その後の歴史の解説も
淡々としてると言ったものの
それでも普通に面白い内容で全然飽きないです
知ってる作品、知ってる監督などの
道程やエピソードには普通に興味津々で
知らなかったことを知れる楽しさが満載なんですよね
今は大御所で大成功している監督たちも
いろいろと失敗を繰り返し
理不尽なこともたくさん味わっていることを知ることができました
映画業界全体も
いろいろと面倒くさいことだらけで
全然順風満帆じゃないし
映画業界の上の人間と
実際に映画を作っている現場の人間との
考えの違いなんかもすごくあって
現場の人たちはめちゃくちゃ苦しまされてきたんだなと…
こんな歴史やエピソードは勉強なるだけじゃなくて単純に面白い
エンターテイメント的な楽しさも感じられました
そして、映画に携わる人たちのインタビューなんですけども
これが本当に素晴らしかった
歴史の中で映画音響が蔑ろにされていた時代も長くて
それでも監督や音響技術者たちは音にこだわり続けて
苦難や苦悩を乗り越えてきたわけです
そんな結構しんどい思いをしてきた人たちなんですけど
インタビューで昔のことを話してる時
すごく楽しそうなんですよね
これだけで映画音響の仕事がいかに素晴らしいかが伝わってくる
みんなやりがいを感じてるしこだわりを持ってるし
この仕事はすごくいい仕事なんだろうな
というのがガンガンと伝わってくるんですよ
この映画を観たら
映画音響の仕事に就きたいと思う人がたくさん生まれるんじゃないでしょうか
ここまで仕事を楽しんでる人たちを見ると
ほんとに羨ましいと思わされますね
あと、それぞれのエピソードも興味深いものが多くてすごく面白い
中でもとても印象に残ったのが
「トップガン」のジェット機の音の作り方
これは本当に面白いです
本物のジェット機の音じゃ弱々しいから
動物の声を重て迫力を出したという
リアルさを出すために現実的なものから離してしまう
これがとても興味深い
この映画以外でも
リアルな音を表現するために
全く別の道具を使って表現をしていたりもするんです
これって絵画に通じるものもあります
絵ってリアルなものを描くにしても
意外と誇張してたりデフォルメしたり
色も現実とは全然違う色を使ってみたり
要所的に見ればリアルじゃないけど
全体を通して見ると写真よりもリアルに感じたりすることがあります
映画音響もやってることは完全に同じで
これってもはや映画音響も芸術だよな
とも思わされました
こんなクリエイティブな部分もあるから
映画自体もよりリアルに感じることができるんだと思います
それ以外にも
紹介されている映画ごとに
様々な音の使い方や作り方がされていて
いちいち感心させられる
「スター・ウォーズ」の様々な場所での音集め
「ブラック・パンサー」の音楽の成り立ち
「ROMA/ローマ」の映像に合わせ移動する声
何気なく観ていた作品の音にも
いろんなこだわりが込められていて
そこに感情を揺さぶられたりリアリティを感じれたり
あらためて音の重要さ偉大さを実感することができました
この映画は本当に素晴らしいと思いました
当たり前にさりげなく存在する音だからこそ
それはとても重要な存在で蔑ろにしてはいけない
映像だけじゃ映画は成り立たなくて
音の良し悪し1つで映画の出来も大きく変わってくるんだろうなと思う
なにより、この映画を観れば
映画音響の仕事が素晴らしい仕事だと知れます
こんな楽しそうに仕事をする人たちには憧れる