どうもきいつです
アニメ映画「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」観ました
「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」「コララインとボタンの魔女」などの
アニメーションスタジオのライカが手掛けるストップモーションアニメ
ある研究者が人類の祖先だという生きる化石と旅に出る物語
監督は同じライカ作品「パラノーマン ブライス・ホローの謎」を手掛けたクリス・バトラー
主人公の声を演じるのはヒュー・ジャックマンです
あらすじ
未知の生命体を探し求めるライオネル卿は
自らの手で伝説の生き物見つけ存在を証明し
自身の才能を世に示すために旅に出る
やがて彼は人類の祖先にあたるビッグフットに遭遇する
孤独なビッグフットの親族を探すために
ライオネル卿は伝説のシャングリラ目指すことになる
感想
いつものごとく
とてもクオリティの高いストップモーションアニメに驚かされる
その映像のためだけに観る価値はあるかも
でも、ストーリーはちょっと子ども向けなのか
物足りなさは否めませんでした
ライカの作品はとても好きで
本作もかなり期待して観に行ってきました
ライカの作品と言えば
もちろんストップモーションアニメで
これが毎回すごいクオリティ
かなりの労力を費やされている作品ばかりで
それだけでライカの作品にはものすごいエネルギーを感じる
本作も同様で
やっぱりものすごいアニメとして完成しています
ストップモーションアニメとは思えないほど
動きはかなり滑らかで普通の動画と比べても
全然違和感がない
なにも知らずに本作を観れば
普通のCGアニメと思ってしまうかもしれません
でも、ストップモーションアニメだからこその
独特な雰囲気というのも醸し出していて
よく見ればキャラクターみんなが人形だというのはわかりますし
どこか温かみも感じることができる
表情の変化なども本当に細かくて
人形だけど完全に命が吹き込まれています
登場人物の数に表情の種類の数
人物だけでも相当な手間隙がかけられていると思います
とにかく
膨大な時間、たくさんのスタッフ、広いスタジオ、莫大なお金
1つの作品にさまざまなものを費やし狂ったほどにこだわり抜かれた本作はもはや芸術
芸術作品として最高の映画だと思います
それだけで一見の価値あり
と、ここまですごく誉めましたけども
正直、ちょっとストーリーは微妙かな…と思いました
過去のライカ作品と比べても
今回はかなり子ども向けな気がしてしまう
そんなに深い内容でもないし
ストーリー自体もあまりに普通すぎるテンプレな内容
わかりやすいシンプルなストーリーではあるけど
大人が観るとかなり物足りなさを感じると思います
山なし谷なしの盛り上がりにかける印象も強かった
いつ盛り上がるのかな?と思っていたら
いつの間にかエンディング
これがかなり物足りなさを感じてしまう要因だと思う
あまり物語が大きく展開しないんですよね
印象に残るシーンがない
全体的に全てがトントン拍子で進んでいき
冒険することがメインの映画なのに
スリルが感じれなくてワクワクさせられないんです
それに冒険してる感や旅をしてる感も薄い
画面が切り替われば目的地についてしまってたりするので
時間経過は短く感じてしまうし
長い距離を移動している感じも全然ない
道中にあまり大きい出来事も起きず
ロードムービーとしては面白味に欠ける
本当は相当な距離を移動している物語なのに
数キロ移動してるくらいにしか思えないんですよね…
ここはもっと冒険しているというワクワク感を感じさせてほしかった
それと、主人公のライオネル
これもかなり微妙だったなと思う
このライオネルのキャラがかなり中途半端なんですよね
それのせいで本作のテーマも薄れてしまってる
本作のテーマは進化だと思います
それをライオネルの成長を通して表現しようとしてるのはわかるんですが
ライオネルの成長の描写があまり上手くないんですよね…
言ってしまえば
本作の中でライオネルが成長してるようにはあまり見えない
成長するということは
人間が変化するということですけど
最初と最後のライオネルの変化の振り幅が小さすぎるんです
自分が認められたいという名声を求め行動していたライオネルが
最終的に本当に大切なものを見つける
というシンプルでよくある流れではあるんですが
最初の自分のためだけに行動するライオネルも
べつにそこまで悪い人間には見えない
普通に優しさを感じれるところがあったり
大きい見返りを求めることなく行動したりもする
ビッグフットのリンクをヒマラヤまで送り届けようとするのも
すごくリスクがあるけどかなり簡単に引き受けてしまうし
てか、本物のビッグフットを目の前にして
捕獲しようとしない時点でライオネルは良識のあるまともな人だと思いますし
それにライオネルのバックボーンが描かれていないので
なぜそこまで名声を求めるのかや
彼の心に抱えている問題点とか
そんなのが全然見えてこなくて
ライオネルの行動原理がわかりづらい
主人公だけどあまり感情移入ができません
しかも、中途半端に嫌な奴でもあるので
ちょっと印象も悪くてそこまで好きにもなれない
ライオネルのキャラクターの魅力が引き出せてないんですよね
あと、ライオネルとリンクの友情物語でもありますが
ここも
はじめから最後まで2人の仲は良好で
最終的な2人の絆が深まりましたってラストも
あまりインパクトがない
リンクはライオネルを最初から信頼してるし
ライオネルもリンクを邪険に扱ってるわけではないですし
言葉ではリンクを召し使い的な扱いをしてるけど
行動としてはそこまでこき使っている描写もないですしね
2人の関係性に波風を立たせないと
友情が深まったと言われてもあまり感動はできないです
ただ、リンクのキャラクターは個性的でとても魅力的
コミカルで愛嬌があって好感が持てます
リンクの言動全てが微笑ましくて
ちょっとしたギャグ描写もクスッと笑ってしまいます
リンクの存在だけでも
この映画の雰囲気はかなりよくなってると思います
とは言え、他のキャラクターはライオネル同様で魅力がちょっと弱い
ヒロインもいまいち魅力がなかったし
敵もちょっとショボすぎるかな…
リンク以外のキャラがみんな印象薄い
ビジュアルでは魅力を出せてるんですけど
中身がないのかな…とも思わされました
本作は他のライカ作品と比べてみてもテーマの深みが弱くて
心に刺さるようなメッセージも感じませんでした
他の作品はシンプルながらも
どこか引き込まれるような記憶に残る場面や
ワクワクしたりハラハラドキドキするような
面白いストーリー展開があったんですが
今回はその辺がとても弱かったなと思います
作品への情熱やこだわりはとても感じれるけど
映画としての面白さは微妙
子どもなら楽しめるレベルの作品で終わってしまっていたのはもったいなかったですね
ライカならもっと面白い映画を作れるはず