何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「えんとつ町のプペル」感想 シンプルに楽しめた ちょっと詰め込みすぎな気がするけど

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どうもきいつです


アニメ映画「えんとつ町のプペル」観ました

お笑いコンビのキングコング西野亮廣プロデュースの絵本
「えんとつ町のプペル」を原作に制作された劇場版アニメ作品
えんとつ掃除人の少年とゴミから生まれたゴミ人間との冒険が描かれます

西野亮廣が製作総指揮、脚本を手掛け
監督は廣田祐介
アニメーション制作は「鉄コン筋クリート」などのSTUDIO4℃
声の出演は芦田愛菜、窪田正孝などです

 


あらすじ
煙に覆われたえんとつ町の人々は空を見たことがなかった
そんな町で暮らすえんとつ掃除人のルビッチは
父親の言葉を信じ煙の向こうにある空には星があるはずだと信じていた
ハロウィンの夜
ルビッチの前にゴミ人間のプペルが現れる

 

感想
シンプルなストーリーと美しい映像や世界観に
最後まで楽しんで観ることができた
子どもが楽しめる映画だと思う
ただ、ちょっと詰め込みすぎな気もした
特に終盤はごちゃごちゃしてました

 

原作の絵本はネットで無料公開されているので読んでいました
クラウドファウンディング、分業体制で作られたという特殊な絵本でもあって
その点でも興味深く面白い作品だと思っていた

そんな絵本のアニメ映画ということで本作にもすごく興味があって観てきました

 

もともと絵本の時点で
クオリティが高く独創的な世界観が魅力で
絵本というのもあり子供でも分かりやすいシンプルなストーリー
それが本作にもしっかりと受け継がれていて
アニメ映画として子どもも大人も楽しめる作品に仕上がっていました

ストーリーの大きな流れは原作通りなんですが
本作は設定やキャラクターが少し付け足され映画用に脚色されています
なので、原作に比べると若干複雑にはなってますかね

でも、基本的にシンプルな内容なので
老若男女が楽しめるように作られた作品なのかなと思います

そして、子ども向けのアニメ映画のわりに
ちょっと尖ったメッセージ性があるのも本作の魅力かも

 

ストーリーの内容は
主人公のルビッチとプペルの友情と
2人が空の星を見るための冒険が描かれます

やってることはよくあるストーリーで
そこまで斬新なものはありませんが
えんとつ町の町並みが美しく個性的で
その上、かなり細かく作り込まれた背景になっているので
それだけでなかなか見応えがある

絵本でもかなり労力が掛かったであろう細かく描きこまれた絵が
アニメになってもそれを損なわず表現されていました

この世界観の表現が本作の1番の魅力でもあると思います


それだけでなく
映画としての見せ方も楽しめる演出になっています

ルビッチとプペルが出会ってからの一連の流れは
アトラクションのようで
観ていてハラハラしてとても楽しめる映像でした
トロッコなんてジェットコースターみたいでとても楽しい

この場面で子どもたちの心は鷲掴みだろうなと思う


声のキャストは
声優ではなくて俳優メインのキャスティングでしたけども
みんな馴染んでるし上手いのもあり
全然違和感なく観ることができました

 

そして、本作はかなりストレートなメッセージ性が込められていて
個人的にはそのメッセージも悪くないと感じました

これに関しては
絶賛する声と否定する声が極端に分かれている印象があります

これの原因はキングコング西野の作品だから
というのが大きいのかもしれない

この人は嫌われ芸人として有名ですけど
逆にカリスマ的な人でもあって
嫌いな人と好きな人が極端に割れてるんですよね

それが本作の感想にも出ているんだと思う

否定的な意見としては
説教臭いだとか
自己啓発セミナーみたいだとか
そんな言われ方もしてますけど

それはちょっと斜めに見過ぎてるのかな
と思いました

僕が観たところ
本作のメッセージはそこまで押しつけがましく思わなかったし
ストーリーやテーマにも沿っていて違和感も無かった
作者の思想が出ている作品なんて
本作じゃなくてもこれくらい普通だしあたりまえだと思う

本作以上に押しつけがましいメッセージの作品なんてごまんとあるし
もっと独善的なメッセージ性のある作品もあって
それにに比べれば本作は全然いいですよね


出る杭は打たれる
新しい挑戦をする人間は批判される
そういうものに流されず立ち向かう主人公たちが描かれている作品で

それが作者の西野亮廣の活動や世間の評判にもリンクしている部分が大いにあり
彼だからこそ描けるメッセージだとも思わされました

それにキングコング西野のポジティブな人間性も本作に現れていて
あそこまで批判を受けてきた人の作品だけど
僻みや恨みなどのマイナスなものは無くて

とにかく前に進む主人公を中心に
それに影響され味方が増えて行くような
ポジティブな内容なんですよね

そういうのを含めて
個人的に本作のメッセージには好感を持てました

 

ここまでとても褒めましたけども
絶対的に大絶賛というわけでもなくて
微妙だなという部分もありました

特に気になったのが
ちょっと詰め込みすぎなところ

原作はいかにも絵本というようなシンプルな作品なんですが

アニメ映画として作られた本作は
映画として成り立たせるためにもかなり追加要素が付け足されています

世界の設定やストーリー
映画での追加キャラクター
わかりやすいメッセージなど

しかも、それらが最後のほうにかなり詰め込まれている
なのでバランスの悪さを感じてしまい
終盤は観るのがちょっとしんどかった

はじめはシンプルにルビッチとプペルの友情を中心に描いている内容だったのに
終盤付近になってくると

この世界の起源や仕組み
キャラクターのバックボーン
感動的な演出
本作のテーマやメッセージを伝える演出

とにかく全部詰め込みましたみたいな感じで
なんか渋滞してるんですよね

終盤になるといろんな意味でうるさいな
と思わされてしまいました

最後のルビッチの父親の紙芝居風のナレーションもくどくて少しうるさかった…


それと、プペルの扱いの悪さも感じました

ルビッチとの友情を築いてきたプペルですけども
最後はルビッチの父親の記憶を取り戻し
消えてしまうという展開なんですが

ルビッチの友達としてのプペルはどうなるんだ?
と思ってしまいました

プペルの存在がストーリー展開のための道具でしかなかったようにも思えて
なんかモヤモヤが残ってしまった

消えてしまうにしても
ルビッチの父親ではなくプペルとして消えてほしかったですよね

最後の展開でルビッチとプペルの友情が無駄だったような気もしてしまいました


あと、挿入歌がちょっと微妙
いかにもJ-POPな曲が劇中に2回くらい流れますが
ことごとく世界観に合ってなかった

エンドロールのテーマ曲はすごく良かったんですけどね
他の曲はどうにかならなかったのかな…

挿入歌が流れている時の演出も似かよっていて
くどくも感じてしまいましたし


本作の独創的な世界観やシンプルな作風を最後まで貫けば
もっと良い作品になっていたと思います

 

わかりやすいストーリーや美しい映像で
老若男女が楽しめる映画になっていました
家族で観るファミリー映画としては
ちょうどいい作品だと思う

ただ、個人的には絶賛するほどでもなく
悪くはないアニメ映画って印象
とは言え、酷評するほどの作品でない気もしました

アニメ映画としてはクオリティが高い作品だと思います

 


えんとつ町のプペル