どうもきいつです
サスペンス映画「サニー/32」観ました
ネット上で神格化された殺人犯の少女サニーを信奉する男たちに誘拐された女性の運命を描いたサスペンス
「凶悪」でタッグを組んだ2人
監督を白石和彌、脚本を高橋泉が手掛け
出演するのは北原里英、ピエール瀧、リリー・フランキーなどです
あらすじ
冬の新潟のとある町
中学校教師の藤井赤理は謎の男2人に誘拐される
2人は「犯罪史上、最も可愛い殺人犯」と世間を騒がせた少女サニーの信者で
赤理をサニーと呼んで監禁するのだった
感想
めちゃくちゃでカオスな作風がわりと面白かった
笑えたりショッキングだったり面白い部分がたくさんあります
ただ、終盤になるにつれて
それだけが続くからちょっと飽きてくる
結局、何を言いたかった映画なのか…
白石和彌監督の作品ということで
前から気になっていたので観てみました
後から知りましたけど
この映画
まあまあ評判悪いんですね…
個人的には
そんなに悪い映画だとは思わなかったです
文句を言いたくなる気持ちもわからんでもないですが
「凶悪」の監督と脚本のタッグの作品なので
そんなタイプの映画を求めて観てしまってる人が多いのかも
それに実際の事件をモデルにしている作品でもあるので
重くて深い真面目な映画を求めているのもあると思う
だから
なにこの映画?
みたいに思ってしまうんじゃないでしょうか
でも、この映画って
そんなに真面目な映画じゃないですよ
アホなノリと勢いで作られたような
B級ブラックコメディーだと思う
とにかく
くだらない映画なのは間違いない
そこに皮肉やメッセージも込められているけど
基本的におバカな映画です
とは言え
やってることはバイオレンスだったり
ネットのノリだったり
意味不明な展開だったり
かなりカオスで観る人を選ぶ
万人ウケではないですよね
僕もついていけないところはたくさんあったし
なにこれ?とも思っています
ただ、そんなカオスな作風こそ
この映画の魅力でもあると思う
この異常な世界観にいつの間にか引き込まれてしまっていたのは否めないですね
はじめは監禁された女性がヤバい2人に理不尽な目に合わされる
バイオレンスな胸くそ映画だと思っていたんですが
サニーに会いたいという人が集めらたあたりから
なんか変な感じになってくる
それぞれの思惑が入り乱れ
ドタバタとカオスな状況になってきます
そしてやってることがとても滑稽
ここでシリアスな映画てはないんだな
と気付かされます
人が死ぬ度に
享年◯◯歳
とでかでかとテロップが出るのには笑わされた
登場人物たちもみんな勢い任せの行動で
真面目にこの映画を観ると
バカな登場人物たちにイライラさせられるかもしれませんけど
ギャグだと思えばバカらしくて笑えてくる
この映画に「凶悪」みたいなのを求めてしまうと
そりゃ思ったのと違うから腹が立つのもわかります
でも、これは「凶悪」ではないですからね
この映画は真面目に見ちゃ負けです
映画の折り返し地点あたりの
監禁されている赤理が覚醒する場面は
めちゃくちゃ盛り上がって最高でした
今まで弱い立場だった赤理が
自分勝手に振る舞っていた奴らへの説教シーン
最高に気持ちがいい
カタルシスがヤバいです
ここは監督が言いたかったことを
赤理に代弁させてるのかな
とも思わされる
自分勝手な奴らを怒鳴り散らし
最後は優しく抱き締める
素晴らしいシーン
このシーンを見れただけでこの映画を観た価値があったと思いますし
個人的にもかなり好きな要素が多くて
楽しめる映画ではありましたが
正直、終盤に近づくにつれて勢いが落ちてくるのも感じました
結局、最後の方まで同じようなカオスなものを見せ続けられるので
ちょっと飽きてくるんですよね
あまりメリハリがなかったのかな…
終盤はシリアスになりますけど
なんかちょっと弱くて盛り上がりに欠ける
最高に盛り上がった赤理の説教シーン以降が
ダラダラして長く感じてしまいました
あれより盛り上がるシーンもありませんでしたしね
赤理が教祖みたいな感じになってからは
いまいちぱっとしないんですよ
ラストまで特に大きい展開もないし
ラストの展開もちょっと意味不明気味だし
メッセージが込められてるのもわかるけど
いまいち何が言いたいのかもわかりづらい
赤理の説教シーンで終わってたらめちゃめちゃ面白い映画になってましたよ
後半が蛇足な気がしてなりません
それと、もっとキャラクターを掘り下げてほしいなとも思いました
みんな個性豊かっぽい
で終わってしまってるんですよ
それぞれ何かを背負っているようですし
クセの強そうな個性も感じさせられる
でも、そこから先を見せてくれない
赤理を誘拐した2人にしたって
結局、最後までふわっとしていて掴み所がない
目的も気持ちもよくわからないままで
この人たちの行動にあまり納得できません
他の人物たちも
いろいろと行動は起こすけど
行動原理がいまいちわからないから
観ている側がなんか乗り切れないんです
そんなのが相まって
結果的にみんなキャラが薄く感じてしまう
もう少しで魅力的になりそうなんですけどね
「凶悪」でのピエール瀧とリリー・フランキーは
迫力と深みがあってめっちゃよかったんですけどね
そんなキャラクターが本作にいれば全然違ったと思います
評判の悪さは理解できます
でも、見方を変えればバカらしくて笑える映画だと思う
明らかにこの映画は
真面目な映画ではなくてふざけた映画
どんな作品なのかを決めつけずに観れば
アホでカオスな世界に引き込まれると思います