何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「おとなの事情 スマホをのぞいたら」感想 いちいち演出がダサい いい話に持っていくのも気持ち悪い

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どうもきいつです


コメディー映画「おとなの事情 スマホをのぞいたら」観ました

世界18ヵ国でリメイクされたイタリアの映画
「おとなの事情」の日本版リメイク
集まった男女7人がお互いのスマホを見せ合うゲームを始めたことから
それぞれの秘密が暴かれていきます

監督は「ヒーローインタビュー」などの光野道夫
脚本は「世界から猫が消えたなら」などの岡田恵和が務めています

 

あらすじ
1年ぶりに再会した3組の夫婦と1人の独身男性
7人はパーティーを楽しむ中
1人の提案でスマホに届く電話やメールを全員に公開し合うゲームを始める
隠し事はないと言いながら全員秘密を抱えており
着信がある度にパーティーは修羅場と化していく

 

感想
とにかく演出がダサい
そして、いい話にしようとするのも鼻につく
最後の展開はさすがに気持ち悪かったです
オリジナルの本質からも完全にズレてるし
改悪としか言いようがない

 


評判がいいみたいなので観に行ってきました

せっかくなのでオリジナルのイタリア版も観たんですが
それもあってか日本版の本作はかなり微妙に思えました

いろいろ言いたいことはありますけど
一言で言えば
オリジナルの改悪

オリジナルのいい要素や作品の本質は無視して
悪い意味で邦画らしいコメディーになってました

ただ、作品の骨組みはオリジナルと全く同じなので
全然面白くないというわけではないです

そもそもアイデア自体が面白い作品なので
そこは安定してるんじゃないかなと思う

とは言え
やっぱり本作はオリジナルの劣化版になっている
正直、邦画のレベルの低さを思い知らされてしまいました
オリジナルと比べると全然つまらない


まず、一番この作品で気になったのは
半端ないダサさ

演出が本当にダサいです

冒頭の登場人物紹介なんかも酷くて
登場人物のプロフィールを文字で見せる時の演出も古くさいと言うか…
結婚指輪キラーンとかもかなりキツイ

それと、全体的に舞台の芝居っぽかったです
あえてそれっぽくやってるかもしれないけど
映画だとちょっとチープかなと思う
なんか嘘っぽく見えるんですよね…


あと、安っぽいCGを使ってたりするのも見映えが悪いです
月も違和感しかないですし

こんなCGじゃ映画全体がチープに見えるだけ
こんなことならCGなんて使わなくていいのに
てか、このタイプの映画で使う必要ある?

何よりタイトルの出るシーンがダサすぎでしょ
映画の顔でもあるんですよ
これは酷すぎる

基本的に90年代くらいのテレビドラマのノリを感じてしまう
全部が古くさいんですよね
ノスタルジーではなく古くさい


それと、もう1つすごく気になったのが音楽

BGMがマジでうるさいです

音楽流さないと不安なんですか?
って思ってしまうほど
ひっきりなしにBGMが流れてる
しかもチープな音楽がひたすらです

感動っぽいシーンに感動っぽい音楽を流すのも
本当にダサいし下品だし辞めてほしかった
しかもそれが何回もある
うるさくて仕方がない

本作のBGMはストレスを感じるレベルでした
音楽が不快

 


そして、オリジナルの本質からズレ過ぎている
ここもこの映画の問題点です

イタリアのオリジナルも
基本的にリメイクの本作とやってることは同じなんですが
そこにはメッセージ性がしっかり込められていて
それが作品の重要な要素でもあります

オリジナルも本作と同じく
遊び半分で始めた携帯電話の着信やメールを公開することで
お互いの秘密を知っていき関係性が崩れていく

ただ、大きく違うのはラストの展開
オリジナルは完全に修復不可能なほど人間関係が壊れてしまう
そして、まさかのあのオチ

そんなオリジナルに込められているメッセージは
友人、夫婦だからといって秘密や嘘を全てひけらかしていいものなのか?
あなたに秘密を知る覚悟はありますか?
という問いかけだと思うんです

この作品が反面教師になってるんですよね


しかし、リメイクである本作は
それとは真逆の
いろいろあったけどみんな仲良くしましょう
みたいな結末になってます

そんな考え方も平和的でいいとは思うけど
この映画に関しては気持ち悪いだけ

それに本作のメッセージがよくわからん
どんな悪事も広い心を持って許しましょう
ってこと?
全然納得できん

このリメイクはとにかくいい話に持っていこうとします
ことあるごとに感動的な音楽を流し
感動的なセリフを登場人物たちに言わす
で、なんか解決した風

これがやっぱり気持ち悪い

みんなやってることがゲスいだけに
観てる側としては
全然解決してないのに感動的に丸く収まってる感じが気持ち悪くて仕方がない

終盤とかすごくいい話にみたいになってるじゃないですか?
あれはマジで反吐が出そうなほど気持ち悪かった

そもそも、命がけで災害を乗り切った7人が
グループの中で浮気してたり
別の女を妊娠させてたり
自分の過ちを仲間に押し付けたり
新婚なのに全く夫を信頼してなかったり
みたいなドロドロしたドラマを見せる

普通以上に絆が強いはずなの人たちなのにこんな関係性
単純にキモすぎないですか?

オリジナルにはない設定をこじつけて
無理やりいい話にしようとしてるから
めちゃくちゃ気持ち悪くなってるんですよね

人間関係をブチ壊すために作られたプロットをそのまま使って
いい話にしようとしてるから無理が生じてると思うんです


最終的にみんなお互い様みたいになってるのも納得いかない

明らかに被害者でしかない人もいるし
ゲスい奴はとことんゲスい

最後は楽しく思い出話をしてましたけど
浮気してた奴らはどのツラ下げて談笑してんだよ
と思ってしまいます


そんなのがあるからコミカルなギャグシーンは
笑えるとこもあるけど不快に思うものも多かった

完全な加害者がギャグみたいなセリフを吐くと
笑いなんかより不快感が大きく上回っています
ただただ気色悪い


それと、オリジナルと比べるとテンポも悪かったですかね

オリジナルは1つ真実が明らかになると
解決する暇もなく
次々と畳み掛けるように新たな真実が発覚する
最終的には収集がつかず人間関係がぶっ壊れる
というスピーディーな流れで
それが作品の重みにもなっていたわけですが

リメイクの本作は
一つ一つ問題を感動的に解決して
その度にスピード感が損なわれる

それに解決してしまうからそんなに人間関係も崩れない
最終的にはこれからもみんな毎年集まろうってオチです

これはやっぱりいい話にしたいからだろうけど
結局はやってることがちょっとズレてる

生きていることを確認するためにみんな集まろう
とか言って理由付けはしてるけど
この理論が意味不明だし

そもそも、この作品の設定でいい話にしようとするのが間違ってると思います

泣ける映画=いい映画
みたいな邦画の悪いところがめっちゃ出てました


いいところがあるとすれば
オリジナルよりも登場人物の個性が際立っていて
それぞれのキャラが立っていた

キャラ設定もわかりやすくなってたし
感情移入はしやすいと思う

あと、笑いに関しては
リメイクのほうが日本人には伝わると思う
オリジナルはちょっとブラック過ぎて伝わりづらいところも多かったですし

まあ、よかったのはそれくらいで
到底オリジナルの良さには及んでいません

 

オリジナルと比べなければ見えかたも変わったかもしれません
でも、気持ち悪いことには間違いなく
安っぽい演出、安っぽい感動、安っぽいCGによって
まあ安っぽい映画に仕上がっている

これを作った人はオリジナルの何を面白いと思ったんでしょうか?

この映画はただの改悪ですよね

 


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