何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ビバリウム」感想 この気持ち悪さにハマるかハマらないか

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どうもきいつです


スリラー映画「ビバリウム」観ました

奇妙な住宅街を抜け出せなくなったカップルの運命を描いたサスペンススリラー
アイルランド、デンマーク、ベルギー合作の作品

監督はロルカン・フィネガン
脚本はギャレット・シャンリーです

 

あらすじ
新居を探すジェマとトムの2人は
たまたま足を踏み入れた不動産屋で
全く同じ家が建ち並ぶ住宅街を紹介され内見に向かうことになる
内見を終えると不動産屋の姿が見当たらず
そのまま帰ろうとする2人だが住宅街から出れなくなってしまった
そして、2人の前に赤ん坊の入ったダンボールが届く

 

感想
不気味な雰囲気が最後まで続く気持ち悪い映画
この気持ち悪さにハマれば好きになれるかも
僕はこの映画がそこそこ好き
ただ、いまいちパンチが弱くて
物足りなさがあるのは否めません

 


いい評判も聞くし
ちょっと怖そうな雰囲気の映画だったので
気になって観に行ってきました


サスペンスと言うか
ミステリーと言うか
ホラーと言うか
ジャンルはいまいち明確には言えないけど
とにかく気持ち悪い映画というのは間違いない

最初から最後まで気持ち悪さで押し通したような映画

正直、雰囲気映画だと思いますし
そこにハマれるかどうかで好き嫌いは分かれると思います

僕の場合は
この雰囲気は嫌いじゃないし
どちらかと言えばハマったと思う


規則正しく同じ家が建ち並ぶ街の景色や
丸い雲が浮かぶ空
シュルレアリスムの絵画のような風景はとても美しく見えるけど
そこが逆に気持ち悪くもある

カッコウの托卵を人間に当てはめるという設定やストーリーは
なかなか不気味で興味深い

その中では不気味で気持ち悪い描写が多く
観ているだけで不安な気持ちにさせられます

あの子どもなんて全てにおいて気味が悪いですよね

全体的に気持ち悪さを凝縮したような映画で
そこがこの作品の魅力だと思います


明確なストーリーがあるわけではないので
少し掴み所のない作品ではありますが

主人公のカップルと2人が育てることになった子どもとの奇妙な生活は
気味が悪くもどこかこの世界観に引き込まれていきます

見た目は普通の子どもだけど言動がとにかく気持ち悪く
それを育てなければならない2人の絶望感たるや

2人の精神が摩耗していく姿には
観ているこっちも不安にさせられてしまいます

 

全体的に不気味な雰囲気が魅力的で
個人的にも好きなタイプの映画ではありますが

正直言ってちょっと物足りないです

好きではあるけど
記憶にはあまり残らない映画だとも思いました


結局は雰囲気映画で終わっていて
そこが物足りなさの要因

はじめのうちは独特で不気味な世界観に引き込まれるんですが
特にストーリーも展開もない淡々とした内容が続くだけなので
ちょっと飽きてきます

終盤なんかも
さほど盛り上がりもありませんし
謎が解決するわけでもないので
すごくフワッとした感じであまり腑に落ちません

淡々とした中でも深い何かが描かれているのならそれなりに納得はできるんですが
人間ドラマやメッセージ性もちょっと薄くて
あまり深みを感じることができなかった


極限の状況に置かれているジェマとトムの関係性なんかもさほど波風は立たずに
関係性がいまいち壊れない
険悪になったりはするけど
基本的にお互い個人行動をしていて接点が少ないし

子どもに対してジェマに母性が目覚めたりもするけど
そこもあっさりとした描写で
そこから物語が展開していくこともありません

こんなに気持ち悪い映画なんだから
人間がもっと狂っていく姿は見せてほしかったかも

人物描写が重要な作品だとも思いますが
いまいち感情移入もしづらいので
結局は最後までこの映画の出来事が他人事でしかない

3人の生活の場面が退屈なので
もう少しインパクトのある展開なんかもほしかったです

なので、そんなに感情が揺さぶられる様なこともありませんでした


メッセージ性に関しても
あまり深いものは感じなかった


映画のメッセージなんてこじつけでどうにでもなるし
観てる側がこじつけてる部分も大いにある
ただ、本作はこじつけありきな感じ

インテリな人は勝手にこじつけて
この映画は深い
とか言いそうな気もしますけど

実際は托卵を人間に当てはめたら気持ち悪いでしょ
ってアイデアだけの映画だと思うんです

個人的には
托卵をテーマにして
家族の曖昧さや人間の不安定さなどが
ブラックに描かれていくんだろうと予想していたんですけど

あまりそのへんは深掘りされるわけもなく
得たいの知れないものを育てさせられるホラー
みたいな作品で
それ以上でもそれ以下でもない

だから
結局、この映画は何を伝えたかったのかが
いまいちわからないんですよね

風刺や教訓を描いているようで
実はそんなものは全然なかったりする

シュールな作風や独特な雰囲気で
なんかすごい映画っぽい感じはするんですけどね…

 

で、サスペンスやホラーとしては見てみても
ちょっとパンチが弱くて物足りないです

気持ち悪い映画ではあるけど
あと一歩ゾクゾクする怖さには及んでない

軽く怖さのあるシーンは存在するけど
もう一発くらい
とんでもないものを見たかった気はします


オチに関しては
悪くはないけど少し既視感がある

星新一や藤子・F・不二雄の短編作とかでありそうなオチ
今の時代の作品にしては捻りがないかな…

このラストは普通に予想もできてしまうので
驚きも全然ありませんでした


それに、大して謎が解けるわけでもないし
そのへんもモヤモヤしますよね

謎を残すことで余韻に浸れる作品もあるけど
本作の場合は
これは一体なんの話だったんだ?
と疑問の気持ちのほうが大きかった

 

まあ、雰囲気はとてもいいし
好きな人は好きな映画だと思います
僕もこの雰囲気はとても好きだし

とは言え
中途半端な部分は多くて
これと言った強みがある映画ではないのかも

あまり印象に残る映画ではなかったです